著者の所属・活動拠点の国は、トルコです。

掲載誌:Food Science & Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

アクアファバは、豆を煮たときにできる煮汁のことで、卵白の代わりに使える材料として知られています。研究チームは、パンケーキとメレンゲで卵白の代わりにアクアファバを使った場合、生地の流れやすさや変形のしかた(レオロジー特性)と、焼き上がった製品の性質がどう変わるかを調べました。

製品の性質としては、硬さなどの食感、色、電子顕微鏡(SEM)で見た内部構造を評価しています。

何を調べたか

著者らは、パンケーキとメレンゲの配合で、卵白の50%または100%をアクアファバに置き換えた試料を作りました。

生地の性質は、大振幅振動せん断(LAOS)という方法で測定しました。これは、生地に比較的大きな変形を往復させて加え、そのときの応答から、弾性(形を保とうとする性質)や粘性(流れようとする性質)が変形の大きさによってどう変わるかを調べる手法です。結果は、変形と応力(生地内部に生じる単位面積あたりの力)の関係を描いたリサージュ曲線や、そこから求める指標で評価されました。

主な結果

論文によると、リサージュ曲線から、卵白をアクアファバに置き換えると応力の値が小さくなることが示されました。アクアファバは生地の構造に影響し、変形を加えたときに生地に蓄えられるエネルギー(貯蔵エネルギー)と、変形の過程で熱などとして失われるエネルギー(散逸エネルギー)がいずれも減少したと報告されています。

LAOSの指標からは、パンケーキとメレンゲの生地はどちらも、変形が大きくなるほど硬く振る舞う「ひずみ硬化」を示しました。粘性の観点からは、パンケーキの生地は変形を受けると流れやすくなる「せん断減粘」、メレンゲの生地は逆に流れにくくなる「せん断増粘」の性質を示したとされています。

焼き上がった製品では、アクアファバを使うとパンケーキとメレンゲのいずれも硬さが低下し、その差は統計的に有意でした。顕微鏡観察では、置き換える割合が増えるにつれて、パンケーキでは内部の隙間の多さ(多孔性)が減り、メレンゲではより層状でもろい構造が見られたと報告されています。

研究が示すこと

この研究は、卵白をアクアファバに置き換えると、パンケーキとメレンゲの生地の力学的な振る舞いが変わり、製品の硬さや内部構造にも違いが出ることを、生地の測定と製品の観察の両面から示しました。卵白の代わりにアクアファバを使うとき、置き換えの割合によって生地や仕上がりの何が変わるのかを理解するための手がかりとなる報告です。

原著論文の著者・所属:Esra Özyiğit(Department of Food Engineering, Faculty of Engineering and Natural Sciences Manisa Celal Bayar University Manisa Turkey)、Selen Erkoç(Department of Food Engineering, Faculty of Engineering Ege University Izmir Turkey)、İpek Özcan(Department of Food Engineering, Faculty of Engineering Ege University Izmir Turkey)、Seher Kumcuoglu(Department of Food Engineering, Faculty of Engineering Ege University Izmir Turkey)、Şebnem Tavman(Department of Food Engineering, Faculty of Engineering Ege University Izmir Turkey)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Esra Özyiğit, Selen Erkoç, İpek Özcan, et al. Investigation of the Effects of Aquafaba Used Egg Replacers on Pancake Batter and Meringue Foam Rheology and Products Properties. Food Science & Nutrition 2026-10-01. DOI: 10.1002/fsn3.72392. 原著ライセンス:CC BY.