著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Foods
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
成熟段階による果肉の違いを調べる
ココナッツの白い果肉は、ココナッツミルクや油などの原料になります。研究チームは、収穫時期に応じた原料の使い分けにつなげるため、矮性品種「Wenye No. 3」の果肉について、成熟に伴う栄養成分や香り、試験管内での生物活性の変化を調べました。
中国・海南省で受粉後8か月、10か月、12か月の果実を各3個採取し、果実ごとに分析しました。水分や脂肪、たんぱく質、アミノ酸などに加え、抽出物の抗酸化活性や、でんぷんを分解する酵素「α-アミラーゼ」の働きを抑える活性、揮発性成分を比較しました。
成熟とともに脂肪や糖が増加
研究チームの報告では、8か月から12か月にかけて、果肉の水分は81.15%から61.73%へ減少しました。一方、脂肪は8.61%から17.53%へ、水に溶ける糖の総量は2.13%から4.84%へ増加し、たんぱく質や粗繊維も増えました。
体内で十分に作れず食事から取る必要がある必須アミノ酸の総量も、8か月の5.41 mg/gから12か月の10.46 mg/gへ、ほぼ倍増しました。ただし、全アミノ酸に占める必須アミノ酸の割合はおおむね一定でした。成熟によってアミノ酸の量は増えても、その構成比は大きく変わらなかったと報告されています。
抗酸化活性は測定方法によって異なる変化
総フェノール含量は成熟とともに低下しましたが、抗酸化活性の変化は一様ではありませんでした。反応性の高い分子を除く働きを測る試験では、DPPHという物質を使った指標は8か月で最も高く、ABTSを使った指標は12か月で最も高くなりました。ヒドロキシルラジカルを除く活性は、10か月と12か月が8か月より高く、両者の間に有意な差はありませんでした。
α-アミラーゼの働きを抑える割合は10か月の抽出物で最も高く、20.4%でした。12か月は12.42%、8か月は4.62%でした。これらは抽出物を用いた試験管内の結果であり、果肉を食べた人の抗酸化作用や血糖への効果を示したものではありません。
香りの成分も変わり、用途に応じた収穫の手がかりに
香りに関わる揮発性成分は31種類が同定されました。8か月と10か月では、果実や花のような香りに関わるエステル類が多く、12か月ではノナナールやヘプタナールなどのアルデヒド類の信号が強くなりました。著者らは、成熟に伴って、エステル類中心からアルデヒド類中心へ成分の構成が移るとまとめています。
この研究が示すのは、成熟が進むほどすべての特徴が一律に高まるわけではないということです。著者らは、脂肪や糖、香り、測定する生物活性によって適した段階が異なることを、求める製品の特徴に応じて収穫時期や原料を選ぶための手がかりと位置づけています。
原著論文の著者・所属:Xiaoyan Liu(Hainan Engineering Center of Coconut Further Processing, Coconut Research Institute of Chinese Academy of Tropical Agricultural Sciences, Wenchang 571339, China)、Yufeng Zhang(College of Modern Agriculture and Bioengineering, Shangluo University, Shangluo 726000, China; Hainan Engineering Center of Coconut Further Processing, Coconut Research Institute of Chinese Academy of Tropical Agricultural Sciences, Wenchang 571339, China)、Qi Gao(College of Tropical Crops, Yunnan Agricultural University, Pu’er 665099, China)、Jintao Kan(Hainan Engineering Center of Coconut Further Processing, Coconut Research Institute of Chinese Academy of Tropical Agricultural Sciences, Wenchang 571339, China)、Fei Song(Hainan Engineering Center of Coconut Further Processing, Coconut Research Institute of Chinese Academy of Tropical Agricultural Sciences, Wenchang 571339, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Xiaoyan Liu, Yufeng Zhang, Qi Gao, et al. Effect of Maturation on the Chemical Composition, Nutritional Value, Biological Activities In Vitro and Volatile Organic Compounds in the Coconut Meat of Wenye No. 3 Variety. Foods 2026-09-03. DOI: 10.3390/foods15173136. 原著ライセンス:CC BY.