著者の所属・活動拠点の国は、セルビアです。

掲載誌:Nutrients

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

清涼飲料、袋入りのスナック菓子、工場で大量生産されるパン・菓子類など、工業的な加工の度合いが高い食品は「超加工食品」と呼ばれます。著者らによれば、超加工食品を多くとることは、成人を含む研究で心臓や代謝の病気、心の不調などさまざまな健康上の問題との関連が報告されており、子どもや思春期の若者でも体重の増加などとの関連が指摘されています。また、こうした食習慣は単独で存在するのではなく、睡眠の問題や飲酒・喫煙といった他の行動と重なって現れる可能性があるとも考えられています。

一方、耳の中や頭の中で音が鳴っているように感じる「耳鳴り」は、子どもや若者にもみられますが、食生活との関係はほとんど調べられていません。研究チームは以前、同じ調査データを使い、甘い炭酸飲料やファストフードなど個々の食品と耳鳴りとの関連を報告していました。今回の研究では、セルビアのベオグラードの高校生を対象に、超加工食品に関わる食品をどのくらいの頻度でとっているかを点数化し、その点数が高いグループに属することと、性別、学業成績、睡眠、運動、飲酒、エナジードリンク、そして常に続く耳鳴りなど、幅広い特徴との関連を調べることを目的としました。

何をどのように調べたか

研究は、2019/2020年度にベオグラードの4年制中等学校(日本の高校に相当)で行われた学校単位の調査データを改めて分析したものです。ある一時点での状態を調べる「横断研究」と呼ばれる形式で、最終的に12校の1285人のデータが分析されました。当初は17校で調査する計画でしたが、新型コロナウイルス感染症による休校で調査が途中で打ち切られたことを、著者らは明記しています。

食習慣は、生徒自身が答える食品摂取頻度の質問票で調べられました。この質問票はもともと超加工食品の量を測るために作られたものではないため、研究チームは代わりの指標として「頻度に基づく代理スコア」を作りました。対象としたのは、甘い炭酸飲料、ファストフード、工業的に作られたパイやパン類、フライドポテト、甘い・塩味のスナック、ケチャップとマヨネーズ、マーガリンの7種類です。それぞれを「月1回以下」0点、「週単位」1点、「毎日以上」2点として合計し(0〜14点)、6点以上を最も高いグループとしました。著者らは、このスコアは食べた量や食事全体に占める超加工食品の割合を示すものではなく、あくまで摂取頻度のおおまかな目安であると説明しています。

耳鳴りは、耳鳴りを簡便に判別するための標準的な質問票で調べ、静かな場所で耳鳴りを「いつも」感じると答えた生徒を「常に続く耳鳴りあり」としました。統計分析では、複数の要因を同時に考慮したうえで、それぞれの特徴とスコアの最も高いグループに属する見込み(オッズ)との関連を調べました。

主な結果

分析対象のうち、スコアの最も高いグループは485人(37.7%)で、常に続く耳鳴りがあると分類されたのは165人(12.9%)でした。最も高いグループでは、学業成績が低い、起床時に疲れを感じる、飲酒する、喫煙する、エナジードリンクをよく飲む、運動が少ない、ギャンブルに参加する、常に続く耳鳴りがある、といった特徴が多くみられました。

複数の要因を同時に考慮した分析でも、いくつかの関連が残りました。女子は男子に比べて最も高いグループに属するオッズが低く(約0.70倍)、成績が非常に優秀な生徒と比べて成績が低い生徒ではオッズが約2.1倍でした。起床時に疲れを感じる生徒は、よく休めたと感じる生徒に比べて約1.6倍、飲酒する生徒は約1.3倍でした。

