掲載誌:Jurnal SAGO Gizi dan Kesehatan

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

インドネシアでは糖尿病の有病率が上昇しており、15歳以上を対象とした2023年の国の健康調査では、血糖検査に基づく有病率が11.7%と報告されています。血糖値の上がり方には、食事に含まれる炭水化物の「質」と「量」が関わります。その目安となるのが、食品が血糖値をどれだけ上げやすいかを示すグリセミック指数(GI)と、GIに実際に食べた炭水化物の量を掛け合わせて評価するグリセミック負荷(GL)です。

研究チームによると、学校での栄養教育が若者の知識や食行動を改善しうることは、これまでの研究でも示されてきました。一方で、食事のGLや血糖値の変化をあわせて調べた研究は多くありませんでした。そこで著者らは、冊子(ブックレット)を活用した複数の要素からなる栄養教育を4週間行い、その前後で高校生の栄養知識の得点(主な評価項目)、食事のGL、随時血糖値(食事の時間に関係なく測った血糖値)がどう変化したかを分析しました。

調べ方

研究は、インドネシア東ジャワ州マラン県の公立高校で、2026年4月から5月にかけて行われました。1年生422人を対象に指先の血液で随時血糖値を測定し、144 mg/dLを超えた25人全員が参加しました。著者らは、この基準は研究対象者を選ぶための目安であり、糖尿病の診断を意味するものではないと明記しています。参加者は15〜16歳で、76%が女子でした。体格の区分では「やせ」が48%と最も多く、家族に糖尿病歴のある人はいませんでした。

教育プログラムは4週間で、週ごとに内容が異なります。1週目は23ページの冊子を使った講義と話し合い(約60分)、2週目はGIやGLを手がかりに食材を選んで献立を作る実習、3週目はWhatsAppのグループを通じたフォロー、4週目は校内の売店での食べ物選びの支援でした。25人全員が最後まで参加しました。

評価には、研究チームが作成した16問の知識テスト、前日24時間に食べたものを聞き取る調査(ここから食事のGLを算出)、簡易血糖測定器による随時血糖値を用い、それぞれ教育の前後に1回ずつ測定しました。また、教育前の3か月間の食習慣を食物摂取頻度の質問票で調べ、食事全体のGIを算出しました。対照群を置かず、同じ参加者の前後を比べるデザインです。

主な結果

教育前の食習慣を見ると、食事全体のGIは平均74.05で、68%の生徒が「GIが高い」区分に入っていました。主な炭水化物源は白米で、24人(96%)が1日に複数回食べていました。

教育後には、食事のGLが平均で約120.5から89.58へ下がりました。GLが「低い」区分の生徒は24%から64%に増え、統計的にも意味のある変化と報告されています。随時血糖値は平均168.68 mg/dLから116.04 mg/dLへ下がり、25人中24人で低下しました。教育後も144 mg/dLを超えていたのは4人(16%)でした。

一方、主な評価項目とした栄養知識の得点は、平均87.73点から89.06点とわずかに上がったものの、統計的に意味のある変化とはいえませんでした。著者らは、多くの生徒が最初から高得点だったため伸びる余地が小さかった可能性を挙げていますが、それはこの研究だけでは確かめられないとしています。

結果が示すこと

この研究では、4週間の栄養教育の前後で、食事のGLと随時血糖値は下がりましたが、知識の得点にははっきりした変化が見られませんでした。ただし著者らは、これらの結果がプログラムの効果や長期的な血糖管理の改善を証明するものではないと強調しています。対照群がないこと、もともと血糖値が高かった生徒を選んだため再測定では値が平均に近づきやすいこと(平均への回帰)、測定前の食事時間をそろえていないこと、食事調査が1日分の聞き取りだけであることが、その理由です。また、教育は複数の要素を組み合わせたものなので、冊子単独の役割は切り分けられません。

著者らは、冊子は学校での栄養教育を支える教材の一つとして使えるとしています。そのうえで、随時血糖値が高かった生徒には、医療者による標準的な方法での血糖検査や確認検査が必要だと述べています。

原著論文の著者・所属:Naella Hoirotul Rohmah(Program Studi Sarjana Terapan Gizi dan Dietetik, Jurusan Gizi Politeknik Kesehatan Malang, Malang)、Annasari Mustafa(Program Studi Pendidikan Profesi Dietisien, Jurusan Gizi Politeknik Kesehatan Malang, Malang.)、Etik Sulistyowati(Program Studi Diploma 3 Gizi, Jurusan Gizi Politeknik Kesehatan Malang, Malang)、Sutomo Rum Teguh Kaswari(Program Studi Sarjana Terapan Gizi dan Dietetik. Jurusan Gizi Politeknik Kesehatan Malang, Malang)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Naella Hoirotul Rohmah, Annasari Mustafa, Etik Sulistyowati, Sutomo Rum Teguh Kaswari Perubahan pengetahuan gizi, beban glikemik diet, dan kadar glukosa darah sewaktu pada siswa SMA setelah edukasi gizi multikomponen berbantuan booklet. Jurnal SAGO Gizi dan Kesehatan 2026-08-13. DOI: 10.30867/gikes.v7i2.3365. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。