著者の所属・活動拠点の国は、ロシアです。
掲載誌:HSR (London)
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
食品に特定の栄養成分を加える工夫は、現代の食品技術の重要なテーマです。ただし、新しい素材を加えると、食感や味、色、調理中のふるまいが変わることがあります。そのため、どのくらいの量を加えるかは、品質を総合的に確かめながら決める必要があります。
海藻はミネラルや食物繊維などを含み、食品素材として期待されています。一方で、入れすぎると食品の構造が崩れたり、食べる人に受け入れられにくくなったりするおそれがあります。この論文は、小麦粉を使った麺状の料理品で、小麦粉の一部を昆布の粉末に置き換える場合に、どの程度の割合が適切かを実験で確かめることを目的としています。
何を調べたか
著者は、昆布粉末を含まない対照の試料と、小麦粉の5%、10%、15%、20%を昆布粉末に置き換えた試料を作りました。材料は高級等級の小麦粉、昆布粉末、水、塩、鶏卵、植物油で、昆布粉末と小麦粉の合計量は各試料で同じにしています。生地をこねて休ませ、ひも状にしてさらに休ませた後、直径2〜3ミリほどの麺に成形し、ゆでて仕上げました。
調べた項目は、生地と製品の水分と酸度、見た目・色・味・におい・ゆで上がり具合の官能評価(人が実際に見て食べて判定する評価)です。さらに、ゆでた後に形がどれだけ保たれるか(形状保持率)と、ゆで汁にどれだけ固形成分が溶け出すかも測りました。溶け出す量が少ないほど、ゆでても崩れにくく成分が失われにくいことを示します。加えて、対照と15%置き換えの試料について栄養価とエネルギー量を比べました。測定は3回ずつ行われています。
主な結果
昆布粉末の割合を増やすと、生地の水分は対照の43.1%から20%置き換えでは41.0%へと下がり、酸度は2.3から3.0へ上がりました。
ゆでたときの性質には、はっきりした傾向が見られました。置き換え率5〜15%の範囲では割合が増えるほど形が保たれやすくなり、15%では形状保持率が100%に達しました。ゆで汁に溶け出す固形成分は対照の5.8%から15%では4.1%まで減りました。ところが20%では形状保持率が95.0%に下がり、溶け出す量は6.9%に増えて、対照より悪い結果になりました。官能評価でも、15%の試料はすべての項目で対照と同じ最高点でした。一方、20%では色、味、においの評価が下がりました。
著者は、この傾向の理由として考えられる説明も示しています。海藻に含まれる多糖類には水分を抱え込む性質があり、適度な量なら生地の構造を安定させる可能性があります。しかし、小麦粉を置き換えすぎると、小麦のたんぱく質がつくる骨組みが乱れる可能性があるというものです。
100グラムあたりの栄養価を対照と15%の試料で比べると、15%の試料ではたんぱく質が20.8%、食物繊維が5.3%増えました。エネルギー量は3.8%減りました。カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄も増え、対照には含まれなかったβ-カロテンとビタミンCが検出されました。ただし著者は、これらの数値が健康上の効果や病気の予防効果を示すものではないと明記しています。
研究が示すこと
著者は、調べたすべての項目を総合し、小麦粉の15%を昆布粉末に置き換える配合が適切な割合だと結論づけています。この研究は、海藻素材は多ければよいわけではなく、適度な量では品質を保ちながら一部の性質を改善できる一方、入れすぎると品質が損なわれることを、具体的な実験結果で示したものといえます。
原著論文の著者・所属:Ergashev Javohir Tokhir ugli(Bashkir State Agrarian University)、Worldly Knowledge Publishing Centre(Worldly Knowledge Publishing Centre)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ergashev Javohir Tokhir ugli, Worldly Knowledge Publishing Centre. EXPERIMENTAL JUSTIFICATION OF THE RATIONAL DOSAGE OF KELP POWDER IN THE FORMULATION OF A FLOUR-BASED CULINARY PRODUCT. HSR (London) 2026-09-29. DOI: 10.5281/zenodo.23043852. 原著ライセンス:CC BY.