著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Ilmu Gizi dan Dietetik
ライセンス: CC BY 4.0 確認元: 雑誌の掲載方針
研究の目的
思春期の女子は、成長や月経によって鉄の必要量が増えるうえ、食事が偏ると血液中で酸素を運ぶヘモグロビンが十分につくられにくくなり、貧血になりやすいとされています。論文によると、2023年のインドネシア保健調査では15〜24歳の貧血の割合は15.5%でしたが、学校によってはこれよりはるかに高い割合が報告されています。
研究チームは、生徒が共同の食事をとる寄宿制の学校に注目しました。インドネシア・ゴロンタロにある寄宿制高校、ウィラ・バクティ統合高校の寮で暮らす女子生徒を対象に、タンパク質・鉄・ビタミンCの摂取と貧血との関連を調べることを目的としています。著者らは、タンパク質はヘモグロビンの材料や鉄の運搬に、鉄はヘモグロビンの主成分として、ビタミンCは植物性食品などに含まれる鉄(非ヘム鉄)の吸収を助ける役割として、それぞれ貧血に関わりうると説明しています。
調べた方法
研究は2024年に行われ、ある時点の状態をまとめて調べる「横断研究」という方法をとりました。分析の対象は、データがそろった女子生徒52人です。
食事の内容は、前日24時間に食べたものを聞き取る方法で、平日1日と週末1日の計2日分を調べました。その結果からタンパク質・鉄・ビタミンCの1日あたりの摂取量を計算し、インドネシアの栄養摂取基準と比べて「足りている」か「不足」かに分けています。
貧血かどうかは、指先から採った血液のヘモグロビン濃度で判断し、世界保健機関(WHO)の基準に従って12.0 g/dL未満を貧血としました。そのうえで、摂取が足りているかどうかと貧血の有無との関連を統計的に検定しています。
主な結果
対象者は16歳が最も多く、52人のうち33人(63.5%)が貧血と判定されました。ヘモグロビン濃度の平均は12.17 g/dLでした。1日あたりの平均摂取量は、タンパク質が約52 g、鉄が約9.4 mg、ビタミンCが約41 mgで、基準に対する充足度の平均はタンパク質が約80%だったのに対し、ビタミンCは約56%、鉄は約63%にとどまりました。摂取不足の生徒は、ビタミンCで65.4%、鉄で71.2%を占め、タンパク質よりも鉄とビタミンCの不足が目立っていました。
貧血の生徒に限ってみると、タンパク質の摂取不足は63.6%、鉄の不足は84.8%、ビタミンCの不足は87.9%に見られました。一方、ヘモグロビン濃度が正常な生徒では、3つの栄養素とも多くが基準を満たしていました。統計的な検定では、3つの栄養素すべてで摂取状況と貧血との間に意味のある関連が認められています。
また、論文によると対象者の90.4%が鉄剤(鉄を補う錠剤)を受け取っていましたが、それでも貧血の割合は高いままでした。著者らは、錠剤を受け取ったことと実際にきちんと飲んだことは同じではないため、この点は慎重に解釈する必要があると述べています。
研究が示すこと
この研究からは、寮で暮らす女子生徒の間で貧血が多く見られ、貧血の生徒ほどタンパク質・鉄・ビタミンCの摂取が不足している傾向があることが分かりました。ただし、同じ時点で調べた研究であるため、示されたのは関連であり、摂取不足が貧血を引き起こしたという因果関係までは証明されていません。また、調べたのは一人ひとりの摂取量であり、寮の献立全体が不十分だと結論づけるものではないと著者らは断っています。
著者らは、寮の食事で多様な食品を選べるようにすること、バランスのよい食事についての教育、そして推奨どおりに鉄剤を飲むことを強めることが必要だと提言しています。共同生活の場では、鉄剤を配るだけでなく、日々の食事の中身にも目を向けることが大切だということが、この研究から伝わってきます。
原著論文の著者・所属:Misnati Misnati(Program Studi Gizi, Poltekkes Kemenkes Gorontalo, Kota Tengah, Gorontalo 96135, Indonesia)、Anna Yuliastani Pomalingo(Program Studi Gizi, Poltekkes Kemenkes Manado, Manado, Sulawesi Utara 95162, Indonesia)、Pepi Sugianto Umar(Program Studi Gizi, Poltekkes Kemenkes Manado, Manado, Sulawesi Utara 95162, Indonesia)、Daniel Robert(Program Studi Gizi, Poltekkes Kemenkes Manado, Manado, Sulawesi Utara 95162, Indonesia)、Olfie Sahelangi(Program Studi Gizi, Poltekkes Kemenkes Manado, Manado, Sulawesi Utara 95162, Indonesia)、Fatmayanti Nawai(Program Studi Gizi, Poltekkes Kemenkes Manado, Manado, Sulawesi Utara 95162, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Misnati Misnati, Anna Yuliastani Pomalingo, Pepi Sugianto Umar, et al. Konsumsi Protein, Zat Besi, dan Vitamin C terhadap Kejadian Anemia Remaja Putri di Asrama Wira Bhakti. Jurnal Ilmu Gizi dan Dietetik 2026-09-30. DOI: 10.25182/jigd.2026.5.3.735-741. 原著ライセンス:CC BY.