とくに大きな関連がみられたのは、エナジードリンクと耳鳴りです。エナジードリンクを月1回以下しか飲まない生徒に比べ、週単位で飲む生徒ではオッズが約2.8倍、毎日飲む生徒では約2.4倍でした。また、常に続く耳鳴りがある生徒では、ない生徒に比べてオッズが約2.5倍でした。なお、夜間の睡眠時間や運動については、複数の要因を同時に考慮すると全体として統計的に意味のある関連は認められませんでした。

研究チームは、スコアの区切り方を変える、マーガリンを除いた6品目でスコアを作り直す、回答が欠けている耳鳴りの扱いを変えるなど、条件を変えた分析も行いました。その結果、エナジードリンク、常に続く耳鳴り、低い学業成績などとの主な関連はおおむね保たれた一方、飲酒など一部の関連は条件によって弱まったと報告しています。

この研究が示すこと

この研究は、思春期の若者において、超加工食品に関わる食品を頻繁にとることが、エナジードリンクの摂取、起床時の疲れ、低い学業成績、飲酒、そして常に続く耳鳴りといった特徴と同時にみられやすいことを示しました。超加工食品をよくとる食習慣が、単独の食行動というより、生活や健康に関わるさまざまな特徴の重なりの中に位置している可能性をうかがわせる結果です。

ただし、これは一時点の調査に基づく関連であり、超加工食品が耳鳴りなどを引き起こすことを示したものではありません。また、スコアは実際の超加工食品の摂取量を測ったものではなく、調査の中断により体格などのデータが得られなかったことなど、著者ら自身が示す制約もあります。それでも、これまでほとんど検討されてこなかった若者の食習慣と耳鳴りとの関係について、より広い生活習慣の文脈から光を当てた点に、この研究の意味があるといえます。

原著論文の著者・所属:Milena Tomanic(Faculty of Medicine, Institute of Hygiene and Medical Ecology, University of Belgrade, 11000 Belgrade, Serbia)、Srđan Milovanović(Clinic for Psychiatry, University Clinical Centre of Serbia, 11000 Belgrade, Serbia; Faculty of Medicine, University of Belgrade, 11000 Belgrade, Serbia)、Olivera Stanojlović(Faculty of Medicine, Institute of Medical Physiology, University of Belgrade, 11000 Belgrade, Serbia)、Dušan Mladenović(Faculty of Medicine, Institute of Pathophysiology, University of Belgrade, 11000 Belgrade, Serbia)、Dragana Davidović(Faculty of Medicine, Institute of Hygiene and Medical Ecology, University of Belgrade, 11000 Belgrade, Serbia)、Milan Dobrić(Cardiology Clinic, Institute for Cardiovascular Diseases “Dedinje”, 11040 Belgrade, Serbia; Faculty of Medicine, University of Belgrade, 11000 Belgrade, Serbia)、Milena Vesković(Faculty of Medicine, Institute of Pathophysiology, University of Belgrade, 11000 Belgrade, Serbia)、Katarina Djurdjević(Faculty of Medicine, Institute of Hygiene and Medical Ecology, University of Belgrade, 11000 Belgrade, Serbia)、Šućro Madžgalj(Clinic for Mental Disorders “Dr Laza Lazarevic”, 11000 Belgrade, Serbia)、Dimitrije Zdravković(Cardiology Clinic, Institute for Cardiovascular Diseases “Dedinje”, 11040 Belgrade, Serbia)、Aleksandra Jovanović(Faculty of Medicine, University of Belgrade, 11000 Belgrade, Serbia)、Maja Lačković(Clinic for Psychiatry, University Clinical Centre of Serbia, 11000 Belgrade, Serbia; Faculty of Medicine, University of Belgrade, 11000 Belgrade, Serbia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Milena Tomanic, Srđan Milovanović, Olivera Stanojlović, et al. A Frequency-Based Proxy Score for Ultra-Processed Food Consumption Among Adolescents: Associations with Lifestyle Factors and Tinnitus. Nutrients 2026-08-10. DOI: 10.3390/nu18162603. 原著ライセンス:CC BY.