著者の所属・活動拠点の国は、韓国です。

掲載誌:Journal of the American Oil Chemists Society

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

市販されている生コーヒー豆(焙煎前の豆)は、植物としての種類や栽培条件、加工、取り扱いの違いによって成分が異なります。研究チームは、市販の生豆ロットについて、どのような成分の違いがみられるのかを記述的に明らかにすることを目的としました。

調べたのは、豆の基本的な物理・化学的性質に加え、油に溶けやすい性質をもつ「脂溶性」の栄養成分です。具体的には、β-カロテン、トコフェロール(ビタミンEの仲間)、植物ステロール、脂肪酸が対象となりました。さらに、ポリフェノールなどの量を示す総フェノール含量と、試験管内での抗酸化活性の指標であるDPPHラジカル消去活性も測定されました。

調べた豆と方法

対象は市販の生コーヒー豆10ロットで、そのうち5ロットはアラビカ種(Coffea arabica)、残り5ロットはロブスタ種(Coffea canephora)と表示されたものでした。著者らは種名を「表示に基づく」区分として扱っています。

測定結果は二つのグループ間で比較され、さらに多くの成分データをまとめて全体の傾向をみる主成分分析という手法を探索的に用いて、グループの分かれ方や成分どうしの関係も検討されました。

主な結果

論文によると、ロブスタ種と表示された豆は、アラビカ種と表示された豆よりも粗タンパク質の平均含量が統計的に有意に高く、12.63%対11.92%でした。

ロブスタ種表示のロットでは、総植物ステロール(平均91.44 mg/100 g)、β-カロテン(平均8.23 μg/100 g)、総フェノール含量(平均211.08 mg GAE/g)、DPPHラジカル消去活性(平均71.66%)の平均値も高いと報告されています。一方、アラビカ種表示の豆では、総トコフェロール(平均9.14 mg/100 g)、リノール酸(平均4.64 g/100 g)、測定した脂肪酸の合計(平均10.42 g/100 g)の平均値が高くなっていました。

主成分分析では二つのグループが分かれ、第1・第2の主成分がデータのばらつきのそれぞれ65.7%と14.0%を説明していました。また、全データをまとめてみると、総フェノール含量、β-カロテン、植物ステロール、DPPH活性は互いに正の相関を示し、総トコフェロールはこれらと逆の傾向を示しました。これらは相関関係であり、成分の間の因果関係を示したものではありません。

研究が示すこと

この研究は、調べた市販生豆ロットの範囲で、アラビカ種とロブスタ種の表示グループ間に脂溶性栄養成分や抗酸化活性の傾向の違いがあることを記述的に示しました。著者らは、今回の結果を対象ロットの成分に関する基礎的なデータとして位置づけています。

原著論文の著者・所属:Muyny Chhom(Department of Marine Convergence Science, Major in Marine Food Convergence Kangwon National University Gangneung Republic of Korea)、Youngmin Choi(Food and Nutrition Research Division National Institute of Crop and Food Sciences Wanju Republic of Korea)、Jung‐Ah Shin(Department of Marine Convergence Science, Major in Marine Food Convergence Kangwon National University Gangneung Republic of Korea)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Muyny Chhom, Youngmin Choi, Jung‐Ah Shin. Comparative Profiles of Lipophilic Nutrients and In Vitro Antioxidant Activity in Commercial Arabica and Robusta Green Coffee Beans. Journal of the American Oil Chemists Society 2026-10-08. DOI: 10.1002/aocs.70164. 原著ライセンス:CC BY.