著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:JMM (Jurnal Masyarakat Mandiri)
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
取り組みの目的
インドネシアでは、零細・小規模・中規模事業者(UMKM)が家庭の食卓を支えるだけでなく、商品として食品を製造・販売しています。こうした事業者は、地域の食料確保や経済を支える存在です。一方で、生産量に見合うだけの品質や安全性が確保されているとは限りません。著者らは、事業者が食品安全の基準、使用が禁止されている食品添加物、ハラール認証を十分に理解していないことを課題として挙げています。
論文は、各地で報告されている不適切な事例を紹介しています。たとえば、ミートボール(肉団子)や揚げせんべいへのホウ砂(ボラックス)の使用、食品用ではない色素の使用、生鮮食品へのホルマリンの混入です。また、インドネシアでは食品・飲料のハラール認証の取得が段階的に義務化されています。ハラール認証とは、イスラム教の戒律に沿った食品であることを証明する制度です。ただし、申請手続きの複雑さが、小規模事業者にとって大きな壁になっています。
著者らによれば、これまでの支援活動の多くは、技術的な教育と、法的な認証手続きの支援が別々に行われていました。そこで研究チームは、シドアルジョ県プランボン郡ジェドンチャンクリン村で、三つの支援を一つにまとめた地域貢献活動を行いました。一つ目は食品安全の教育です。二つ目は、簡易検査キットを使って有害物質を自分たちで見分ける実習です。三つ目は、ハラール認証申請の支援です。対象は、事業者と、PKK(家族福祉向上を目指す女性中心の地域組織)のメンバーでした。活動の目的は、参加者が安全でハラールな食品をつくる力を高めることでした。
どのように進めたか
参加者は30人です。加工食品の事業者、健康飲料の製造者、村役場の職員、村の地域活動の担い手、PKKのメンバーが含まれていました。活動は準備、実施、評価の三段階で進められました。準備段階では、村役場、村営企業(BUMDes)、女性協同組合と協議し、参加者のニーズを整理しました。
実施段階の講義では、食品の品質基準と適正な製造方法を扱いました。あわせて、フードグレード(食品用として安全な基準)の容器・包装の選び方と、小規模事業者向けのハラール認証の手引きも取り上げました。続く実習では、参加者が食品サンプルを簡易検査キットで調べる練習をしました。対象は、ホウ砂、ホルマリン、そしてローダミンBやメタニルイエローなどの食品用ではない色素です。さらに、「セルフデクレア」方式による認証申請の書類づくりを支援しました。これは、事業者が自らハラールであることを申告する方式です。
評価には二つの方法を使いました。一つは、回答形式が決まった10問のテストです。講習の前後に同じテストを行い、理解度の変化を統計的に比べました。もう一つは参加者アンケートで、内容への満足度や、自分の事業との関連性を尋ねました。
主な結果
参加者の81.25%が女性で、多くは30〜50歳でした。実際に製造を行っている事業者は43.3%でした。
テストの平均点は、講習前の77.27%から講習後には84.24%へと上がり、上昇幅は6.97ポイントでした。講習前後の得点を比べる統計手法(ウィルコクソンの符号順位検定)でも、意味のある差が確認されたと報告されています(p<0.05)。
実習を通じて、参加者は検査キットの色の変化から、揚げせんべいに含まれるホウ砂や生鮮食材に含まれるホルマリンを自分で確認できるようになりました。また、繊維用の色素が使われた食品は色が不自然に鮮やかすぎます。参加者はこの特徴から、そうした食品を見分けられるようになったとされています。ハラール認証の支援では、参加者が簡単なハラール製品保証システムの手順書を作成できるようになりました。包装については、フードグレード基準の容器を選ぶ考え方を身につけたと報告されています。こうした容器は、有害な化学物質への接触を防ぐためのものです。
アンケートでは、90%の参加者が非常に満足したと答えました。認証書が実際に発行されるまで支援を続けてほしいという声もあがりました。
この取り組みが示すこと
著者らは、講義に加えて、実際に目で見て確かめる実習を組み合わせました。この組み合わせは、一方的な講義よりも参加者の理解を大きく変えるうえで効果的だったと、著者らは考えています。そのうえで、食品安全の教育、有害物質を見分ける実習、ハラール認証の支援を一体で行うこの方法は有効だったと結論づけています。小規模食品事業者が、品質、安全性、ハラール性を自分たちで守る力を育てられたというのが、その理由です。
この報告は、食品の安全確保と法的な認証手続きを一体で支援する方法を示しています。こうした支援が、地域の小規模事業者の課題に応える一つの方法になりうるということです。
原著論文の著者・所属:Etik Wahyuningsih(Program Studi S1 Farmasi dan Profesi Apoteker, Universitas Muhamamdiyah Surabaya Halal Center, Universitas Muhammadiyah Surabaya)、Isnaeni Isnaeni(Program Studi S1 Farmasi dan Profesi Apoteker, Universitas Muhamamdiyah Surabaya Halal Center, Universitas Muhammadiyah Surabaya)、Elok Siti Nurjannah(Program Studi S1 Farmasi dan Profesi Apoteker, Universitas Muhamamdiyah Surabaya)、Siti Nurhalizah(Program Studi S1 Farmasi dan Profesi Apoteker, Universitas Muhamamdiyah Surabaya)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Etik Wahyuningsih, Isnaeni Isnaeni, Elok Siti Nurjannah, Siti Nurhalizah PEMBERDAYAAN UMKM PANGAN MELALUI EDUKASI KEAMANAN, DETEKSI BAHAN BERBAHAYA, DAN PENDAMPINGAN SERTIFIKASI HALAL DI SIDOARJO. JMM (Jurnal Masyarakat Mandiri) 2026-07-30. DOI: 10.31764/jmm.v10i4.39979. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。