著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:JURNAL Al-AZHAR INDONESIA SERI SAINS DAN TEKNOLOGI

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

肥満は、2型糖尿病や脂質異常症、心血管疾患など、さまざまな代謝の病気のリスクを高める世界的な健康課題です。研究チームは、身近な飲み物である緑茶(学名カメリア・シネンシス)に注目しました。緑茶には、生理的な働きを持つ成分が含まれています。カテキン類、なかでもエピガロカテキンガレート(EGCG)のほか、カフェインやアミノ酸の一種であるL-テアニンです。これらの成分が肥満に対して作用する可能性が指摘されてきました。

著者らは、緑茶が肥満の予防や管理にどのような仕組みで関わりうるのかを、これまでの研究成果をもとに整理することを目的としました。緑茶と肥満の関係に関する情報をまとめ、一般の人々や研究者、機能性食品の開発に携わる人々の参考資料とすることも狙いとしています。

どのように調べたか

この研究は新たな実験ではなく、既存の論文を集めて読み解く文献レビューです。著者らはScienceDirect、PubMed、Scopus、Google Scholarなど複数の学術データベースから、過去10年間に発表された論文を検索しました。検索語には、「緑茶」「カテキン」「EGCG」「カフェイン」「L-テアニン」などの語を使いました。これらを「肥満」「インスリン抵抗性」「脂質代謝」「脂肪肝」「腸内細菌叢」「炎症」などの語と組み合わせています。

検索で見つかった106本から重複3本を除き、題名と要旨の確認で肥満と直接関係しない17本を除外しました。続いて全文を読み、あらかじめ定めた基準で評価しました。主な基準は、緑茶やその主要成分を扱っていることと、体格指数(BMI)、体重、インスリンの効き具合、血糖、脂質などの指標を調べていることです。最終的に60本を分析に用いています。

報告された主な内容

著者らはまず、緑茶の主な成分を紹介しています。カテキン類は茶葉の乾燥重量の12〜24%を占め、茶のポリフェノールの大部分を構成するとされます。緑茶は発酵や酵素による酸化をさせずに作るため、ほかの茶に比べてカテキンが多く残ります。また、市販の緑茶製品を比べた既存の研究も取り上げています。そこでは、カテキンやカフェインの量が製品の種類、産地、測定時の抽出方法によって大きく異なることが示されています。

肥満に関わる仕組みとしては、複数の経路がまとめられています。まず腸内細菌です。高脂肪食で太らせたラットの研究で、緑茶抽出物や緑茶ポリフェノールが体重増加を抑えたと報告されています。腸内細菌の構成も、より正常に近い状態へ変化していました。次に脂肪肝です。動物実験では、肝臓への脂肪の蓄積や肝機能の指標が改善しました。人を対象とした研究も紹介されています。アルコールによらない脂肪肝の患者が緑茶抽出物を12週間摂取したところ、超音波検査で見た脂肪肝の程度が改善したと報告されています。さらに、摂取した群では体重、BMI、腹囲、肝機能の指標であるALTやASTの低下が対照群より大きかったとされています。

食欲に関わるホルモンについては、ラットの研究が取り上げられています。高脂肪食を与えたラットに緑茶の粉末や飲料を与えると、満腹感を伝えるホルモンであるGLP-1やPYYの分泌が増え、食べる量が減りました。インスリンの効き具合については、マウスの研究に加えて、人を対象とした研究も紹介されています。過体重の男性が緑茶抽出物と持久的な運動を8週間組み合わせた研究では、代謝に関わるホルモンであるアディポネクチンやイリシンが増え、体重や体脂肪が減少しました。内臓脂肪型肥満の成人を対象とした研究もあります。緑茶カテキンと食物繊維の一種イヌリンを12週間摂った結果、インスリン抵抗性の指標が偽薬群より低下したと報告されています。

こうした知見をもとに、著者らは緑茶が複数の経路を通じて肥満リスクの低下を支えうるとまとめています。その経路とは、炎症や酸化ストレスの抑制、腸内細菌叢の調整、インスリン感受性の改善、脂質代謝の改善、脂肪の燃焼や熱産生の促進です。

この研究が示すこと

このレビューは、緑茶と肥満の関わりが一つの作用にとどまらない可能性を整理して示しています。その範囲は、腸、肝臓、ホルモン、エネルギー代謝など多方面にわたります。著者らは、緑茶が肥満の予防と管理を支える栄養面の手段となる可能性があると結論づけています。

著者らはまた、腸内細菌の構成の違いによって緑茶への反応が人ごとに異なる可能性にも触れています。腸内細菌の特徴から緑茶への反応を予測するという個別化栄養の考え方です。ただし著者らは、この考え方はまだ可能性の段階にとどまると述べています。関連する研究が主に動物モデルに基づいているためで、人での検証が必要だとしています。茶のポリフェノールが腸内細菌アッカーマンシアを増やす仕組みについても、さらなる研究が必要だとしています。緑茶の多様な働きを見渡すとともに、どこにまだ確かめるべき点が残っているかを示した整理だといえます。

原著論文の著者・所属:Zahra Nur Baity(Universitas Al-Azhar Indonesia)、Syifa Khaila Safitri(Universitas Al-Azhar Indonesia)、Nayla Fauziah(Universitas Al-Azhar Indonesia)、Muhammad Fajril Falah(Universitas Al-Azhar Indonesia)、Alina Primasari(Universitas Al-Azhar Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Zahra Nur Baity, Syifa Khaila Safitri, Nayla Fauziah, Muhammad Fajril Falah, Alina Primasari Mekanisme Multitarget Teh Hijau (Camellia sinensis) Dalam Intervensi Obesitas: Tinjauan Literatur Satu Dekade Terakhir. JURNAL Al-AZHAR INDONESIA SERI SAINS DAN TEKNOLOGI 2026-10-19. DOI: 10.36722/sst.v11i3.5867. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。