著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Penelitian Pendidikan IPA
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、白米ぬか粉を加えたヤギ乳ヨーグルトを冷蔵保存したとき、生きている乳酸菌の数と抗酸化活性がどう変わるかを調べました。
論文によると、ヤギ乳は栄養面で注目されていますが、独特の「ヤギ臭さ」が好まれにくいという課題があります。著者らは、ヨーグルトに加工すると食べやすさや日持ち、機能面の価値を高められると述べています。米ぬかは精米で大量に出る副産物ですが、利用は主に家畜の飼料にとどまってきました。米ぬかにはフェノール類やトコフェロール、γ-オリザノールなど抗酸化作用に関わる成分と、食物繊維が含まれています。
これまでの研究は主に赤米のぬかを対象としていました。白米ぬか粉を加えたヤギ乳ヨーグルトについて、保存中の乳酸菌と抗酸化活性の変化を調べた情報は限られていました。著者らはこの点を明らかにすることを目的としました。
調べた方法
研究チームは、PE(プラナカン・エタワ)種のヤギの乳を殺菌し、市販のヨーグルト用スターター菌と4%の白米ぬか粉を加えて発酵させました。できたヨーグルトは小瓶に分け、4℃で0週、1週、2週、3週、4週保存しました。各条件は4回ずつ繰り返しています。
乳酸菌の数は、ヨーグルトを薄めて培地に塗り、育ったコロニー(菌の集まり)を数える方法で測りました。抗酸化活性はDPPH法で評価しました。DPPH法は、試薬に含まれる不安定な分子(ラジカル)をどれだけ打ち消せるかを見る試験管内の測定法です。結果はIC50で示しました。IC50はラジカルの半分を打ち消すのに必要な濃度で、値が小さいほど抗酸化活性が強いことを意味します。
主な結果
著者らの報告では、保存期間は乳酸菌数と抗酸化活性の両方に統計的に有意な影響を与えていました。
乳酸菌数は保存開始時が最も多く、1ミリリットルあたり約2.57×10の7乗個でした。2週目には約4.90×10の6乗個まで減りました。3週目にはいったん約1.72×10の7乗個に増え、4週目には約5.52×10の6乗個に下がりました。著者らは3週目の増加について、残った栄養分で一部の菌が増えた可能性と、測定操作によるばらつきの可能性を挙げ、この増加は慎重に解釈すべきだとしています。
抗酸化活性は、保存期間が長くなるほど強くなりました。IC50は保存開始時の226.85μg/mLから、4週目には64.98μg/mLへと低下しました。著者らの分類では、抗酸化活性は保存開始時に「中程度」でしたが、3週目と4週目には「強い」水準に達しました。
著者らは、この変化の理由を考察しています。1つは、乳酸菌が乳たんぱく質を分解し、抗酸化性のある小さなペプチドが生じるという説明です。もう1つは、乳酸菌の酵素が米ぬかの繊維を一部分解し、繊維に結びついていたフェノール類が遊離するという説明です。ただし論文は、このフェノール類の遊離という仕組みについては、今回の研究で直接確かめていないと明記しています。
研究が示すこと
冷蔵保存中、ヨーグルトの乳酸菌数は全体として減る傾向にあり、抗酸化活性は逆に強まりました。著者らは、この2つを合わせて考えると、品質と機能性のバランスがよいのは保存2週間までだと結論づけています。一方で、抗酸化活性を最優先するなら、3〜4週の保存でより強い抗酸化活性が得られる可能性があるとも述べています。
ただし、ここで示された抗酸化活性は試験管内の測定結果であり、著者らは安全性の評価もあわせて行う必要があると指摘しています。この研究は、副産物である白米ぬかをヤギ乳ヨーグルトの素材として使ったとき、冷蔵保存中に乳酸菌数と抗酸化活性がどう変わるかを具体的な数値で示したものです。
原著論文の著者・所属:Ajeng Erika Prihastuti Haskito(Universitas Brawijaya)、Salma Fauziyyah(Universitas Brawijaya)、Citra Sari(Universitas Brawijaya)、Agri Kaltaria Anisa(Universitas Brawijaya)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ajeng Erika Prihastuti Haskito, Salma Fauziyyah, Citra Sari, et al. Effects of Refrigerated Storage on Lactic Acid Bacteria Viability and Antioxidant Activity of Goat Milk Yogurt Fortified with White Rice Bran Flour. Jurnal Penelitian Pendidikan IPA 2026-10-29. DOI: 10.29303/jppipa.v12i10.15627. 原著ライセンス:CC BY.