著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Emirates Journal of Food and Agriculture
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
食物繊維を手軽にとれる「ファイバードリンク」の消費が広がっています。著者らによると、イヌリンやペクチンなどこれまで使われてきた繊維素材は比較的高価です。また、苦みや土っぽい後味、色や濁りといった点で、飲料の風味や見た目を損なうことがあります。
そこで研究チームが注目したのが、グルコマンナンです。グルコマンナンはマンノースとグルコースからなる多糖類で、コンニャク属の植物の芋から得られます。ほぼ白色で味にくせがないため、飲料の見た目や風味を変えにくい素材とされています。インドネシアでは、「ポラン」と呼ばれるコンニャク属の作物から得ることができます。ポランはやせた土地でも育ち、栽培の手間も少ない作物です。ただし著者らは、既存の研究や商品の多くはコンニャク由来のグルコマンナンを使っており、ポラン由来のものを飲料に用いた例はまだ少ないと指摘しています。
この研究では、ポラン由来のグルコマンナンにイソマルトオリゴ糖を組み合わせたファイバードリンクを調べました。イソマルトオリゴ糖は、腸内環境に関わるプレバイオティクスとして知られています。研究の目的は、この飲料の味や見た目の評価と、消費者が実際に飲みたい・買いたいと思うかを明らかにすることです。
何をどのように調べたか
試験に使われたのは、グルコマンナンとイソマルトオリゴ糖を含むチョコレート味のファイバードリンクです。比較対象として、市販のファイバードリンクが用意されました。
官能評価(人が実際に味わって評価する試験)には、訓練を受けていない15〜65歳の一般の人350人が参加しました。参加者は、どちらの飲料か分からないよう3桁のランダムな番号を付けた2つの試料を受け取りました。そして見た目、香り、味、口当たり(テクスチャー)、総合的な好ましさの5項目を、「非常に嫌い」の1点から「非常に好き」の7点までの7段階で採点しました。
さらに、インドネシア・ジョグジャカルタの大学キャンパスとショッピングセンターで、350人を対象とした消費者調査が行われました。アンケートでは、回答者の属性と、ふだんのファイバードリンクの飲用・購入習慣を尋ねました。あわせて、このグルコマンナン飲料への関心や購入意向、支払ってもよい価格、人に勧めたいかどうか、期待を満たしたかどうかも質問しました。
主な結果
官能評価では、グルコマンナン飲料が5項目すべてで市販品より統計的に有意に高い点数を得たと報告されています。総合的な好ましさの平均点は、グルコマンナン飲料が5.83点、市販品が4.84点でした。味は5.89点対4.75点、見た目は5.77点対4.92点、香りは5.80点対4.98点、口当たりは5.42点対4.75点でした。著者らは、とろみのあるなめらかな口当たりは、粘りの強い水溶性食物繊維であるグルコマンナンによるものと考えています。また、どちらを先に味わうかは参加者が自由に選べましたが、66%がグルコマンナン飲料を先に選んでいました。
消費者調査では、回答者の94.29%がこの飲料を飲みたい、また買いたいと答えました。飲みたい頻度として多かったのは週3回と週2回で、買いたい頻度では週1回が最も多くなっています。また、95.14%が中程度以上の関心を示しました。94%が人に勧めたいと答え、同じく94%が期待どおりかそれ以上だったと回答しています。
価格については、1回分あたり約0.31〜0.63米ドルなら支払ってもよいという回答が最も多く、半数近くを占めました。論文は、この価格帯が市場で一般的な市販ファイバードリンクの価格(おおむね0.93〜1.24米ドル)より低いことにも触れています。
研究チームは、どのような要因が飲用・購入の意向と関係するかを相関分析で調べました。その結果、収入の高さと、支払ってもよい金額や飲用意向との間に、統計的に有意な関連は見られませんでした。一方、似たファイバードリンクをふだんから飲んでいる人ほど飲用意向が高い傾向が、中程度の強さで認められました。ふだんから買っている人ほど購入意向が高い傾向も同様です。製品への関心の高さも購入意向と関連していました。
研究が示すこと
著者らは、ポラン由来のグルコマンナンとイソマルトオリゴ糖を組み合わせても、消費者に好まれる味や見た目を保った飲料を作れることが示されたとしています。また、購入や飲用の意向には、収入よりも、これまでの飲用・購入経験や製品への関心が関係していました。この結果から著者らは、似た製品になじみのある消費者を中心に、インドネシア市場での可能性があると述べています。
ただし論文自体も、見られた関連は中程度の強さにとどまり、研究には限界があるため、結果は慎重に解釈すべきだとしています。この研究は、地元で育つ作物を人々が実際に手に取りたいと思える食品に生かせるかを、味わいと消費者の意識の両面から確かめたものといえます。
原著論文の著者・所属:Rachma Wikandari(Center of Excellence for Indonesian Gastronomy, Universitas Gadjah Mada, Yogyakarta, Indonesia; Department of Food and Agricultural Product Technology, Faculty of Agricultural Technology, Universitas Gadjah Mada, Yogyakarta, Indonesia)、Kapela Vena Mahardika(Department of Food and Agricultural Product Technology, Faculty of Agricultural Technology, Universitas Gadjah Mada, Yogyakarta, Indonesia)、Muhammad Hafizhuddin Royyan(Department of Food and Agricultural Product Technology, Faculty of Agricultural Technology, Universitas Gadjah Mada, Yogyakarta, Indonesia)、Fayza Allya Kallista(Department of Food and Agricultural Product Technology, Faculty of Agricultural Technology, Universitas Gadjah Mada, Yogyakarta, Indonesia)、Dwi Larasatie Nur Fibri(Center of Excellence for Indonesian Gastronomy, Universitas Gadjah Mada, Yogyakarta, Indonesia; Department of Food and Agricultural Product Technology, Faculty of Agricultural Technology, Universitas Gadjah Mada, Yogyakarta, Indonesia)、Rochmad Indrawanto(PT Lautan Natural Krimerindo, Mojokerto, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Rachma Wikandari, Kapela Vena Mahardika, Muhammad Hafizhuddin Royyan, et al. Comparative study on hedonic preferences and consumer acceptability of glucomannan-based fiber drinks from porang (Amorphophallus oncophyllus). Emirates Journal of Food and Agriculture 2026-07-31. DOI: 10.3897/ejfa.2026.181305. 原著ライセンス:CC BY.