この研究は、中国の研究機関の研究論文です。
掲載誌:Food Chemistry X
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
豚肉ジャーキーは、味付けした肉を乾燥させて作る保存性の高い食品です。乾燥の時間は、水分の抜け方、色の付き方、加熱で糖とアミノ酸が反応して色や香りを生む「メイラード反応」、そして香りのもとになる揮発性有機化合物(VOC)に影響します。
研究チームは、乾燥時間の違いがジャーキーの物理的・化学的な性質と香り成分をどう変えるかを調べました。さらに、香り成分の測定データから品質に関わる値を予測できるかどうかも検討しました。
何を調べたか
著者らは豚肉ジャーキーを80℃で4〜6時間乾燥させ、味付けだけして乾燥していない試料を比較用の対照としました。そのうえで、試料の物理的・化学的な性質、遊離アミノ酸、香り成分の「指紋」とも言えるパターンを評価しました。
香り成分の分析には、ガスクロマトグラフィー・イオン移動度分析法(GC-IMS)が使われました。これは、気体になった成分を分離し、さらにイオンになったときの動きやすさの違いで見分ける手法です。
次に、GC-IMSのデータを入力として、水分含量、420ナノメートルの光の吸収(吸光度)、蛍光強度、そして色を表すL*値(明るさ)、a*値(赤みと緑み)、b*値(黄みと青み)を予測する機械学習モデルを作りました。用いたのは、サポートベクター回帰(SVR)とエクストラツリー回帰(ETR)という2種類の手法です。
また、モデルがどの香り成分を重視して予測したのかを調べるため、SHAPと呼ばれる解析を用いました。SHAPは、予測結果に対する各入力の寄与を示し、機械学習の判断を人が解釈しやすくするための手法です。
主な結果
GC-IMSでは53の香り成分のシグナルが検出され、その構成は乾燥の過程で大きく変化したと報告されています。
2つの予測モデルは、学習に使わなかった試験用データでも高い性能を示しました。予測値と実測値の一致度を表す決定係数(R²、1に近いほど一致がよい)は、SVRで0.996〜0.998、ETRで0.989〜0.995でした。
SHAP解析からは、両方のモデルに共通して重要な香り成分と、片方のモデルに特有の成分が見つかりました。目印となる成分として、ペンタナール、フラネオール、プロピオン酸エチル、ヘプタナール、2-ヘキセナール、2-ブタノン、3-イソブチル-2-メトキシピラジンなどが挙げられています。
研究が示すこと
著者らは、これらの結果から、GC-IMSと説明可能な機械学習を組み合わせる方法が、豚肉ジャーキーの乾燥中の品質予測や、目印となる香り成分の選び出しに役立つ可能性があると述べています。香りの測定データから水分や色といった品質の指標を読み取り、その判断の根拠となる成分まで示せる点が、この研究の特徴です。
著者:Xinyu Chen(School of Photoelectric Engineering of Changzhou Institute of Technology, Changzhou, Jiangsu 213002, China)、Haoran Huang(College of Chemical Engineering, Xiangtan University, Xiangtan 411105, China)、Huangyu Chen(School of Photoelectric Engineering of Changzhou Institute of Technology, Changzhou, Jiangsu 213002, China)、Siying Wang(School of Photoelectric Engineering of Changzhou Institute of Technology, Changzhou, Jiangsu 213002, China)、Zeyuan Zang(School of Photoelectric Engineering of Changzhou Institute of Technology, Changzhou, Jiangsu 213002, China)、Yujia Huo(Shandong Hanon Science Instrument Co., Ltd, Dezhou, Shandong 253000, China)、Zhixin Xiong(College of Light Industry and Food Engineering, Nanjing Forestry University. Nanjing, Jiangsu 210037, China)、DaoLi Lu(School of Food and Biological Engineering, Jiangsu University, Zhenjiang 212013, China)、Yan Li(School of Photoelectric Engineering of Changzhou Institute of Technology, Changzhou, Jiangsu 213002, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Xinyu Chen, Haoran Huang, Huangyu Chen, et al. Effects of drying time on physicochemical properties and volatile organic compounds of pork jerky revealed by GC-IMS and interpretable machine learning. Food Chemistry X 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.fochx.2026.104562. 原著ライセンス:CC BY.