著者の所属・活動拠点の国は、カザフスタンです。

掲載誌:The Journal of Almaty Technological University

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究のねらい

鶏肉の加工では、皮や砂肝、心臓といった副産物(内臓や皮など、精肉以外の部分)が出ます。著者らは、こうした副産物を無駄なく活かしながら、肉パテの品質を高める方法を探りました。

研究チームが注目したのは「たんぱく質・脂肪エマルション」です。エマルションとは、本来は混ざりにくい油と水が、たんぱく質などの働きで細かく均一に混ざり合った状態を指します。先行研究の多くは、パテに使う動物性脂肪を植物油やゲル状のエマルションに置き換えるものでした。これに対し本研究は、鶏の副産物をベースにしたエマルションの配合を開発し、それを肉パテに加えたときの成分、加工上の性質、脂肪酸の構成、食味への影響を調べることを目的としています。

エマルションとパテの作り方

まず、冷蔵状態の鶏の皮、砂肝、心臓を下処理し、ひき肉状にしてから混ぜ合わせ、配合比の異なる4種類の「副産物ペースト」を作りました。比較の結果、皮25%、砂肝25%、心臓50%の組み合わせが最も適していると判断されました。この配合は、水分を保持する力(保水性)が71.49%、エマルションの安定性が60%で、4種類の中で最も高い値を示しました。

次に、このペーストに植物油、水、でんぷん、食用重曹、食塩を加え、比率を変えた8種類のエマルションを試作しました。その中から、保水性、脂肪を保持する力、乳化力(油を取り込んでエマルションを形づくる力)のバランスが最もよい5番目の配合が選ばれました。最終的な配合は、副産物ペースト48%、植物油18%、水28%、でんぷん4%、重曹1%、食塩1%です。

パテは鶏肉、鶏レバー、牛脂、野菜、香辛料などを原料とし、瓶詰めにして加圧加熱殺菌しました。エマルションを使わない対照パテと、鶏肉・牛脂・ブイヨンの一部をエマルションに置き換えた試験パテ(エマルション12.5%配合)を作り、両者を比べています。

主な結果

成分を比べると、試験パテでは水分が69.74%から63.96%に、灰分(ミネラル分の目安)が3.95%から3.08%に下がりました。一方、脂肪は13.37%から19.02%に、たんぱく質は12.94%から13.94%に上がっています。pHは6.07から6.17へ、水分活性(微生物が利用できる水分の指標)は0.9824から0.9890へと、どちらもわずかに上昇しました。

加工上の性質では、保水性が68.05%から66.43%へとやや低下し、脂肪を保持する力はほぼ変わりませんでした。その一方で、乳化力は49%から52%に、エマルションの安定性は51.4%から63%に高まりました。加熱による重量の減少(加熱損失)も、9.24%から7.95%に小さくなっています。

脂肪酸の構成も大きく変わりました。試験パテでは、植物油に由来すると考えられるリノール酸の割合が20.52%から41.42%に増え、α-リノレン酸もわずかに増えました。ただし、パルミチン酸やステアリン酸などの飽和脂肪酸も増加し、オレイン酸は減少しています。

官能評価(人が見た目や味を評価する試験)では、色と香りに両者の差はありませんでした。違いが見られたのは食感で、対照パテが密でやや粘りのある質感だったのに対し、試験パテはより均一でなめらか、やわらかな食感と評価されました。

研究が示すこと

この研究は、鶏の皮・砂肝・心臓を組み合わせたエマルションを肉パテに加えると、エマルションとしての安定性が高まり、加熱による損失が減り、食感がなめらかになることを報告しています。著者らは、鶏肉加工で出る副産物を活かしながら、パテの製品収量や品質を調整する一つの方法になりうると結論づけています。

原著論文の著者・所属:E. K. Okuskhanova(Shakarim University)、A. K. Suichinov(Kazakh Research Institute of Processing and Food Industry (Semey Branch))、B. K. Kabdylzhar(Kazakh Research Institute of Processing and Food Industry (Semey Branch))、G. A. Kapasheva(Kazakh Research Institute of Processing and Food Industry (Semey Branch))、A. A. Dautova(Shakarim University)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):E. K. Okuskhanova, A. K. Suichinov, B. K. Kabdylzhar, et al. Technology for producing meat pates with the addition of protein-fat emulsion. The Journal of Almaty Technological University 2026-09-30. DOI: 10.48184/2304-568x-2026-3-165-174. 原著ライセンス:CC BY.