この研究は、インドネシア、タイの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Functional Foods in Health and Disease

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

チーク(Tectona grandis)は木材として知られる樹木ですが、その葉はインドネシアの東ジャワで食べ物を包んだり色付けしたりするのに昔から使われてきました。チーク葉にはポリフェノールの一種であるフェノール化合物やフラボノイドが多く含まれると報告されています。ただし、食品素材としての活用はまだ限られています。

研究チームは、チーク葉の抽出物に含まれる成分量、試験管内での生物学的な働き、細胞への毒性を調べました。さらに、チーク葉の粉末を配合した植物性のグルテンフリークッキーを開発し、その配合を最適化することを目指しました。

何を調べたか

著者らは、東ジャワで採取したチーク葉を乾燥させて粉末にし、エタノールで成分を抽出しました。この抽出物について、フェノール化合物とフラボノイドの総量を測りました。あわせて、試験管内で四つの働きを評価しました。一つ目は、不安定な分子(ラジカル)を消去する抗酸化作用です。二つ目は、炎症に関わるタンパク質MIFの酵素活性を抑える作用です。三つ目は、炭水化物の消化に関わる酵素α-グルコシダーゼを抑える作用、四つ目はメラニン生成に関わる酵素チロシナーゼを抑える作用です。また、サルの腎臓由来の培養細胞(Vero細胞)を使い、抽出物が細胞の代謝活性を下げるかどうかも確かめました。

クッキーは、加工したキャッサバ粉(モカフ)とアーモンド粉を組み合わせた生地に、チーク葉粉末を1.5%加えて作りました。二つの粉の割合をいくつか変え、食物繊維量、食感の硬さ、総合的な好ましさの三つのバランスが最もよくなる配合を統計的な手法で探しました。最適とされた配合は、69人のパネリストによる官能評価、栄養成分の分析、微生物検査で確認しました。

主な結果

抽出物1gあたりのフェノール化合物総量は、没食子酸に換算して44.76mgでした。フラボノイドはケルセチンに換算して2.16mgでした。

働きの強さは、酵素などの活性を半分に抑えるのに必要な濃度(IC50)で示されています。この値は小さいほど作用が強いことを意味します。抗酸化作用のIC50は33.5μg/mLでした。比較に用いたビタミンC(3.4μg/mL)よりは弱いものの、論文はこれを粗抽出物として強い部類にあたると位置づけています。MIFの酵素活性を抑える作用のIC50は10.8μg/mLで、比較対照の阻害剤ISO-1(15.5μg/mL)より低い値でした。α-グルコシダーゼの阻害は、IC50が86.9μg/mLでした。糖尿病治療薬アカルボースと比べると大幅に弱い作用です。チロシナーゼの阻害は、比較対照のコウジ酸よりかなり弱いと報告されています。

Vero細胞では、試した濃度範囲(31.3〜1,000μg/mL)のどこでも、細胞の代謝活性が半分まで下がることはありませんでした。著者らは、この試験条件の範囲では検出できる細胞毒性は見られなかったとしています。

クッキーでは、モカフ40%・アーモンド粉60%の配合が最適と判断されました。この配合について統計モデルが予測した値は、食物繊維量4.11%、硬さ2,846g-force、総合的な好ましさ5段階中4.0です。官能評価では、総合評価として「好き」(5段階の4)を選んだ人が最も多くなりました。微生物検査では、一般細菌数とカビ・酵母数がいずれも検出限界未満でした。

この研究が示すこと

この研究は、活用の進んでいないチーク葉が、試験管内でいくつかの生物学的な働きを示す成分を含むことを報告しました。あわせて、その粉末をグルテンフリークッキーに組み込めることも示しています。一方で、焼成後のクッキーにこれらの成分や働きがどの程度残るかは、この研究では直接調べられていません。食品としての安全性や、慢性疾患の予防に役立つかどうかについては、さらなる研究が必要だと著者ら自身が述べています。

著者:Tjie Kok(Center of Excellence for Food Products and Health Supplements for Degenerative Conditions , University of Surabaya , Indonesia;)、Ardhia Deasy Rosita Dewi、Elia Devina Puspitasari(Faculty of Biotechnology , University of Surabaya , Jalan Raya Kalirungkut , Surabaya 60293 , Indonesia;)、Benedictus Kevin Indarto Ongkowijoyo、Yuthana Phimolsiripol(Faculty of Agro- Industry , Chiang Mai University , Chiang Mai 50100 , Thailand)、Pavalee Chompoorat Tridtitanakiat(Faculty of Agro- Industry , Chiang Mai University , Chiang Mai 50100 , Thailand)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Tjie Kok, Ardhia Deasy Rosita Dewi, Elia Devina Puspitasari, et al. Total phenolic and flavonoid contents, bioactivity, and cytotoxicity of teak leaves and application in functional plant-based cookies. Functional Foods in Health and Disease 2026-10-07. DOI: 10.31989/ffhd.v16i10.2057. 原著ライセンス:CC BY.