掲載誌:Acta agriculturae Slovenica
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
何を目的とした研究か
パプリカ(Capsicum annuum L. var. grossum)は、赤・黄・緑と色によって見た目が大きく異なる野菜です。研究チームは、ベトナムのダラット高原で栽培された色の異なるパプリカについて、栄養価、植物に含まれる化学成分(ファイトケミカル)、そして抗酸化作用を評価することを目的に調査を行いました。
論文によれば、こうした調査の狙いは、食品の成分データを蓄積する基盤づくりに役立てることにあります。色ごとの違いが分かれば、食事の献立を考えるときの参考になるという位置づけです。
調べた項目と報告された結果
研究チームは、エネルギーのもとになる栄養素(糖質やたんぱく質など)、ビタミン、食物繊維、フェノール類やフラボノイドといった成分、抗酸化作用、さらに栄養の吸収を妨げる「抗栄養素」と呼ばれる物質を測定しました。
報告によると、低い濃度で検出されたエネルギー源となる栄養素については、色による大きな違いは概して見られませんでした。一方で、いずれの色のパプリカもビタミンAとビタミンCを豊富に含んでいたとされています。色ごとの特徴としては、赤パプリカがビタミンAで最も高い値(1812 IU mg-1)を示し、黄パプリカはビタミンCに富んでいました(164.70 mg 100 g-1)。緑パプリカは食物繊維の良い供給源と見られ、1.934 ± 0.022 g 100 g-1 という値が報告されています。
フェノール類(48.323 0.115〜48.914 ± 0.048 mg GEA g-1)とフラボノイド(76.401 ± 7.981〜90.841 ± 0.721 mg QE g-1)は、3色いずれもおおむね中程度の値だったと述べられています。抗酸化作用については、アスコルビン酸(ビタミンC)と比較した試験で黄パプリカが最も強く、IC50値は22.289 ± 2.716 µg ml-1 でした。IC50値とは、作用の強さを半分の効果が得られる濃度で表した指標で、値が小さいほど作用が強いことを意味します。
抗栄養素に関しては、3色いずれもシュウ酸(オキサレート)が低濃度で含まれており、タンニンは検出されなかったと報告されています。
この研究が示すこと
著者らの報告をまとめると、パプリカは色が違っても主要な栄養素の量には大きな差がない一方で、ビタミンAやビタミンC、食物繊維、抗酸化作用といった個別の項目では色ごとに得意分野が分かれる、という姿が浮かび上がります。
論文は、こうした知見が食品成分データベースの整備に科学的に寄与し、食事計画に活用できると述べています。同じ野菜でも色ごとに測り分けることで、食品の情報はより具体的なものになる、というのがこの研究から読み取れる意味です。
著者:Linh Thuy Thi Hoang、Thanh Nguyen-Kim Le、Khanh Gia Nguyen
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Linh Thuy Thi Hoang, Thanh Nguyen-Kim Le, Khanh Gia Nguyen. A comparative study on nutritional values of three different color bell peppers (Capsicum annuum L. var. grossum) planted in Da Lat Plateau. Acta agriculturae Slovenica 2026-09-29. DOI: 10.14720/aas.2026.122.3.21629. 原著ライセンス:CC BY.