著者の所属・活動拠点の国は、イギリス、スペイン、ブラジルです。

掲載誌:Health Science Reports

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

超加工食品とは、工業的な加工の度合いで食品を4つに分ける「ノバ分類」で、最も加工度が高いグループに入る食品です。著者らによると、超加工食品はエネルギー密度が高く、精製でんぷんや遊離糖、塩分などが多い一方、たんぱく質や食物繊維、微量栄養素が少ない傾向があるとされます。これまでの研究では、超加工食品を多く食べる人ほど体格指数(BMI)や腹囲が大きい傾向が繰り返し報告されてきました。

一方で、超加工食品がすべて同じように肥満と関わるのかは分かっていません。糖尿病などを調べた先行研究では、超加工食品の種類によって関連の強さが異なるという報告もありました。そこで研究チームは、実際の食生活で超加工食品がどのような組み合わせで食べられているかに注目しました。超加工食品の食べ方をいくつかのパターンに分け、パターンによってBMIや腹囲との関連が異なるかを調べました。

何を調べたか

研究チームは、米国の全国健康栄養調査(NHANES)の2021〜2023年のデータを用いました。この調査は米国の一般住民を代表するように対象者を選んでいます。分析の対象は、食事記録と身体測定などのデータがそろった18歳以上の成人4003人です。ある一時点のデータを使い、食事と体格の関連をみる「横断研究」と呼ばれる方法です。

食事内容は、前日24時間に食べたものを電話で聞き取る調査を2回行って把握しました。料理は材料ごとに分解し、材料単位で超加工食品かどうかを判定しています。そのうえで、摂取エネルギー全体に占める超加工食品の割合を計算しました。さらに、超加工食品を33の食品グループに分けました。どのグループをよく食べているかが似た人どうしを統計的にまとめる「クラスター分析」を使い、食べ方のパターンを導き出しました。BMIと腹囲は、研修を受けた技術者が標準的な手順で測定した値を用いています。分析では、年齢、性別、人種・民族、学歴、喫煙、申告されたエネルギー摂取量の過少・過大の目安などを考慮しました。

主な結果

対象者全体では、摂取エネルギーの平均54.3%を超加工食品が占めていました。各要因を考慮した分析では、超加工食品の割合が5ポイント高いごとに、BMIは0.25 kg/m²、腹囲は0.60 cm大きいという関連が報告されました。総糖類、飽和脂肪酸、食物繊維の摂取量をさらに考慮しても、推定値はほぼ変わりませんでした。

食べ方のパターンは3つに分かれました。1つ目の「ファストフード」型は対象者の19.3%でした。ピザやハンバーガー、揚げ物、ソフトドリンク、菓子類などが多く、超加工食品がエネルギーの66.0%を占めていました。2つ目の「お菓子とダイエット飲料」型は26.7%でした。パン、低カロリー飲料や甘味料、アイスクリーム、チョコレート、加工肉、朝食用シリアルなどが特徴で、超加工食品の割合は59.8%でした。3つ目の「超加工食品が少ない」型は54.0%を占め、超加工食品の割合は46.1%でした。

「超加工食品が少ない」型と比べると、「お菓子とダイエット飲料」型ではBMIが2.83 kg/m²、腹囲が6.78 cm大きくなっていました。「ファストフード」型ではBMIが3.20 kg/m²、腹囲が7.76 cm大きいという関連が報告されました。一方、超加工食品の多い2つの型を直接比べると、BMIや腹囲との関連に有意な差は認められませんでした。また、超加工食品の摂取は社会経済的に不利な集団で多い傾向がありました。社会経済的な要因や喫煙を考慮すると関連は26〜28%ほど弱まりましたが、相当部分は残りました。

この研究が示すこと

著者らは、主にどの種類の超加工食品を食べているかよりも、超加工食品を全体としてどれだけ多く食べているかのほうが、体格の指標と関わっている可能性があると述べています。ファストフード中心の食べ方と、ダイエット飲料や甘いものが中心の食べ方とで、肥満の指標との関連はおおむね同程度でした。

ただし、これは一時点のデータによる関連の分析です。超加工食品が肥満の原因であることを示すものではありません。著者らは、体重が気になる人が低カロリー製品を選んでいるという、逆向きの関係の可能性にも触れています。食事を本人の申告で把握していることや、考慮しきれていない生活環境の影響も限界として挙げています。そのうえで研究チームは、超加工食品の全体的な摂取量が肥満の重要な目安となりうることを、米国成人の代表的なデータから示しました。

原著論文の著者・所属:Nadia Daniel(Medical Sciences Division University of Oxford Oxford UK)、Carmen Piernas(CIBER Physiopathology of Obesity and Nutrition (CIBEROBN), Instituto de Salud Carlos III Madrid Spain; Center for Biomedical Research, Institute of Nutrition and Food Technology University of Granada Granada Spain; Department of Biochemistry and Molecular Biology II Faculty of Pharmacy, University of Granada Granada Spain; Instituto de Investigación Biosanitaria ibs.GRANADA Granada Spain)、Paul Sherliker(Nuffield Department of Population Health University of Oxford Oxford UK)、Carolina Abreu de Carvalho(Departamento de Saúde Pública Universidade Federal do Maranhão São Luís Brazil; Postgraduate program in Public Health Federal University of Maranhão São Luís Brazil)、Jennifer Carter(Health Data Research UK (HDRUK‐Oxford) University of Oxford Oxford UK; Nuffield Department of Population Health University of Oxford Oxford UK)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nadia Daniel, Carmen Piernas, Paul Sherliker, et al. Ultra‐Processed Food Dietary Patterns and Obesity: A Cross‐Sectional Analysis of NHANES 2021–2023. Health Science Reports 2026-08-01. DOI: 10.1002/hsr2.73062. 原著ライセンス:CC BY.