著者の所属・活動拠点の国は、カナダ、アメリカです。
掲載誌:Nutrients
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
砂糖の取りすぎは、肥満や2型糖尿病、心血管疾患、むし歯など、さまざまな慢性疾患との関連が指摘されてきました。世界保健機関(WHO)は2015年、「遊離糖類」の摂取を1日の総エネルギー摂取量の10%未満に抑えるよう勧告しています。遊離糖類とは、製造や調理の際に加えられた糖に、はちみつやシロップ、果汁にもともと含まれる糖を合わせたものです。ただし、この基準はむし歯との関連を根拠としたもので、食事全体の質との関係から導かれたものではありません。
カナダでは2019年版の「カナダ食生活指針」が、添加糖の少ない食品を選ぶことや、甘い飲み物の代わりに水を選ぶことを勧めています。この指針にどれだけ沿った食事をしているかを点数化するのが「健康的食事食品指数2019(HEFI-2019)」です。80点満点で、野菜・果物、全粒穀物、たんぱく質食品、植物性たんぱく質食品、飲み物、飽和脂肪、遊離糖類、ナトリウムなど10項目から構成され、点数が高いほど指針に沿った質の高い食事とみなされます。
研究チームは、カナダの子どもと大人を対象に、添加糖の摂取量とHEFI-2019の点数との関係を調べることを目的としました。糖がどのような食べ物から、どのような食事全体の中で摂られているかは人によって異なるため、添加糖の摂取量が同程度の人どうしでも、食事の質の点数には大きなばらつきがあるだろうという仮説を立てていました。
調べた方法
分析には、2015年に実施されたカナダ全国規模の栄養調査のデータが使われました。調査では、訓練を受けた調査員が対面で前日24時間に食べたものを聞き取っています。2歳未満の人、授乳中の人、エネルギー摂取量の報告がない人、やせの人などを除いた2歳から95歳までの1万9532人が分析対象となりました。
食品ごとの添加糖の量は、10段階の手順からなる既存の推定方法で見積もられました。カナダには食品の添加糖含有量をまとめた標準的な最新データベースがないため、一部の推定には仮定や判断が含まれています。研究チームは、1日の総エネルギーのうち添加糖が占める割合に応じて、5%未満、5〜10%、10〜15%、15〜20%、20%以上の5つのグループに参加者を分けました。
そのうえで、年齢、性別、学歴、喫煙の種類、そして食事量を実際より多くまたは少なく申告している可能性を考慮して、添加糖の摂取グループとHEFI-2019の点数との関係を統計的に分析しました。また、結果が全国の人口を反映するよう、調査の重みづけも用いています。
主な結果
添加糖が総エネルギーに占める割合の平均は9.7%で、10代の若者で高く、高齢の人で低い傾向がありました。分析対象の約65%は、米国の食事指針が推奨する添加糖10%未満の範囲に収まっていました。HEFI-2019の平均点は80点満点中42.4点でした。
添加糖の摂取割合が5%未満のグループと比べると、HEFI-2019の平均点は5〜10%のグループで3.22点、10〜15%で7.43点、15〜20%で13.18点、20%以上で17.52点低くなっていました。著者らは、添加糖の摂取量と食事の質の点数には負の関連があり、その関係は単純な直線ではなく、摂取量が最も多いグループで点数の低下が最も大きいと報告しています。
一方で、HEFI-2019にはもともと遊離糖類の項目と飲み物の項目が含まれており、添加糖が多いほど点数が下がる仕組みになっています。この2項目を除いて分析すると関連は弱まりました。著者らは、両者の関連の一部は指数の計算方法が重なっていることで大きく見えている可能性があると述べています。
また、同じ添加糖の摂取グループの中でもHEFI-2019の点数は広くばらつき、グループ間で点数の分布が大きく重なっていました。項目別に見ると、添加糖15%未満のグループでは各項目の点数の構成が比較的似ていましたが、15〜20%と20%以上のグループでは、飲み物、植物性たんぱく質食品、野菜・果物の点数が低いことが目立ちました。全粒穀物や植物性たんぱく質食品などの点数は、添加糖の摂取量にかかわらず全体的に低いままでした。
研究が示すこと
この研究は、カナダの全国調査を用いて添加糖の摂取量と食生活指針への適合度との関係を調べたものです。添加糖が多い人ほど食事の質の点数が低い傾向が見られた一方で、同程度の添加糖を摂る人どうしでも食事の質には大きな差がありました。
なお、この研究は関連を調べたもので、因果関係を示したものではありません。また、10年以上前のデータで、1日分の食事の聞き取りに基づいている点など、著者ら自身が限界も挙げています。
研究チームは、添加糖の摂取量だけでは食事全体の質を十分に表しきれない可能性があると結論づけています。食事の質を考えるには、一つの栄養素だけでなく、どのような食品を選んでいるかを多面的に捉える必要があることを示した研究といえます。
原著論文の著者・所属:Ye (Flora) Wang(Faculty of Land and Food Systems, University of British Columbia, Vancouver, BC V6T 1Z3, Canada; Nutrition Information Centre, Canadian Sugar Institute, Toronto, ON M5V 3E4, Canada)、Zhongqi Fan(Nutrition Information Centre, Canadian Sugar Institute, Toronto, ON M5V 3E4, Canada)、Sandra Marsden(Nutrition Information Centre, Canadian Sugar Institute, Toronto, ON M5V 3E4, Canada)、Chiara DiAngelo(Nutrition Information Centre, Canadian Sugar Institute, Toronto, ON M5V 3E4, Canada)、Laura Chiavaroli(Department of Nutritional Sciences, Temerty Faculty of Medicine, University of Toronto, Toronto, ON M5T 1R8, Canada; Li Ka Shing Knowledge Institute, St. Michael’s Hospital, Toronto, ON M5B 1W8, Canada; Toronto 3D Knowledge Synthesis and Clinical Trials Unit, Clinical Nutrition and Risk Factor Modification Centre, St. Michael’s Hospital, Toronto, ON M5B 1W8, Canada)、Mavra Ahmed(Department of Nutritional Sciences, Temerty Faculty of Medicine, University of Toronto, Toronto, ON M5T 1R8, Canada; Joannah and Brian Lawson Centre for Child Nutrition, University of Toronto, Toronto, ON M5T 1R8, Canada)、Mei Chung(Friedman School of Nutrition Science and Policy, Tufts University, Boston, MA 02111, USA; Nutrition Evidence Synthesis and Data Analysis LLC, Boston, MA 02135, USA)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ye (Flora) Wang, Zhongqi Fan, Sandra Marsden, et al. The Association Between Added Sugars Intake and the Healthy Eating Food Index 2019 Among Canadians: Analyses from the 2015 Canadian Community Health Survey—Nutrition Public Use Microdata File. Nutrients 2026-08-06. DOI: 10.3390/nu18152570. 原著ライセンス:CC BY.