著者の所属・活動拠点の国は、インドネシア、タイです。
掲載誌:Springer Link (Chiba Institute of Technology)
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: Crossref
研究の目的
2型糖尿病はインドネシアで大きな公衆衛生上の課題であり、日々の食事のパターンが血糖や血中脂質のコントロールに影響する可能性があります。研究チームは、糖尿病の人が「食事の指導をどの程度守っていると感じているか」と「実際の食事の質」が、空腹時血糖値や脂質異常症(血液中のコレステロールや中性脂肪などの値が基準から外れた状態)とどのように関係しているかを調べました。
何をどのように調べたか
対象は、インドネシアの慢性疾患管理プログラム「Prolanis」に参加する2型糖尿病の患者64人です。参加者は、スマラン国立大学の保健センターとブル・ロル地区の地域保健所(プスケスマス)で集められました。研究は、ある一時点の状態を調べる横断研究として行われています。
食事の指導を守れているかどうかは、本人がどの程度守れていると感じているかを答える質問票で測りました。食事の質は、さまざまな食品をバランスよく適量とれているかを点数化する国際的な指標で評価しました。空腹時血糖値と脂質異常症の有無は、通常の検査記録から把握しました。そのうえで、二つの項目の値が一緒に増減する傾向があるかを調べる統計手法(スピアマンの順位相関)で関係を分析しています。
主な結果
論文によると、本人が感じている食事の守り具合と空腹時血糖値の間に、統計的に意味のある関連は見られませんでした(相関係数0.174、p値0.172)。食事の質と空腹時血糖値の間にも、有意な関連はありませんでした(相関係数-0.083、p値0.513)。
脂質異常症についても同様で、食事の守り具合との関連(相関係数0.178、p値0.159)、食事の質との関連(相関係数0.146、p値0.249)はいずれも有意ではありませんでした。
一方で、参加者の多くは食事の指導をよく守っていると答えていたにもかかわらず、多くの人は食事の質が低く、脂質異常症も抱えていたと報告されています。
研究が示すこと
著者らは、本人が「守れている」と感じている程度が、必ずしも食事全体の質や代謝面のリスクを反映しているとは限らない可能性を指摘しています。地域で行われる糖尿病ケアにおいて、自己申告による食事の守り具合だけでは患者の状態を十分にとらえきれないかもしれないことを示した研究といえます。
原著論文の著者・所属:Mardiana(Nutrition Study Program, Universitas Negeri Semarang, Semarang, Indonesia)、Dwi Ria Latifah(Badan Gizi Nasional, Indonesia)、Dwi Octaviani(Badan Gizi Nasional, Indonesia)、Nayla Shafana(Badan Gizi Nasional, Indonesia)、Safrina Oksidriyani(Nutrition Study Program, Universitas Negeri Semarang, Semarang, Indonesia)、Soontaree Suratana(School of Health Science, Mae Fah Luang University, Thailand)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mardiana, Dwi Ria Latifah, Dwi Octaviani, et al. Diet quality and adherence in type 2 diabetes: Insights from Indonesian chronic disease management program participants. Springer Link (Chiba Institute of Technology) 2026-08-06. DOI: 10.1051/bioconf/202624705006. 原著ライセンス:CC BY.