著者の所属・活動拠点の国は、エチオピアです。
掲載誌:Heliyon
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
果肉がオレンジ色のサツマイモは、体内でビタミンAに変わる「プロビタミンAカロテノイド」や、天然の抗酸化物質を多く含む食品として広く知られています。研究チームは、こうした性質から、このサツマイモを微量栄養素の不足や酸化ストレスへの対策に役立つ、価値ある機能性食品と位置づけています。
一方で、サツマイモはふつう加熱して食べられます。そこで著者らは、ゆでる時間の長さによって、カロテノイドがどれだけ残るのか、また抗酸化の働きがどう変化するのかを調べました。
何を調べたか
研究では、生のイモとゆでたイモを比べました。測定したのは、植物に含まれる抗酸化成分のグループである総ポリフェノール量と総フラボノイド量、そして総カロテンとβ-カロテンの量です。β-カロテンは、プロビタミンAカロテノイドの代表的な成分です。
あわせて、抗酸化力そのものも3種類の試験で評価しました。DPPH法は、DPPHという比較的安定した「フリーラジカル」の試薬を使い、試料がこのラジカルをどれだけ打ち消せるかで抗酸化力をみる方法です。FRAP法は鉄を還元する力をみる方法で、これらに加えて総抗酸化能も測定しています。得られたデータは、統計的な手法で条件ごとの差を比較しています。
主な結果
抄録によると、生のサツマイモには生理活性をもつ成分がかなりの量含まれていました。乾燥重量1グラムあたりで、総ポリフェノール量は3.26ミリグラム(没食子酸換算)、総フラボノイド量は1.08ミリグラム(カテキン換算)、β-カロテンは308.23マイクログラムと報告されています。
ゆでることは、これらの成分に有意な影響を与えました。5分という短いゆで時間では、カロテノイドや抗酸化力がより高い水準で保たれていました。これに対し、ゆで時間を長くするほど成分は段階的に減っていき、とくにβ-カロテンとポリフェノール類で分解が目立ったとされています。
それでも著者らは、ゆでた後のサツマイモも、食事から抗酸化物質をとる良い供給源であり続けたと報告しています。
研究が示すこと
研究チームは、加熱時間が長くなると抗酸化力が落ちることから、栄養面の利点をできるだけ生かすには調理方法を最適化することが大切だと述べています。そのうえで、ほどよいゆで方であれば生理活性成分がかなり保たれるとし、この結果はビタミンA不足に取り組む持続可能な食事の手段として、オレンジ色の果肉をもつサツマイモを活用することを後押しするものだとまとめています。
原著論文の著者・所属:Tewaga Assefa(School Improvement Program Directorate, South Ethiopia Educational Bureau, Jinka, Ethiopia)、Daniel Assefa(Department of Chemistry, College of Computational Science, Dilla University, P.O. Box 419, Dilla, Ethiopia)、Dessalegn Engida(Department of Chemistry, Hawassa College of Teacher Education, P. O. Box 115, Hawassa, Ethiopia)、Bruktayt Engida(Health College, Arsi University, P.O. Box 193, Assela, Ethiopia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Tewaga Assefa, Daniel Assefa, Dessalegn Engida, et al. Effect of boiling on carotenoid content and antioxidant activity of orange-fleshed sweet potato (Ipomoea batatas L.). Heliyon 2026-08-31. DOI: 10.1016/j.heliyon.2026.e45285. 原著ライセンス:CC BY.