著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

タンパク質を分解し、大きさ別に性質を比較

研究チームは、トウモロコシの加工副産物に含まれるタンパク質を使い、分解して得られるペプチドの大きさと、食品素材としての性質や抗酸化活性との関係を調べました。ペプチドは、アミノ酸がつながった分子です。この研究では、アミノ酸の一種であるグルタミンを含み、消化を模した処理の後にも残るペプチドを探すことも目的としました。

著者らは、コーングルテンミールを2種類の酵素で順に分解し、膜で分子の大きさごとに分けました。比較したのは、分子量が5キロダルトンを超える画分、3〜5キロダルトンの画分、3キロダルトン未満の画分と、分ける前の分解物です。各試料について、構造、加熱への安定性、泡立ちや油と水を混ぜ合わせる性質、試験管内での抗酸化活性などを評価しました。

小さい分子の画分で高かった抗酸化活性

著者らによると、分子量が小さい画分ほどグルタミン含有率が高く、5キロダルトン超の画分では12.53%、3キロダルトン未満では16.73%でした。最も小さい画分は、分画前の分解物に対する重量の割合も61.27%と、得られた画分の中で最大でした。

3キロダルトン未満の画分は、加熱による凝集が起こりにくく、熱に対して最も安定していました。また、小さい分子の画分は泡を作る能力や乳化する能力に優れる一方、できた泡や乳化状態を保つ性質は、分画前の分解物や大きい分子の画分の方が良好でした。つまり、分子を小さくすれば、すべての性質が一律に向上するわけではありませんでした。

抗酸化活性では、3キロダルトン未満の画分が、ABTSラジカルとヒドロキシルラジカルを除去する試験で最も高い能力を示しました。これらは反応性の高い分子を試験管内で取り除く力を測るもので、人が食べたときの健康効果を直接示す結果ではありません。

消化後にも見つかったグルタミン含有ペプチド

研究チームは、最も小さい画分について胃腸での消化を模した処理を行い、処理前後のペプチドを質量分析で調べました。前後で共通して見つかった1,747種類の配列から、グルタミンを含む205種類を抽出しました。このうち181種類は、分子量が1,000ダルトン未満の小さなペプチドでした。

さらに著者らは、アミノ酸配列を基に、水や脂質へのなじみやすさ、電荷、構造の安定性などをコンピューターで分析しました。これらの特徴から、205種類を、腸の内側のバリア機能に関わる候補として位置づけています。ただし、今回の候補ペプチドについて、腸のバリアを保護する作用そのものを実証したという意味ではありません。

この研究は、トウモロコシタンパク質の分解物を分子の大きさで分けると、抗酸化活性や食品素材としての性質が異なることを示しました。同時に、消化を模した処理後にも検出されるグルタミン含有ペプチドを具体的な配列として示した成果です。

原著論文の著者・所属:Yan Jing(Engineering Research Center of Plant Food Processing Technology, Ministry of Education, Qiqihar 161006, China; Heilongjiang Provincial Key Laboratory of Corn Deep Processing Theory and Technology, College of Food and Bioengineering, Qiqihar University, Qiqihar 161006, China)、Yating He(Heilongjiang Provincial Key Laboratory of Corn Deep Processing Theory and Technology, College of Food and Bioengineering, Qiqihar University, Qiqihar 161006, China)、Zedan Liu(Heilongjiang Provincial Key Laboratory of Corn Deep Processing Theory and Technology, College of Food and Bioengineering, Qiqihar University, Qiqihar 161006, China)、Nanxin Hong(Heilongjiang Provincial Key Laboratory of Corn Deep Processing Theory and Technology, College of Food and Bioengineering, Qiqihar University, Qiqihar 161006, China)、Xiaolan Liu(Engineering Research Center of Plant Food Processing Technology, Ministry of Education, Qiqihar 161006, China; Heilongjiang Provincial Key Laboratory of Corn Deep Processing Theory and Technology, College of Food and Bioengineering, Qiqihar University, Qiqihar 161006, China)、Jinyu Wang(Engineering Research Center of Plant Food Processing Technology, Ministry of Education, Qiqihar 161006, China; Heilongjiang Provincial Key Laboratory of Corn Deep Processing Theory and Technology, College of Food and Bioengineering, Qiqihar University, Qiqihar 161006, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yan Jing, Yating He, Zedan Liu, et al. Molecular Weight-Dependent Functional and Antioxidant Properties of Glutamine-Rich Corn Protein Hydrolysate: Insights into the Predicted Structural Characteristics of Identified Peptides. Foods 2026-09-17. DOI: 10.3390/foods15183283. 原著ライセンス:CC BY.