著者の所属・活動拠点の国は、オランダです。

掲載誌:International Journal For Multidisciplinary Research

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

慢性腎臓病が進み、定期的な血液透析(維持血液透析)を受けている人は、低栄養や筋肉の衰えが起こりやすいとされています。食欲の低下、食事制限、体内の慢性的な炎症、透析中の栄養素の喪失などが重なるためです。なかでも、筋肉の量や筋力、身体機能が低下していく「サルコペニア」は、動きにくさや入院の増加などにつながる問題として注目されています。

研究チームは、インドの透析患者では食事の摂取量とサルコペニアの関係を示すデータが限られている点に着目しました。そこで、維持血液透析を受ける患者がどの程度のエネルギーとたんぱく質をとっているのか、また、その摂取量がサルコペニアの程度とどう関連するのかを調べました。

調べ方

研究は、インド・ハイデラバードの一つの病院で、維持血液透析を3か月以上続けている18歳以上の成人患者100人を対象に行われました。ある一時点の状態を調べる横断研究で、時間を追って変化を観察したものではありません。

食事の内容は、前日の24時間に食べたものを思い出してもらう聞き取りと、普段の食品のとり方を尋ねる質問票で調べました。栄養状態は、問診や身体所見から総合的に判断する「主観的包括的評価(SGA)」と、国際的な低栄養の診断基準である「GLIM基準」で評価しました。サルコペニアについては、筋力や歩行、転倒などを尋ねる簡易質問票「SARC-F」でリスクを判定し、握力計で握力も測りました。そのうえで、これらの指標同士の関連を統計的に分析しています。

主な結果

SARC-Fによる判定では、参加者の55%がサルコペニアの「リスクあり」、23%が「重度のリスクあり」に分類されました。栄養状態についても、SGAでは54%が軽度〜中等度、31%が重度の低栄養と判定され、GLIM基準では77%が中等度、17%が重度の低栄養に分類されました。

食事摂取量は全体的に少なく、90%の人が1日のエネルギー摂取量1000kcal未満、95%の人が1日のたんぱく質摂取量40g未満でした。論文はこれを、透析患者に推奨される目安を大きく下回る水準だと報告しています。

関連の分析では、握力が弱い人ほどサルコペニアの点数が高い(程度が重い)という負の相関が認められました。また、エネルギー摂取量が少ない人ほどサルコペニアの点数が高い傾向も統計的に有意でした。たんぱく質摂取量についても、本文の解析では少ない人ほどサルコペニアの点数が高いという弱い負の相関が報告されています。一方、たんぱく質摂取量と握力の間には有意な関連は見られませんでした。エネルギー摂取量と握力の関係は弱い正の相関で、用いた統計手法によって有意かどうかが分かれています。

さらに、SARC-Fによるサルコペニアのリスクと、SGAやGLIM基準による低栄養の判定との間には、統計的に有意な関連は見られませんでした。著者らはこの結果から、サルコペニアと全般的な低栄養は重なり合う部分があるものの同じものではなく、それぞれを別に評価する必要があると述べています。

この研究が示すこと

この研究は、調査対象となった透析患者の多くで食事摂取量が不足し、低栄養やサルコペニアのリスクが広くみられたことを示しています。また、エネルギー摂取量の少なさや握力の弱さが、サルコペニアの程度の重さと関連していました。ただし、一時点の調査であるため、食事の不足が筋肉の衰えを引き起こしたという因果関係までは確かめられていません。

著者らは、単一施設での比較的小規模な調査であることや、食事内容が本人の記憶に基づく自己申告であることを限界として挙げています。そのうえで、透析患者に対して栄養状態とサルコペニアを定期的に評価し、一人ひとりに合わせた栄養指導を行うことの重要性を指摘しています。

原著論文の著者・所属:A. Jahnavi Singh(PG Student , Department of Food and Nutrition , Veeranari Chakali Ilamma Women's University , Koti , Hyderabad)、P. Ashlesha -、B.Harita -、Rubina Begum -

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):A. Jahnavi Singh, P. Ashlesha -, B.Harita -, Rubina Begum - Assessment of Dietary Intake and Its Association with Sarcopenia Severity among Chronic Kidney Disease Patients. International Journal For Multidisciplinary Research 2026-08-06. DOI: 10.36948/ijfmr.2026.v08i04.85270. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。