この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Jurnal Riset Ilmu Kesehatan Umum dan Farmasi
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
インドネシアでは学齢期の子どもの栄養不足が課題として残っており、著者らは2023年のインドネシア保健調査に基づき、5〜12歳でやせの割合が11%、低身長の割合が18.7%と報告されている状況を研究の出発点としています。成長を支える栄養素のひとつがたんぱく質であり、2019年の栄養必要量では7〜9歳の子どもで1日およそ40グラムが目安とされていると論文は説明しています。
そこで研究チームは、地域で手に入りやすい食材に着目しました。一つは丸ごと食べられる小魚のテリナシ(カタクチイワシ類の小魚)で、原著は100グラムあたりたんぱく質48.8グラム、カルシウム972ミリグラムという値を引用しています。もう一つは大豆で、100グラムあたりたんぱく質40.4グラム、たんぱく質の消化吸収率は70〜80%とされています。これらを粉にしてマカロニに配合し、子どもの間食として使えるかを確かめることが目的です。本研究の狙いは、できあがったマカロニのたんぱく質量と、味や見た目などの官能評価の結果を明らかにすることでした。
調べ方
研究は2024年12月から2025年4月にかけて行われた定量的な実験研究で、完全無作為化デザインが用いられました。小麦粉・テリナシ粉・大豆粉の配合比を変えた複数の試作品を作り、対照(F0)は小麦粉のみ、そのほかの配合では小麦粉を10%に固定したうえでテリナシ粉と大豆粉の比率を変えています。各条件は3回繰り返して作られました。
テリナシ粉は、小魚を選別・洗浄したうえで日干しし、粉砕して80メッシュのふるいにかけ、水分を飛ばすため1分間からいりして作られました。大豆粉は、浸水して薄皮をむき、ゆでてから日干しし、同じく粉砕・ふるい分けを行っています。生地は粉類に卵と水を加えて練り、20分休ませてから手作業で成形し、蒸したのちオーブンで乾燥させました。
たんぱく質量は紫外・可視分光光度法(波長544ナノメートル)で測定されました。官能評価は、ルンバン県サレ郡の小学校に通う9〜10歳の児童25人を訓練を受けていないパネリストとして、色・香り・食感・味の4項目について行われました。データは正規分布に従わなかったため、ノンパラメトリック手法であるクラスカル・ウォリス検定で群間を比べ、差が認められた場合はマン・ホイットニー検定で追加分析しています。
報告された主な結果
たんぱく質量は配合によって統計的に有意な差が認められました(クラスカル・ウォリス検定の有意確率0.007、p<0.05)。最も高かったのはF2(小麦粉10%・テリナシ粉20%・大豆粉70%)で100グラムあたり20.83グラム、最も低かったのは小麦粉のみの対照F0で1.94グラムでした。論文はマカロニの品質基準(SNI 01-3777-1995)がたんぱく質を100グラムあたり10グラム以上と定めていることに触れ、F2が1食40グラムあたりで学齢期の子どもの1日のたんぱく質必要量の52%を満たす計算になると述べています。なお、あるひとつの配合でたんぱく質量が想定より低く出た点について、著者らは生地の均一性の問題や加工過程の不完全さ、高温・長時間の乾燥によるたんぱく質の変性が関わった可能性を考察しています。
官能評価では、色と香りで配合による有意差が認められ(それぞれ有意確率0.035、0.013)、いずれも対照のF0が最も好まれました。著者らは、テリナシ粉の割合が増えると褐色が強まり、魚特有の香りへの好みが下がる傾向を既存研究から説明し、一方で大豆粉を多く配合すると色や香りを和らげる働きがあると述べています。食感と味については有意差は認められませんでした(有意確率0.691、0.328)。小麦粉以外の粉はグルテンを含まないため生地の弾力が落ちやすい点、魚の風味や苦みが残る点が考察されており、大豆粉の割合が高いF2がテリナシ粉入りの配合のなかでは食感・味で比較的高い好ましさを得たと報告されています。
この研究が示すこと
著者らは、テリナシ粉と大豆粉を組み合わせることでマカロニのたんぱく質量が高まり、かつ学齢期の子どもにも受け入れられる余地があると結論づけています。身近な水産物と豆を粉にして慣れ親しんだ形の食べ物に仕立てるという発想は、地域の食材を栄養改善につなげる一つの具体例として示されました。同時に、魚の風味や食感という受け入れやすさの課題が残ることも、この研究の結果からはっきり見えてきます。
著者:Riski Zada Agustina(Program Studi Gizi, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Ivet)、Catur Retno Lestari(Program Studi Gizi, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Ivet)、Chairunisa Nur Rarastiti(Program Studi Gizi, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Ivet)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Riski Zada Agustina, Catur Retno Lestari, Chairunisa Nur Rarastiti Pengembangan Snack Makaroni Tinggi Protein Melalui Kombinasi Tepung Teri Nasi dan Tepung Kedelai. Jurnal Riset Ilmu Kesehatan Umum dan Farmasi 2026-10-01. DOI: 10.57213/jrikuf.v4i4.1158. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。