著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:Nutrire

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

脂肪と糖、脂肪と塩分のように特定の成分が組み合わさると、ひとつの成分だけのときよりも強く「おいしい」と感じやすくなる食品があります。こうした食品は「超嗜好性食品」と呼ばれ、食欲や食べる量の調節を乱す可能性があると指摘されてきました。研究チームはこの点を踏まえ、ブラジルで食べられている食品のうち、どれだけが超嗜好性食品に当たるのかを調べました。

ただし、満腹感は嗜好性だけで決まるわけではありません。かむことや食べる時間、食物繊維やたんぱく質の量なども関わります。そこで著者らは、超嗜好性食品を特定するだけでなく、エネルギー密度、たんぱく質の量、食物繊維の量という観点からも食品を整理しました。著者らによると、ブラジルの食品成分表を対象に超嗜好性食品の頻度を調べた研究は、これまでありませんでした。

何をどのように調べたか

分析には、ブラジル地理統計院(IBGE)が作成した「ブラジルで消費される食品の栄養成分表」を用いました。この表は、2008〜2009年の家計調査で、ブラジル全国の人口を代表するように選ばれた人々が記録した食事内容をもとに作られています。表には19の食品群がありますが、研究チームは飲料の2群を分析から除きました。飲料を超嗜好性食品として分類するための先行研究が乏しいためです。

超嗜好性食品かどうかは、Fazzinoらが提案した数値基準で判定しました。基準は3種類あります。1つ目は「脂肪+ナトリウム」型で、エネルギーの25%超が脂肪に由来し、ナトリウムが重量の0.30%以上の食品です。2つ目は「脂肪+単純糖質」型で、エネルギーのうち脂肪由来と単純糖質由来がいずれも20%を超える食品です。3つ目は「炭水化物+ナトリウム」型で、食物繊維と単純糖質を除いた炭水化物がエネルギーの40%超を占め、ナトリウムが重量の0.20%以上の食品です。複数の型に当てはまる食品は「複合」型としてまとめました。

あわせて、食品100gあたりのエネルギーが250kcal以上の食品を「高エネルギー密度」とし、たんぱく質が30%以上を占める食品を「高たんぱく」としました。食物繊維については、ブラジルの表示基準に沿って、100gあたり3g以上6g未満を「食物繊維源」、6g以上を「高食物繊維」と分類しました。分類作業は栄養の専門家と大学院生のチームが担当し、定期的な確認と上級研究者による最終点検を行いました。

主な結果

分析の結果、1095品目(57.8%)が超嗜好性食品の基準を満たしました。基準を満たさない食品は795品目(42.1%)でした。型別では「脂肪+ナトリウム」型が742品目(39.3%)と最も多く、ピザ、ハンバーガー、ホットドッグ、ソーセージ、肉類などが含まれていました。

食品群別では、加工肉は100%が超嗜好性食品に分類されました。続いて家禽と卵(85.7%)、パン・焼き菓子類(82.8%)の割合が高くなりました。調理法別では、バターや油を使った調理で88.9%、揚げ物で83.5%、乳製品ベースのソースを使った料理で81.8%が超嗜好性食品でした。

栄養面の比較では、高エネルギー密度の食品の割合は、超嗜好性食品で37.8%、それ以外の食品で21.9%でした。食物繊維源または高食物繊維に当たる食品は、超嗜好性食品では8.0%にとどまり、それ以外の食品では15.1%でした。たんぱく質については、超嗜好性食品の53.2%が低たんぱくだったのに対し、それ以外の食品では66.5%が高たんぱくでした。

一方で、超嗜好性食品の62.2%はエネルギー密度が低い食品でした。そのなかには、米、豆、肉、卵といったブラジルの日常的な食事に欠かせない食品も含まれていました。著者らは、全体に占める超嗜好性食品の割合が、同じ基準を米国の食品データベースに適用した先行研究の結果(62%)と近いことも報告しています。

この研究が示すこと

この研究からは、ブラジルの食品成分表に載る食品の半数以上が、数値基準のうえでは超嗜好性食品に当たることが分かります。それらにはピザやハンバーガーだけでなく、油やバター、脂肪や塩分の多いソースで調理された肉や米、豆といった伝統的な食品も含まれていました。著者らは、超嗜好性食品という分類は成分の組み合わせにもとづくもので、食品全体の栄養的な質を示すものではないため、「健康に悪い食品」と同じ意味ではないと強調しています。超嗜好性食品と判定されても、必ずしも避けるべきだということにはならないとしています。

また、超嗜好性食品と判定された食品でも、エネルギー密度やたんぱく質、食物繊維の量はさまざまでした。著者らは、超嗜好性食品を成分の組み合わせだけで見るのではなく、こうした特徴もあわせて評価することが重要だとしています。米や豆のような主要な食品が含まれた点については、この分類基準を国や食文化に合わせて調整する必要がある可能性を指摘しています。

原著論文の著者・所属:Catharina Schoen de Borba(Laboratório de Biologia Molecular, Programa de Pós-Graduação em Biociências, Universidade Federal de Ciências da Saúde de Porto Alegre (UFCSPA), Porto Alegre, Brazil)、Larissa David Lemos(Curso de Nutrição, Universidade Federal de Ciências da Saúde de Porto Alegre (UFCSPA), Porto Alegre, Brasil)、Isadora Martins Freitas(Curso de Nutrição, Universidade Federal de Ciências da Saúde de Porto Alegre (UFCSPA), Porto Alegre, Brasil)、Amanda Godoy Jacobsen(Curso de Nutrição, Universidade Federal de Ciências da Saúde de Porto Alegre (UFCSPA), Porto Alegre, Brasil)、Júlia Pasqualini Genro(Laboratório de Biologia Molecular, Programa de Pós-Graduação em Biociências, Universidade Federal de Ciências da Saúde de Porto Alegre (UFCSPA), Porto Alegre, Brazil)、Verônica Contini(Programa de Pós-Graduação em Biotecnologia, Universidade do Vale do Taquari – Univates, Lajeado, Brasil)、Silvana Almeida(Laboratório de Biologia Molecular, Programa de Pós-Graduação em Biociências, Universidade Federal de Ciências da Saúde de Porto Alegre (UFCSPA), Porto Alegre, Brazil; Universidade Federal de Ciências da Saúde de Porto Alegre, Porto Alegre, Brazil)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Catharina Schoen de Borba, Larissa David Lemos, Isadora Martins Freitas, et al. Identification and nutritional profiling of hyperpalatable foods in the brazilian food composition table. Nutrire 2026-08-03. DOI: 10.1186/s41110-026-00513-z. 原著ライセンス:CC BY.