この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Matrik Jurnal Manajemen dan Teknik Industri Produksi
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的:複数の栄養基準で献立を比べる仕組みをつくる
インドネシアでは、国の栄養状態の改善を目的とする無償栄養給食(MBG)プログラムが進められています。著者らによると、このプログラムの成果は、食事を届けることだけでなく、栄養上の必要量に見合った献立を選べるかどうかにも左右されます。献立の候補はそれぞれ性質が異なり、複数の観点から同時に比べる必要があるため、献立選びは複雑な意思決定の問題になります。
研究チームは、従来の食品選択支援システムの多くが、設計段階で決めた固定の重み(各基準をどれだけ重視するか)を使っている点に注目しました。そのうえで、利用者が栄養基準ごとの重視度合いをその場で変えられるウェブ型の意思決定支援システムを開発し、計算が正しく行われるかを確かめることを目的としました。
何を調べたか:30の献立を5つの栄養基準で順位付け
システムが評価対象としたのは、中学生・高校生向けの範囲でまとめられた30通りの献立候補です。比較に使う基準は、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食物繊維の5つです。栄養値は、MBGプログラムの指針とインドネシア保健省の栄養所要量基準(AKG)に基づく既存のデータが用いられました。ビタミンやミネラルなどは、30候補すべてにそろったデータがなかったため対象外とされています。
順位付けには、多基準意思決定の手法の一つであるTOPSISが使われました。これは、各基準で最も良い値を集めた「理想の解」と最も悪い値を集めた「最悪の解」を想定し、各候補が理想にどれだけ近く、最悪からどれだけ離れているかをもとに「相対近接度」と呼ばれる点数を出す方法です。点数が高いほど優先度が高いと判断されます。開発したシステムでは、利用者が画面上で5つの基準の重みを設定してから計算を実行できるようになっています。
想定される利用者は、給食を担う調理拠点(SPPG)の担当者や管理者です。論文は、重みはシステム利用者が優先順位に応じて変えられる設定値であり、インドネシア全体の受益者の好みを代表するものではないと説明しています。
主な結果:手計算と一致し、献立4が最上位に
研究チームは、利用者の視点からシステムの各機能が動くかを確認するテストを21のシナリオで実施しました。ログイン、献立管理、TOPSISの計算、順位付け、報告書の作成などが対象で、論文は主要機能がシナリオどおりに動作したと報告しています。機能評価の総合スコアは84.9%でした。
計算の正確さについては、正規化や重み付け、理想解・最悪解との距離、相対近接度といった各段階の結果を、表計算ソフトでの手計算と照らし合わせました。その結果、計算の傾向と献立の順位は一致し、違いは一部の小数点以下の丸めによるものだけで、最終的な順位には影響しなかったとされています。
評価で用いた重みの設定のもとでは、献立4が相対近接度0.7215で1位となりました。理想の解との距離が小さく、最悪の解との距離が大きかったことが、高い点数につながっています。2位の献立30は0.4144で、献立6と献立12が0.4139で続きました。
この研究が示すこと
この研究は、これまで担当者の判断に頼って手作業で行われていた給食の献立比較を、決まった栄養基準に沿って一貫した手順で順位付けできるウェブシステムとして形にし、その計算が手計算と一致することを示しました。さらに、基準の重みを変えることで、利用者の優先順位に応じた異なる推薦結果を得られる点が、この研究の特徴とされています。
一方で著者らは、結果は対象とした30の献立と5つの栄養基準の範囲に限られ、費用や食材の入手しやすさ、食品の安全性、子どもたちに受け入れられるかどうかなどは含まれていないと明記しています。今回の成果は、栄養基準の重視度合いを切り替えながら献立を比べる道具を、限られた条件のもとで設計・検証した一歩と位置づけられます。
著者:Almuna Waroh(D.I. Panjaitan No.128 , Kabupaten Banyumas , Indonesia)、Ari Febriyanti(D.I. Panjaitan No.128 , Kabupaten Banyumas , Indonesia)、Rizq Athallah Puddin(D.I. Panjaitan No.128 , Kabupaten Banyumas , Indonesia)、Hasna Apriyanti(D.I. Panjaitan No.128 , Kabupaten Banyumas , Indonesia)、Rahma Sarita(D.I. Panjaitan No.128 , Kabupaten Banyumas , Indonesia)、Nurul Anisa(D.I. Panjaitan No.128 , Kabupaten Banyumas , Indonesia)、Halim Qista Karima(D.I. Panjaitan No.128 , Kabupaten Banyumas , Indonesia)、Ridho Ananda(Department of Industrial Engineering , Banyumas Campus -Universitas Telkom Jl)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Almuna Waroh, Ari Febriyanti, Rizq Athallah Puddin, et al. A Preference-Based Dynamic Weighting TOPSIS Framework for Web-Based Menu Recommendation in Indonesia's Free Nutritious Meal Program. Matrik Jurnal Manajemen dan Teknik Industri Produksi 2026-09-30. DOI: 10.30587/matrik.v27i1.12215. 原著ライセンス:CC BY.