著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Kesehatan Saelmakers PERDANA (JKSP)
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
月経周期の乱れは、生殖可能年齢の女性によく見られる状態です。生活習慣やホルモン、栄養などさまざまな要因が関わると考えられており、その一つとしてビタミンDが注目されています。ビタミンDは日光(紫外線B)を浴びることで皮膚で作られるほか、食事やサプリメント、栄養を強化した食品からも摂取できます。女性の卵巣や子宮内膜などの生殖組織には、ビタミンDと結びついて働く「ビタミンD受容体」があることも知られています。
一方で、ビタミンD不足は世界的に広く見られる栄養の問題です。著者が引用する資料では、インドネシアにおける不足の割合は35.1%から91.7%と報告されています。ビタミンDが低いことと月経の乱れとの関連を示す研究はあるものの、結果は一貫していませんでした。そこで著者は、血中ビタミンD濃度と月経周期の不規則さとの関係について、近年の研究成果を整理し、まとめることを目的としてこのレビューを行いました。
どのように調べたか
この研究は、新たに参加者を集めて測定を行うものではありません。既存の論文を読み比べ、内容を文章でまとめる「ナラティブレビュー(叙述的な文献レビュー)」という手法を用いています。著者はGoogle Scholar、PubMed、ScienceDirectの三つのデータベースで、2016年から2026年に発表された論文を検索しました。
対象としたのは、人を対象とし、15〜49歳の生殖可能年齢の女性について、血中ビタミンD濃度と月経周期の特徴や不規則さとの関係を調べた研究です。英語で発表され、全文を読めることも条件としました。動物や細胞を使った研究、対象年齢から外れる集団の研究は除外しています。題名と要旨による絞り込みの後に本文を確認し、最終的に条件を満たした5本の研究を分析しました。
主な結果
著者によると、取り上げた研究の多くで、血中ビタミンD濃度が低いことと月経周期の乱れとの関連が報告されていました。アフリカ系アメリカ人女性を対象とした2016年の研究では、ビタミンD濃度が高いほど、34日を超える長い周期になる可能性が低いという結果でした。ただし、この研究では短い周期や不規則な周期との間に有意な関連は見られませんでした。同じ研究グループが2018年に行った前向きコホート研究(参加者を一定期間追跡する研究)では、ビタミンDが不足している女性は、35日以上の長い周期になるオッズ(起こりやすさの指標)が約2.8倍でした。また、ビタミンDが低いほど、排卵前の卵胞期が長く、排卵後の黄体期が短くなりやすいことも報告されていました。
若い女性77人を対象とした研究では、ビタミンDが低いグループの40%が、月経の回数が少ない「希発月経」や月経が止まる「無月経」などの月経異常を報告していました。十分なグループでは、この割合は12%でした。2021年と2022年に報告された二つの横断研究(ある時点で調べる研究)でも、周期が不規則な女性は規則的な女性より平均のビタミンD濃度が低く、ビタミンDが低い人は不規則な周期のオッズが大幅に高いと報告されています。
関連を説明する仕組みとして、著者は生殖組織にあるビタミンD受容体の働きを挙げています。ビタミンDは、排卵や卵胞の成熟、子宮内膜の変化を調節する黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、エストロゲンといったホルモンと関わっている可能性があります。そのため、ビタミンDが不足するとホルモンのバランスが崩れ、周期の乱れにつながるのではないかと考察しています。
この研究が示すこと
著者は、血中ビタミンD濃度の低さが、生殖可能年齢の女性における月経周期の不規則さと関連していると結論づけています。ただし、もとになった研究の多くは観察研究です。そのため、ビタミンD不足が月経の乱れを引き起こすという因果関係までは確かめられていません。研究によって対象集団や不足と判定する基準が異なり、月経周期を自己申告に頼っている研究もあります。体格や運動、食事、日光を浴びる量など、ほかの要因の影響を十分に除けていない可能性についても、著者は指摘しています。
関連が特に見られたのは、長い周期や不規則な周期といった特定の乱れでした。著者は、ビタミンDと月経の関係は単純ではなく、月経の乱れの種類や対象者の特徴によって異なる可能性があると述べています。このレビューは、ビタミンDと月経周期の関係について現時点で分かっていることと、まだはっきりしていないことを整理したものといえます。
原著論文の著者・所属:Khalishah Salsabila, Audy(Universitas Airlangga, Surabaya, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Khalishah Salsabila, Audy Tinjauan Naratif: Kadar Serum Vitamin D dan Hubungannya dengan Ketidakteraturan Siklus Menstruasi pada Wanita Usia Reproduktif. Jurnal Kesehatan Saelmakers PERDANA (JKSP) 2026-08-30. DOI: 10.32524/jksp.v9i3.2242. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。