著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:AcTion: Aceh Nutrition Journal
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
小麦粉を使わない「グルテンフリー」の食品は、近年世界的に関心が高まっている分野です。今回紹介するのは、キャッサバ(タピオカの原料となるイモ)を発酵させて作る「モカフ粉」と、大豆粉を組み合わせたグルテンフリースナックバーについて、配合比率を変えることで栄養成分や抗酸化活性がどう変化するかを調べた研究です。
モカフ粉は地域の食材を活用したグルテンフリー素材として注目される一方、大豆粉はタンパク質などの栄養価を補う食材として知られています。この2つを組み合わせることで、より健康的な機能性食品を作れる可能性があるとして、研究チームはその配合比率の違いが栄養組成や抗酸化活性にどう影響するかを検証しました。
研究でわかったこと
この研究は、Muhammadiyah University Gresik(インドネシア)の食品化学・分析ラボおよび農産物加工技術ラボにおいて、2025年11月から2026年1月にかけて実施されました。モカフ粉と大豆粉の比率を100:0から0:100まで6段階に変えた配合を作り、それぞれ3回ずつ繰り返して分析するという方法が取られました。分析された項目は、水分、灰分、タンパク質、脂質、炭水化物、カルシウム、鉄分、総フェノール含量、そしてDPPH法による抗酸化活性です。
結果として、大豆粉の配合割合を増やすほど、水分含量は4.45%から2.92%へ、炭水化物含量は78.45%から69.80%へと減少したことが示されました(統計的に有意な差)。一方で、タンパク質含量は5.36%から23.59%へ、カルシウムは227から350mg/100gへ、鉄分は34.8から44.8mg/100gへと、いずれも増加したと報告されています。また、総フェノール含量は増加し、抗酸化活性の指標であるIC₅₀値は低下した(=抗酸化活性がより強くなったことを示す)とされています。
これらの結果から、この研究では大豆粉を加えることでスナックバーの栄養的な質や抗酸化に関わる機能性が高まる可能性が示唆されています。研究チームは、機能性と食べやすさ(嗜好性)のバランスを取るために、モカフ粉と大豆粉を混合した配合が望ましいと述べており、あわせて保存安定性や官能評価(味や食感など)についてのさらなる検討が必要だともしています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、あくまで実験室内での配合比率と栄養成分・抗酸化活性の関係を調べたものであり、実際にヒトがこのスナックバーを食べた際の健康への影響を検証したものではありません。また、対象となった配合や分析方法は限定的であり、これ一つで「大豆粉入りスナックが健康に良い」と結論づけられるものではない点に注意が必要です。論文中でも、今後は安定性や味・食感といった消費者受容性についてさらなる評価が必要だと述べられています。
まとめ
モカフ粉と大豆粉を組み合わせたグルテンフリースナックバーは、大豆粉の割合を増やすことでタンパク質やミネラル、抗酸化に関わる成分が増える一方、水分や炭水化物は減少するという傾向が、この研究では確認されました。今後、味や食感、保存性なども含めた検討が進むことで、こうした地域食材を活用した機能性スナックの実用化に向けた知見が蓄積されていくことが期待されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):モカフ粉と大豆粉の配合比率がグルテンフリースナックバーの栄養組成と抗酸化活性に及ぼす影響(アクション:アチェ栄養学ジャーナル・2026年03月)
著者:Sutrisno Adi Prayitno(Food Technology Study Program, Agriculture Faculty, Universitas Muhammadiyah Gresik, Gresik, East Java)、Dwi Retnaningtyas Utami(Food Technology Study Program, Agriculture Faculty, Universitas Muhammadiyah Gresik, Gresik, East Java)、Reza Astika Wahyu Pramesti(Food Technology Study Program, Agriculture Faculty, Universitas Muhammadiyah Gresik, Gresik, East Java)、Hesti Wahyu Rahmawati(Food Technology Study Program, Agriculture Faculty, Universitas Muhammadiyah Gresik, Gresik, East Java)