著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:DISTILAT JURNAL TEKNOLOGI SEPARASI

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

うま味調味料として使われるグルタミン酸ナトリウム(MSG)は、サトウキビの糖蜜を原料とする発酵でつくられ、精製と結晶化を経て結晶の製品になります。結晶化の前には、液状のMSGから水分を蒸発させ、小さな結晶を含むとろみのある混合物(スラリー)にする工程があります。この工程を担う装置のひとつが「流下膜式蒸発器(FFE)」です。加熱した管の表面に液体を薄い膜状にして重力で流し、蒸気(スチーム)の熱で効率よく水分を蒸発させます。

著者らによれば、こうした装置は長く使い続けると性能が落ちることがあり、蒸気の無駄は運転コストの増加にもつながります。そこで研究チームは、あるMSG工場の生産ユニットで稼働するFFEについて、加熱用の蒸気が効率よく使われているかどうかを評価しました。

何をどう調べたか

研究チームは、工場のコントロールルームで記録された2024年6月の平均運転データを集めました。対象には、原料液と蒸気の流量、原料液と製品の密度、原料液・製品・発生した水蒸気・加熱蒸気の温度、実際の蒸気使用量が含まれます。

まず「物質収支」、つまり装置に入る量と出る量が釣り合うという考え方を使って、出てくる濃縮スラリーと蒸発した水蒸気の流量を求めました。次に「エネルギー収支」、つまり入ってくる熱と出ていく熱の釣り合いから、熱の損失がない理想的な条件で必要となる蒸気量(理論蒸気量)を算出しました。最後に、理論蒸気量を実際の蒸気使用量で割って百分率で表し、これを蒸気効率としました。

主な結果

論文によると、装置には約90℃に予熱された液状MSGが毎時約1万4152キログラム送り込まれ、135℃の蒸気で加熱されます。その結果、約95℃の水蒸気として毎時約3110キログラムの水分が蒸発し、約101℃の濃縮スラリーが毎時約1万1042キログラム得られると計算されました。

エネルギー収支から求めた理論蒸気量は毎時約3018キログラムでした。実際の蒸気使用量は毎時約3115キログラムだったため、蒸気効率は96.89%と報告されています。著者らは、装置の熱効率は一般に60〜95%の範囲にあるとする文献の記述を示し、今回の値はこの範囲を上回る高い水準だと述べています。

結果が示すこと

著者らは、この結果から、FFEでは蒸気の熱が無駄なく液体に伝わっており、熱の損失は小さいと解釈しています。また、効率の高さは装置の保守と運転が適切に行われていることの表れであり、漏れや機械的な故障などの大きな不具合がないことも、装置が良好な状態にあるという見方を裏付けるとしています。

そのうえで著者らは、効率を保つために定期的な点検と保守で配管表面への付着物(スケール)を防ぐこと、物質収支とエネルギー収支による評価を定期的に行うことを提言しています。日常の運転記録をもとにした計算で、装置がどれだけ効率よく熱を使っているかを確かめられることを示した研究といえます。

原著論文の著者・所属:Cahya Nabila(Jurusan Teknik Kimia, Politeknik Negeri Malang, Jl. Soekarno Hatta No.9, Malang 65141, Indonesia)、Ernia Novika Dewi(Jurusan Teknik Kimia, Politeknik Negeri Malang, Jl. Soekarno Hatta No. 9, Malang 65141, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Cahya Nabila, Ernia Novika Dewi. EVALUASI EFISIENSI STEAM ALAT FALLING FILM EVAPORATOR PADA PROSES KRISTALISASI DI UNIT PRODUKSI PABRIK MONOSODIUM GLUTAMAT. DISTILAT JURNAL TEKNOLOGI SEPARASI 2026-09-30. DOI: 10.33795/distilat.v12i3.7969. 原著ライセンス:CC BY.