著者の所属・活動拠点の国は、イタリア、スペイン、エクアドル、チリです。

掲載誌:European Journal of Pediatrics

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

超加工食品とは、工場で多くの工程を経て作られ、食品添加物などが加えられた加工度の高い食品を指します。安価で手軽に食べられ、おいしく日持ちもすることから、年齢を問わず広く食べられています。食品を加工の程度によって4つに分ける「NOVA分類」では、未加工や最小限の加工にとどまる食品、調理用の材料、加工食品と並び、最も加工度の高いグループに位置づけられています。

これまでの研究では、超加工食品を多く食べることが栄養バランスの偏りに加え、睡眠の質、画面を見る時間(スクリーンタイム)、身体活動などの生活習慣とも関係しうると報告されてきました。一方で、子どもの体を動かす時間、スクリーンタイム、睡眠時間をまとめて示した「24時間行動指針」と超加工食品との関係を、時間を追って調べた研究は未就学児ではありませんでした。

そこで研究チームは、スペインで子どもの食事・生活習慣と健康を追跡している「SENDOプロジェクト」のデータを用いて、4~5歳時点の超加工食品の摂取量が、2年後に24時間行動指針を守れているかどうかと関連するかを調べました。

どのように調べたか

対象は、スペイン在住で4~5歳時に登録された子どもです。保護者がオンライン質問票に回答し、毎年情報が更新されます。2023年3月より前に登録された1114人のうち、追跡できなかった人などを除いた586人が分析の対象になりました。なお、追跡できた子どもとできなかった子どもの間で、登録時の超加工食品の摂取量や指針の達成状況に有意な差はなかったと報告されています。

食事は149項目の食物摂取頻度調査票で保護者が回答し、各食品をNOVA分類に当てはめて、1日の総摂取エネルギーのうち超加工食品が占める割合を計算しました。子どもたちはこの割合によって3つのグループに分けられ、超加工食品の割合の平均は、少ないグループで26.11%、中間で37.16%、多いグループで47.88%でした。

24時間行動指針の達成は、世界保健機関(WHO)などの基準に従って判定しました。5歳未満の場合は、1日180分以上の身体活動(うち60分以上は活発な遊び)、娯楽目的のスクリーンタイムが1日1時間以内、睡眠10~13時間が目安です。5歳以上の場合は、中程度以上の身体活動が1日60分以上、スクリーンタイムが2時間以内、睡眠9~11時間とされています。研究チームは、2年後に満たせなかった項目の数を、年齢、性別、登録時点で満たせていなかった項目数、体格、母親の学歴、きょうだいの数などの影響を考慮したうえで比較しました。

主な結果

2年後の時点で、3項目すべてを満たしていた子どもは38.9%、どれも満たしていなかった子どもは8.0%でした。また、3つの項目は互いに関連しており、特にスクリーンタイムが長すぎることと睡眠不足との結びつきが強く見られました。

4~5歳時に超加工食品を最も多く食べていたグループは、最も少なかったグループに比べ、2年後に満たせなかった指針の数が多くなっていました。影響しうる要因を考慮した後でも、その割合は約1.27倍でした。また、摂取量が多いグループほど満たせない項目が増える傾向も統計的に確認されました。

項目ごとに見ると、この関連は主にスクリーンタイムによるものでした。超加工食品を最も多く食べていたグループは、スクリーンタイムの基準を超えるリスクが約1.82倍高く、推定される基準超過の確率は、最も少ないグループの0.15に対して0.23でした。娯楽目的のスクリーンタイムの平均は、最も少ないグループで1日0.94時間、最も多いグループで1.31時間でした。一方、身体活動と睡眠の項目については、超加工食品の摂取量との関連は見られませんでした。

結果が示すこと

著者らは、幼児期に超加工食品を多く食べていたことが、その後の生活習慣、とりわけ画面を長く見る習慣に先立って現れていたと述べています。両者のつながりの背景として、画面を見ながら手軽な菓子類を食べる習慣や、家庭での食事・画面のルールづくりのあり方などを考察しています。ただし、これは観察研究であり、因果関係を示したものではありません。画面を長く見る子どもほど食品広告に触れて超加工食品を食べやすくなるという逆向きの関係もありうる、と著者ら自身が指摘しています。

また、食事や生活習慣はすべて保護者の回答に基づいていること、超加工食品の摂取量は最初の時点でしか測っていないこと、参加者が自ら応募した人たちで学歴の高い家庭に偏っていること、追跡できなかった人が多いことなども限界として挙げられています。

それでも、幼い時期の食習慣と体の動かし方・画面時間・睡眠といった1日の過ごし方は切り離せないことを、この研究は時間を追ったデータで示しました。著者らは、食事と24時間の行動を一体として捉える視点の大切さを強調しています。

原著論文の著者・所属:Nadia Paladino(Department of Biomedical and Biotechnological Sciences, University of Catania, 95123, Catania, Italy)、Miguel Ángel Martínez-González(Biomedical Research Network Center for Pathophysiology of Obesity and Nutrition (CIBEROBN), Carlos III Health Institute, 28029, Madrid, Spain; Department of Preventive Medicine and Public Health, School of Medicine, University of Navarra, 31008, Pamplona, Spain; Instituto de Investigación Sanitaria de Navarra (IdiSNA), Navarra Institute for Health Research, 31008, Pamplona, Spain)、José Francisco López-Gil(School of Medicine, Universidad Espíritu Santo, Samborondón, Ecuador; Vicerrectoría de Investigación y Postgrado, Universidad de Los Lagos, Osorno, Chile)、Giuseppe Grosso(Department of Biomedical and Biotechnological Sciences, University of Catania, 95123, Catania, Italy)、Nerea Martín-Calvo(Department of Preventive Medicine and Public Health, School of Medicine, University of Navarra, 31008, Pamplona, Spain. [email protected]; Instituto de Investigación Sanitaria de Navarra (IdiSNA), Navarra Institute for Health Research, 31008, Pamplona, Spain. [email protected]; Pathophysiology of Obesity and Nutrition, Centro de Investigación Biomédica en Red, Instituto de Salud Carlos III, Madrid, Spain. [email protected])

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nadia Paladino, Miguel Ángel Martínez-González, José Francisco López-Gil, et al. Prospective association between baseline ultra-processed food consumption and future adherence to the 24-h movement guidelines in children: findings from the SENDO project. European Journal of Pediatrics 2026-07-29. DOI: 10.1007/s00431-026-07287-6. 原著ライセンス:CC BY.