著者の所属・活動拠点の国は、トルコです。

掲載誌:Polish Journal of Food and Nutrition Sciences

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

乾燥を速めながら品質を保てるか

研究チームは、マルメロの果実を乾燥する前の処理によって、乾燥時間や仕上がりの色、含まれる成分がどう変わるかを調べました。対象としたのは、減圧した装置内で赤外線を当てる乾燥法です。前処理を組み合わせることで、乾燥の効率と品質の両方を改善できるかを検討しました。

著者らは、皮をむいて厚さ5ミリに切った果実に、クエン酸溶液への浸漬、超音波、エタノールへの浸漬、凍結・解凍、短時間の湯通しなど、組み合わせを含む10種類の前処理を施しました。その後、同じ装置条件で水分が約12%になるまで乾燥し、色や水で戻したときの吸水性、フェノール類の量、抗酸化活性などを比較しました。なお、超音波処理の基本条件は、クエン酸溶液中で5分間処理するものでした。

組み合わせると乾燥は速まった

クエン酸溶液だけで処理した試料の乾燥時間は180分でした。これに対し、超音波処理では160分、エタノール処理では138分となり、ほかの前処理でも乾燥時間は短くなりました。最も短かったのは、クエン酸を含む湯での湯通し後に、エタノール中で超音波処理を行った試料で、94分でした。

一方、処理の組み合わせは仕上がりにも影響しました。組み合わせた試料では明るい色になる傾向が見られましたが、水で戻したときの吸水性は低下し、とくに三つの処理を組み合わせた試料で低くなりました。乾燥時間の短縮が、ほかの品質指標の改善にそのままつながったわけではありませんでした。

成分の保持では超音波処理が良好

乾燥試料のうち、総フェノール量、フラボノイド類と縮合タンニンの総量、二つの試験で測った抗酸化活性が最も高かったのは、クエン酸溶液中で超音波処理した試料でした。エタノールと超音波に、凍結・解凍や湯通しを組み合わせた試料などでは、これらの成分量や活性が低くなる傾向が報告されました。

研究チームはさらに、胃や腸での消化を試験管内で再現し、消化後の液中に回収される成分の割合を調べました。これは、実際に体内へ吸収された割合を測ったものではありません。消化後には、総フェノール量、フラボノイド類、縮合タンニンの量と抗酸化活性が低下しました。とくに処理を組み合わせた試料では、消化後に回収されるフェノール類の割合が低くなる傾向がありました。

また、著者らは、糖の分解に関わる酵素であるα-グルコシダーゼの働きを抽出物が抑える活性も測定しました。論文は、この指標でも超音波処理した乾燥試料が、組み合わせ処理より良好だったと報告しています。これは抽出物を使った酵素試験の結果です。

速さと成分保持を分けて考える

著者らは、今回の乾燥条件では、前処理を重ねるよりも個別に用いる方が品質の損失を抑えやすく、なかでも超音波処理が最も適していたと結論づけました。この研究は、乾燥を速める処理と、成分や吸水性を保つ処理が必ずしも同じではないことを示しています。

原著論文の著者・所属:Serdar Uğurlu(Department of Plant and Animal Production , Yüksekova Vocational School , Hakkari University , Hakkari , 30100 , Türkiye)、Emre Bakkalbaşı(Department of Food Engineering , Faculty of Engineering , Van Yüzüncü Yıl University , Zeve Campus , 65080 Van , Türkiye)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Serdar Uğurlu, Emre Bakkalbaşı. Evaluation of the Effect of Pretreatment Processes on the Bioactivity and Physicochemical Properties of Quince Slices Dried Using Vacuum-Combined Infrared Radiation. Polish Journal of Food and Nutrition Sciences 2026-09-07. DOI: 10.31883/pjfns/235669. 原著ライセンス:CC BY.