著者の所属・活動拠点の国は、トルコです。

掲載誌:Nutrients

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

超加工食品とは、主に工業用の原材料を組み合わせ、いくつもの工業的工程を経て作られる食品を指します。袋入りスナック菓子、清涼飲料水、インスタント麺、調理済みの食事などがこれに当たります。著者らによると、トルコでは国の調査データから、1日の摂取エネルギーの約3割が超加工食品に由来すると報告されており、その主な供給源は超加工のパン類、油脂類、焼き菓子類です。

超加工食品をどれだけ食べるかには、栄養の知識だけでなく、食材を選び調理する実際の力や、ふだんの食事全体の傾向も関わっている可能性があります。これらの要因はこれまで別々に調べられることが多かったため、研究チームは、トルコ最大の都市イスタンブールに住む成人を対象に、料理と食のスキル、インターネット上の健康的な食事情報を使いこなす力、地中海食への近さが、超加工食品の摂取とどう関連するかをまとめて調べました。

調査の方法

研究は、ある一時点のデータを集めて関連を調べる横断研究です。2026年1月から6月にかけてオンライン質問票を使い、ソーシャルメディアで募集した参加者とその知人に回答を求めました。分析対象となった293人は大半が女性で、平均年齢は約22.6歳と若い集団でした。著者らは、この参加者がイスタンブールの成人全体を代表するものではないと明記しています。

質問票には、トルコ語版として妥当性が確認済みの尺度を用いました。調理の技術や自信を測る「料理スキル」と、献立の計画、食品の選択、予算などの資源管理、調理の段取りといった幅広い力を測る「食のスキル」を別々に評価しました。あわせて、ネット上の健康的な食事情報を入手し、理解し、評価し、活用する力を測る尺度、地中海食にどれだけ近い食事をしているかを14項目で点数化する尺度も用いました。

超加工食品の摂取は、11の食品群それぞれについて摂取頻度に応じて0点か1点をつけ、合計0〜11点で表す短い質問票で評価し、6点以上を「摂取が多い」としました。著者らは、この点数は選ばれた食品群をどのくらいの頻度で食べているかを反映するもので、食事に占める超加工食品の量的な割合を表すものではないと述べています。

分析では、摂取スコアの高い群と低い群の比較、各指標どうしの相関に加え、年齢、性別、体格指数(BMI)、自炊や出前の頻度などを順に加えた重回帰分析を行い、他の要因をそろえたうえでも残る関連を調べました。

主な結果

参加者の57.0%が、超加工食品の摂取が多い群に分類されました。摂取が多い群は少ない群に比べて年齢が若く、自炊の頻度が低く、料理スキル、食のスキル、地中海食の点数がいずれも低いという結果でした。出前の頻度にも両群で統計的な差がみられましたが、中央値はどちらも週2回でした。

相関分析では、超加工食品の摂取スコアは食のスキル、地中海食の点数、料理スキル、年齢、自炊の頻度と逆向きに、出前の頻度と同じ向きに関連していました。最も強かったのは食のスキルとの関連でしたが、いずれも弱めから中程度の関連にとどまっています。

最終的な回帰モデルで、他の要因をそろえたうえでも超加工食品の摂取スコアの高さと独立して関連していたのは、若い年齢、食のスキルの低さ、地中海食の点数の低さの三つでした。一方、ネット上の食事情報を扱う力は摂取スコアと独立した関連を示さず、自炊や出前の頻度、料理スキルも最終モデルでは独立した関連が残りませんでした。最終モデルで説明できた摂取スコアのばらつきは、調整後で18.4%でした。

料理スキルについて著者らは、食のスキルと強く相関していたため独自の寄与が小さく見えた可能性を指摘しています。そのため、料理スキルが重要でないと解釈すべきではないとしています。

この研究が示すこと

若い女性が中心のこの参加者集団では、食のスキルが低い人や地中海食から遠い食事をしている人で、超加工食品を多く食べる傾向が同時にみられました。著者らは、栄養情報に触れられることが、そのまま食品を選び、買い、調理する実際の力に結びつくとは限らない点に注目しています。

ただし、この研究は横断研究のため、どちらが原因かは分かりません。食のスキルが低いから超加工食品に頼るのか、超加工食品に頼るうちにスキルを育てる機会が減るのか、どちらの可能性もあると著者らは述べています。この結果は、超加工食品の摂取を考えるうえで、知識に加えて日々の食を組み立てる力や食事全体のパターンにも目を向ける必要があることを示しています。

原著論文の著者・所属:Hatice Bayram(Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Health Sciences, Istanbul Gelisim University, 34310 Istanbul, Turkey)、Arda Ozturkcan(Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Health Sciences, Istanbul Gelisim University, 34310 Istanbul, Turkey)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hatice Bayram, Arda Ozturkcan. Food Preparation Skills, Digital Diet Literacy, Mediterranean Diet Adherence, and Ultra-Processed Food Consumption Among Adults Residing in Istanbul: A Cross-Sectional Study. Nutrients 2026-08-07. DOI: 10.3390/nu18162585. 原著ライセンス:CC BY.