掲載誌:Medical Research Archives
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的:食生活・睡眠・運動を同時に見る
インドでは経済成長や都市化に伴い、家庭で調理する食事に代わって、手軽な超加工食品や砂糖入り飲料が広がっています。超加工食品とは、多くの添加物や香料、乳化剤などを使って工業的に作られた食品です。研究チームは、こうした食品には「隠れ糖」が含まれやすいと指摘しています。隠れ糖とは、食品表示でマルトデキストリン、ブドウ糖果糖液糖、転化糖、水あめなど砂糖とは別の名前で記載され、消費者が気づきにくい糖類を指します。
睡眠不足や運動不足も、思春期の肥満に関わる要因として注目されています。著者らによれば、インドの若者を対象に、隠れ糖を含む食品の摂取、運動、睡眠時間と体格との関係を合わせて調べた研究は見当たりませんでした。そこで研究チームは、ムンバイの都市部の学校に通う若者を対象に、これらの要因と体格指数(BMI:体重と身長から計算する肥満度の目安)との関連を調べました。
何を調べたか
調査には12〜17歳の160人(男女各80人)が自発的に参加しました。ある一時点の状態を調べて要因同士の関連を見る「横断研究」という方法です。研究チームは身長と体重を測ってBMIを求め、世界保健機関(WHO)の成長基準に沿って「やせ」「標準」「過体重・肥満」に分類しました。あわせて腹囲と上腕の周囲長も測定しました。
食事については、隠れ糖を含みうる包装食品20種類を挙げ、それぞれを「毎日」から「食べない」までのどの頻度で食べるかを尋ねました。対象にはパン、インスタント麺、味付きポテトチップス、アイスクリーム、エナジードリンク、インスタントスープ、マヨネーズなどが含まれます。前日24時間に食べたものの聞き取りも行いました。運動は国際的な質問票で、睡眠は睡眠時間、寝る前の電子機器の使用、目覚めたときにすっきりしているかを尋ねて把握しました。
主な結果
参加者の62.5%は標準体重でしたが、16.3%がやせ、21.2%が過体重・肥満に分類されました。同じ集団の中に、低栄養と過体重の両方が見られたことになります。約46%は一晩の睡眠が7時間未満で、推奨される8時間を超えて眠っていたのは27%にとどまりました。寝る直前にSNSを使うと答えた人は57%で、半数以上が朝すっきり目覚めないと回答しています。定期的に運動していたのは51%でした。
食品との関係では、パン、インスタント麺、味付きポテトチップス、エナジードリンク、インスタントスープ、マヨネーズ、アイスクリームを頻繁に食べることが、過体重・肥満と統計的に意味のある関連を示しました。たとえば過体重・肥満の群では、インスタント麺を毎日食べる人が約3割いましたが、標準体重の群では4%でした。一方、朝食用シリアルやビスケット、チョコレート類などでは、はっきりした関連は見られませんでした。
生活習慣では、過体重・肥満の若者は標準体重の若者に比べ、階段を使う人、スポーツの練習をしている人、朝すっきり目覚める人の割合が低いという結果でした。過体重・肥満の群ではエネルギーとたんぱく質の摂取量も多くなっていました。平均睡眠時間は短く、SNSの利用時間は長い傾向がありましたが、これらの差は統計的に意味のある水準には達しませんでした。
研究が示すこと
研究チームは、隠れ糖を含む超加工食品を頻繁に食べることが、睡眠や運動の不足と重なって、インドの若者の肥満リスクに関わっていると結論づけています。本研究は一時点の調査で関連を示したものですが、身近な加工食品の食べ方と体格との結びつきを具体的に示した点に特徴があります。
著者らは、食品表示を読み、砂糖の別名に気づけるようにする栄養教育の重要性を強調しています。あわせて、睡眠習慣の改善や運動の促進にも同じように力を入れる必要があると述べています。低栄養と肥満が同じ世代に共存するという、インドの食生活の変化を映し出す報告といえます。
原著論文の著者・所属:RITA SACHIN PATIL(NUTRITIONFORU)、Janhavi Manore(Prana Wellness Centre)、Mitravinda Savanur(Mount Carmel College)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):RITA SACHIN PATIL, Janhavi Manore, Mitravinda Savanur. Consumption of Hidden Sugars, Sleep Deprivation, and Physical Activity- Determinants of Obesity among Adolescents.. Medical Research Archives 2026-08-17. DOI: 10.18103/mra.2026.0554. 原著ライセンス:CC BY.