著者の所属・活動拠点の国は、イギリスです。

掲載誌:Frontiers in Public Health

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

特定の加工度の高い食品をやめたくてもやめられないといった、依存症に似た食べ方を「超加工食品依存」と呼ぶ考え方があります。これを一つの病態として認めるべきかには議論がありますが、研究は増えています。これまでの研究では、物質使用障害の診断基準をもとに作られた「イェール食物依存尺度(YFAS)」という質問票が主に使われてきました。

ただしYFASは35項目からなる研究用の道具で、診療の場で採点するには手間がかかります。また、一部の質問が、短時間に大量に食べてしまう「むちゃ食い」の症状と重なるという指摘もあります。そこで、国際的な疾病分類の物質使用障害の基準をもとに、「はい・いいえ」で答える6問の短い質問票「CRAVED」が開発されました。6問のうち3問以上に当てはまると、依存的な関係の可能性を示すとされています。

CRAVEDはスペイン語版ですでに検証されています。著者らは今回、英語版について予備的な検証を行い、既存の質問票とどの程度結果が一致するのか、むちゃ食いの尺度とはどの程度区別できるのかを調べました。

どのように調べたか

研究チームは新たな参加者を募らず、超加工食品依存に似た症状を持つ成人向けのオンライン支援プログラムで、開始時に集められた匿名データを解析しました。対象は、CRAVED、YFASの改訂版(YFAS 2.0)、むちゃ食いの程度を測る「むちゃ食い尺度(BES)」の3つすべてに回答した117人です。平均年齢は約50歳でした。参加者は自ら支援を求めてプログラムに参加した人たちです。

解析では、CRAVEDの得点とYFASやBESの得点がどの程度連動するかを調べました。あわせて、YFASで「食物依存あり」と判定された人をCRAVEDがどの程度見分けられるかも検討しました。見分ける力は、見逃しの少なさを表す「感度」と、該当しない人を正しく除外できる割合を表す「特異度」、そして総合的な判別力を表すAUCという指標で評価しています。AUCは0.5が偶然と同じ水準、1に近いほど判別力が高いことを示します。

主な結果

CRAVEDの合計得点は、YFASの得点と中程度の正の相関を示しました(相関係数0.583)。BESの得点とも同程度の相関がありました(0.562)。一方、YFASとBESの間の相関はより強く(0.741)、YFASのほうがむちゃ食いの尺度との重なりが大きいという結果でした。

YFASで食物依存ありと判定された人は、そうでない人よりCRAVEDの平均得点が高くなりました(5.28点対4.10点)。また、むちゃ食いの程度が重いグループほど、CRAVEDの得点も高い傾向がみられました。

YFASの判定を見分ける力について、CRAVED合計得点のAUCは0.75で、論文はこれを許容できる判別力と評価しています。本来の基準である「3点以上」では、感度0.94、特異度0.66でした。今回のデータでは「2点以上」とした場合に感度と特異度の組み合わせが最もよくなりましたが、著者らは3点以上という元の基準も併せて示し、どちらが適切かは別の集団で確かめる必要があるとしています。

一方で課題も報告されています。6問の内部一貫性(質問同士がそろって同じ傾向を示すか)は中程度にとどまりました。また、ある1問は117人中116人が「はい」と答えており、今回の集団では人を区別する手がかりになりにくいことがわかりました。質問同士に共通する要素が少なく、背後にある一つの性質を測る尺度として構造を分析することはできませんでした。著者らは、CRAVEDを一つの性質の物差しではなく、関連する複数の行動側面をまとめた指標として捉えています。

結果が示すこと

著者らは、CRAVEDが短く採点しやすい形式でありながら、既存の食物依存の尺度と意味のある関連を示し、見逃しの少ない初期スクリーニングの道具になりうると結論づけています。ただし特異度は低めで、YFASとの一致も限られることから、単独で診断に使うものではないとしています。陽性となった人をさらに詳しく評価するための最初の一歩として位置づけるべきだという考えです。

今回の対象は支援を求める症状の重い成人に限られ、回答はすべて自己申告で、人数も多くありません。そのため結果は予備的なものとされています。それでも、時間の限られた診療の場で依存的な食べ方の兆しを手早くつかむための簡便な手段について、英語版でも最初の裏づけが示された研究といえます。

原著論文の著者・所属:Ellen Bennett(Centre for Healthcare and Community Transformation, Coventry University; Public Health Collaboration)、Hussein M Magdi(North London NHS Foundation Trust; The Collaborative Health Community Foundation)、Fiachra McEnaney(School of Biomedical Sciences, University of Leeds; The Collaborative Health Community Foundation)、Deborah Lycett(Centre for Healthcare and Community Transformation, Coventry University)、Jen Unwin(The Collaborative Health Community Foundation, Oxford, United Kingdom)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ellen Bennett, Hussein M Magdi, Fiachra McEnaney, et al. Validating CRAVED: a brief screening instrument for ultra-processed food addiction. Frontiers in Public Health 2026-08-13. DOI: 10.3389/fpubh.2026.1871164. 原著ライセンス:CC BY.