著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。
掲載誌:Brazilian Journal of Animal and Environmental Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
生産量の多い肉と、よく食べられる肉は同じか
たんぱく質は体の組織をつくり維持するうえで欠かせない栄養素で、牛、豚、鶏、魚などの肉から多く摂られています。ブラジルでは過去数十年で肉の消費量が大きく伸びましたが、地域によって生産と消費の傾向には違いがあります。
論文によると、ブラジル北部地域では牛肉の生産量が際立って多い一方で、最もよく食べられているのは鶏肉だとされます。研究チームは、この「たくさん作られている肉」と「よく食べられている肉」のずれに注目しました。そして北部ロンドニア州の都市ジパラナで、どの種類の肉がどのくらいの頻度で食べられているか、どんな調理法が多いか、魚ではどの部位や料理が好まれているかを調べました。
市場の利用者と売り手への聞き取り
調査は2025年2月から5月にかけて、ジパラナ市内の青空市場で行われました。対象は市場を訪れたり市場で働いたりしていた19〜74歳の成人99人で、内訳は消費者62人、販売者37人です。参加者は選択式の質問票に答え、食べている肉の種類、食べる頻度、調理法、好みの魚料理を報告しました。
食べる頻度は、週6回を20点、週3回を10点、週1回を5点とする採点方式で数値化しました。回答をこの点数に置き換えて合計し、項目どうしを相対的に比べられるようにしています。魚については、地域の在来魚タンバキの開き焼き、フライにした切り身、脇腹部分のロースト、あばら肉のローストのほか、ピンタードという魚の切り身の煮込み、ピラルクという魚の頭の煮込みの計6種類を比べました。
鶏肉と揚げ料理が上位、魚は最も少ない
肉の種類では、鶏肉の合計点が460点で最も高く、牛肉260点、豚肉210点が続き、魚は150点で最も低くなりました。著者らはこの結果を、参加者の間では魚を食べる頻度が他の肉より低いことを示すものとしています。
調理法では揚げ物が460点で、ロースト・グリルの250点、煮込み・スープ仕立ての220点を大きく上回りました。魚料理では、タンバキのあばら肉のローストが535点で最も高く、ピンタードの煮込み500点、タンバキの切り身のフライ475点、タンバキ脇腹部分のロースト430点と続きました。一方、タンバキの開き焼きは155点、ピラルクの頭の煮込みは145点にとどまりました。研究チームは、好まれる順位と点数の関係を直線で当てはめる分析も行い、いずれの区分でも順位が下がるほど点数がはっきり下がる傾向を報告しています。
地元の生産より、価格や食文化が選択に表れる
著者らは、ロンドニア州が国内有数の牛の産地であるにもかかわらず、この調査で鶏肉が最も多く食べられていた点を重視しています。論文では、鶏肉が他の肉より安く調理もしやすいことが背景として考えられるとしています。魚が少なかった理由としては、漁獲や輸送、保存にかかる費用や季節による変動が価格を押し上げ、競争力を下げている可能性を挙げています。揚げ物が多いことについては、食感や風味の好みと手軽さが関係していると考察し、脂質の多さから公衆衛生上は注意すべき点にもなりうると述べています。
タンバキのあばら肉のような地域の料理が上位に入ったことについて、研究チームは、在来魚を大切にするアマゾン地域の食文化が受け継がれている表れだと解釈しています。ただし、調査は一つの都市の比較的少人数を対象とした自己申告にもとづくもので、結果を他の地域に広げたり因果関係を判断したりするには限界があると著者ら自身が明記しています。それでもこの研究は、地元で多く生産される食材がそのままよく食べられるとは限らず、価格や食習慣が人々の選択に強く表れていることを、市場の現場から具体的に示しています。
原著論文の著者・所属:Tauany Mendes Caldeira、Jucilene Braitenbach Cavali(Postdoctoral Researcher in Water Resources , Ph.D. in Animal Science Institution : Universidade Federal de Rondônia (UNIR) Address : Porto Velho , Rondônia , Brazil)、Cristina Sá de Lima(Master's Degree in Animal Science Institution : Universidade Federal do Acre (UFAC) Address : Rio Branco , Acre , Brazil)、Claudineia Bacetti de Melo(Graduated in Veterinary Medicine Institution : Afya Centro Universitário de Ji-Paraná -Afya Ji-Paraná Address : Ji-Paraná , Rondônia , Brazil)、Bruno Porto de Lima、Jerônimo Vieira Dantas Filho
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Tauany Mendes Caldeira, Jucilene Braitenbach Cavali, Cristina Sá de Lima, et al. Consumer preference at open-air markets for meat, with emphasis on commercial cuts in Ji-Paraná, Rondônia, Brazil. Brazilian Journal of Animal and Environmental Research 2026-07-29. DOI: 10.34188/bjaerv9n3-091. 原著ライセンス:CC BY.