著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Ilmu Gizi Journal of Nutrition Science
ライセンス: CC BY-SA 2.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
研究のねらい
都市部の大学生は、エネルギーの多いファストフードをよく食べる一方で食物繊維が不足しがちで、肥満のリスクを高めるおそれがあると論文は指摘しています。インドネシアでは豆類やイモ類を食べる人の割合が低いことも、背景として挙げられています。
そこで著者が注目したのが、インドネシアで採れるイモの一種「ポラン」(Amorphophallus oncophyllus)です。ポランはこんにゃく芋の仲間で、収穫の多くは日本へ輸出され、国内では加工品がまだ少ないといいます。著者は、カロリーの低いポラン芋の粉を小麦粉の一部の代わりに使い、植物性たんぱく質源である赤いんげん豆のあんを添えたパンケーキを考えました。この研究の目的は、肥満の大学生向けの低エネルギーな間食を想定して、このパンケーキがどの程度好まれるか(受容性)を評価することです。
どのように調べたか
研究は2026年1〜2月、インドネシアのアイルランガ大学の官能評価室で行われました。官能評価とは、人の目・鼻・舌などの感覚で食品の性質を評価する方法です。まず予備試験として、小麦粉100gのうちポラン芋粉を20g・40g・60g・80gと段階的に置き換えた4種類のパンケーキと、小麦粉だけの対照を用意し、3人の評価者が試食しました。その結果、ポラン芋粉40gの配合が最も好まれ、60g・80gの配合は評価が低くなりました。
本試験では、対照(F0)、ポラン芋粉20g(F1)、40g(F2)の3種類に絞りました。ポラン芋粉を使った配合には、赤いんげん豆のあん15gをフィリングとして添えています。評価者は各配合のパンケーキを試食し、色・香り・食感・味のそれぞれを、どのくらい好ましいかを1〜5の5段階で採点しました。そのうえで、配合によって評価に統計的な差があるかを調べました。
主な結果
3種類の間で、香りと食感の評価には統計的に意味のある差は見られませんでした。一方、色と味の評価には差がありました。
色については、対照とF1の間に有意な差はなく、F2は対照ともF1とも差がありました。論文は、ポラン芋粉がもともと黄褐色を帯びており、褐色の原因となる成分を含むため、置き換える量が多いF2では焼き上がりの表面が暗くくすんだ色になり、好まれにくくなったと考察しています。
味については、有意な差が見られたのは対照とF2の間だけでした。F1は対照と同じくらい好まれ、F1とF2の間にも差は認められませんでした。著者は、ポラン芋粉に残るシュウ酸などの成分が独特の後味やざらつき、えぐみを生むことが、F2で味の評価が下がった理由と考えられるとしています。少ない置き換え量では赤いんげん豆あんの甘みがポラン特有のわずかな苦みを覆い隠していた可能性がある一方、量が増えるとポランの風味が目立つようになったと論じています。
この研究が示すこと
小麦粉をポラン芋粉に置き換える量が20g程度なら、色も味も小麦粉だけのパンケーキと同程度に受け入れられました。一方、40gまで増やすと、色と味の好ましさが下がることが示されました。なお、この研究で調べたのは食べた人の好みであり、パンケーキの栄養価や健康への効果を測定したものではありません。地元のイモと豆を間食に取り入れようとするとき、人がおいしいと感じられる置き換え量には限度があることを、具体的な配合で示した研究といえます。
原著論文の著者・所属:Shanty Novita Duri(Universitas Airlangga)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Shanty Novita Duri The Effect of Porang (Amorphallus O.) Flour and Red Bean Substitution on Pancake Acceptability. Jurnal Ilmu Gizi Journal of Nutrition Science 2026-08-31. DOI: . 原著ライセンス:CC BY-SA 2.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。