チンチンは西アフリカなどでよく食べられている、小麦粉を主原料とした揚げ菓子の一種です。手軽なスナックとして親しまれている一方、主原料が小麦粉に偏ると栄養バランスの面で改善の余地があるとも考えられます。今回紹介する研究では、小麦粉の一部をキャッサバ(Manihot esculenta)粉と大豆(Glycine max)粉に置き換えた複合粉を使い、チンチンの栄養成分と食べたときの好ましさがどう変化するかを調べています。
研究チームは、小麦粉100%のものを対照サンプル(WF-100)として用意し、これとは別にキャッサバ粉と大豆粉を90対10(SCF1)、80対20(SCF2)、70対30(SCF3)、60対40(SCF4)という4種類の比率で配合した複合粉を標準的な手順で調製しました。これらの複合粉から、一部を改変した標準レシピに沿ってチンチンを作り、水分・灰分・タンパク質・脂質といった一般成分と、カルシウム・鉄・カリウム・マグネシウムというミネラルの含有量を測定しています。あわせて、パネリスト(評価者)による官能評価も行い、有意水準5%未満(p<0.05)としてANOVA(分散分析)により各配合間の差を統計的に比較しました。
大豆粉の比率を上げるほど栄養価が向上
測定の結果、大豆粉の配合割合を増やすほど、栄養価が統計的に有意に高まる傾向が確認されました。中でも大豆粉の比率が最も高いキャッサバ粉対大豆粉60対40の配合(SCF4)が、タンパク質含量40.07%、脂質含量13.49%、カルシウム含量5.07mg/g、鉄含量0.101mg/g、マグネシウム含量0.084mg/gと、いずれの項目でも他の配合より高い値を示しました。一方で、水分含量や灰分含量については、大豆粉の比率を高めても許容できる範囲内に収まっていたと報告されています。
味や食感の評価は対照サンプルが最も高かった
栄養価の面では大豆粉を多く配合したサンプルが優れていた一方、官能評価では小麦粉100%の対照サンプルが最も高い得点を得ました。ただし、キャッサバ粉と大豆粉を配合した複合粉サンプルも、平均的な許容性スコアが6以上となり、パネリストにはおおむね好意的に受け止められたとされています。つまり、栄養強化を目的として小麦粉の一部を置き換えても、食べる際の満足感が大きく損なわれるわけではないことが示唆されています。
この研究を読むうえでの注意
この要旨には研究の限界について具体的な記載はありません。今回の結果は今回用いられた配合比率と調製条件のもとで得られたものであり、一つの研究の知見として捉える必要があります。栄養価と嗜好性の両方を兼ね備えた配合を実際の商品化につなげるには、さらなる検証が重ねられていくものと考えられます。
まとめ
この研究では、キャッサバ粉と大豆粉を組み合わせた複合粉から作ったチンチンについて、大豆粉の配合割合を高めるほどタンパク質・脂質・カルシウム・鉄・マグネシウムの含有量が有意に増える一方、味や食感の好ましさでは小麦粉100%の対照品が最も高く評価されたことが報告されています。それでも複合粉サンプルは一定の好評価を得ており、栄養面の工夫と嗜好性の両立を探るうえで参考になる知見といえそうです。
※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Adeniyi Paulina O., Anam Bassey E., Oluwajare Peace M. Nutrient Composition and Sensory Evaluation of Chin-Chin Produced from Cassava (Manihot esculenta) and Soybean (Glycine max) Composite Flours. 家政学研究ジャーナル (2026). DOI: 10.66731/jher.v33i1.611.