著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal Manajemen dan Agribisnis

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

研究チームは、微細藻類スピルリナを加えたグルテンフリーのクッキーについて、消費者が「買いたい」と思うまでの心理の流れを調べました。論文によると、インドネシアでは超加工食品の消費が増えており、栄養価の高い食品の開発が求められています。スピルリナは、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、食物繊維を多く含むことから、食品の栄養を補う素材として注目されています。

一方で、スピルリナを使った食品は多くのインドネシアの消費者にとってまだ身近ではありません。緑色の見た目や独特の香り、なじみのない味は、興味と同時にためらいも生む可能性があります。そのため著者らは、栄養面の利点があっても、それだけで購入意向につながるとは限らないと考えました。

分析の枠組みには「刺激・生体・反応(SOR)モデル」を用いています。これは、外からの刺激が人の内面での評価に影響し、その評価が行動に結びつくという考え方です。この研究では、試食での五感の体験、目新しさの感じ方、健康によいという認識、環境への関心の四つを「刺激」と位置づけました。製品の価値の感じ方と製品への態度を「内面の評価」、購入意向を「反応」として扱っています。

調べた方法

調査は2025年9月から11月にかけて、東ジャワ州のマランとマドゥラで行われました。研究チームは条件に合う人を選んで協力を依頼し、457人の有効回答を得ています。参加者はまずクッキーを試食し、その後、対面で質問票に答えました。実際に食べた体験にもとづいて評価してもらうためです。試食に先立ち、原料に関するアレルギーや食事制限の有無を確認しています。

質問は5段階で答える形式です。結果の分析には、互いに関連の深い質問項目どうしの重なりを許容できる統計手法(探索的構造方程式モデリング)が使われました。著者らはこの手法を選んだ理由として、新しい製品に対する評価では項目どうしが重なりやすいことを挙げています。

主な結果

回答者の評価は全体として好意的でした。製品を健康的で環境にもよく、価値があるものと受け止める傾向が見られました。ただし、項目ごとの平均点を比べると、購入意向が最も低くなっています。著者らは、よい評価がそのまま購入意向に結びついているわけではないと指摘しています。

モデルの分析では、価値の感じ方を高める方向に働いていたのは、五感の体験、健康によいという認識、環境への関心の三つでした。なかでも環境への関心が最も強い要因として示されています。一方、目新しさの感じ方は、価値の感じ方に対して小さいながらも統計的に有意なマイナスの関係を示しました。著者らはこの結果について、目新しさがなじみのなさやリスクの感覚を呼び起こし、価値の判断を抑えた可能性があると解釈しています。

さらに、価値の感じ方は製品への態度と強く結びついていました。製品への態度もまた、購入意向と強く結びついていました。この結果から論文は、「刺激→価値の評価→態度の形成→購入意向」という段階的な流れが確認できたと報告しています。なお、このモデルで説明できた購入意向のばらつきは約54%でした。著者らは、味や香り、価格、入手しやすさといった実際的な要因も購入意向に関わっている可能性に触れています。

論文は、この研究の限界も明示しています。回答者の94%は15〜24歳で、学生が多くを占めていました。そのため、結果は主に若い消費者の見方を表すものであり、インドネシアの消費者全体には一般化できないとしています。また、補正を加えた適合度の指標ではモデルの当てはまりが十分とはいえず、結果は慎重に解釈すべきだと述べています。

研究が示すこと

この研究からは、なじみの薄い機能性食品が「買いたい」と思われるには、栄養の豊かさだけでなく、試食での体験や健康・環境についての受け止め方が、価値の評価と態度を通じて段階的に関わっていることがうかがえます。著者らは、目新しさがリスクではなく付加価値として受け止められるよう、消費者への情報提供を進め、製品へのなじみを高めることが必要だと結論づけています。

原著論文の著者・所属:Uswatun Hasanah(Magister Program of Agribusiness, Department of Sosial Ekonomi , Faculty Agriculture, Universitas Brawijaya, Jl. Veteran, Ketawanggede, Lowokwaru, Malang, East Java 65145, Indonesia)、Budi Setiawan(Departemen of Agricultural Sosial Economics, Faculty Agriculture, Universitas Brawijaya, Jl. Veteran, Ketawanggede, Lowokwaru, Malang, East Java 65145, Indonesia)、Agustina Shinta Hartati Wahyuningtyas(Departemen of Agricultural Sosial Economics, Faculty Agriculture, Universitas Brawijaya, Jl. Veteran, Ketawanggede, Lowokwaru, Malang, East Java 65145, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Uswatun Hasanah, Budi Setiawan, Agustina Shinta Hartati Wahyuningtyas. Stimulus-Organism-Response Model of Purchase Intention Toward Microalgae-Based Gluten-Free Functional Food. Jurnal Manajemen dan Agribisnis 2026-07-31. DOI: 10.17358/jma.23.2.235. 原著ライセンス:CC BY.