著者の所属・活動拠点の国は、ドイツです。

掲載誌:Journal of the American Oil Chemists Society

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ビタミンEは一つの物質ではなく、「トコクロマノール」と呼ばれる似た構造をもつ化合物のグループの総称です。よく知られるα-トコフェロールのほか、プラストクロマノール-8(PC-8)という成分もこのグループに含まれます。PC-8はγ-トコトリエノールに近い構造ですが、分子の「尾」にあたる側鎖が長く、イソプレンと呼ばれる構成単位が3個ではなく8個つながっています。

PC-8はさまざまな植物や種子で見つかっていますが、中南米原産の樹木セクロピア属の葉には特に多く含まれることが知られていました。研究チームは、セクロピアの葉に含まれるPC-8やほかのトコクロマノールの量を測り、その量が季節によってどう変わるかを調べることを目的としました。

何を調べたか

研究チームは、温室で育てた5本のセクロピアの葉を試料にしました。成分を分けてから質量を手がかりに特定の分子を選んで数える分析法(LC-MS/MS-MRM法)を新たに整え、PC-8などのトコクロマノールを測定しました。あわせて、別の質量分析法や、植物ステロールの組成の分析によって葉の性質も調べています。

葉はすべての木から夏と秋に採取し、そのうち1本からは冬と春にも採取して、四つの季節を通した変化を追いました。含有量は、水分を除いた葉の重さ(乾燥重量)1キログラムあたりのミリグラム数で示されています。

主な結果

夏に採取した葉のPC-8は、木によって乾燥重量1キログラムあたり約400〜1280ミリグラムでした。秋にかけてはすべての木で約1.5倍に増え、最も多いもので1840ミリグラムに達したと報告されています。四季を通して調べた1本の木では、PC-8が最も多かったのは春でした。

α-トコフェロールも非常に多く、夏の葉で1キログラムあたり約610〜3140ミリグラム含まれていました。その量も季節によって大きく変わりましたが、PC-8とは逆に、秋の量は夏より少なくなっていました。

さらに、最近見つかったPC-8の仲間で側鎖の長さが異なるPC-7とPC-9も、すべての木の葉から確認されました。その量はPC-8の0.45〜1.95%ほどでした。

研究が示すこと

著者らは、セクロピアの葉がPC-8を際立って豊富に含む植物材料であり、トコクロマノールの含有量は季節によって大きく変動すると結論づけています。同じビタミンEの仲間でも、PC-8とα-トコフェロールでは季節による増減の向きが異なっていた点も報告されました。PC-7とPC-9の検出により、セクロピアに含まれるプラストクロマノール類の顔ぶれについての知見も広がったとしています。

原著論文の著者・所属:Rosalie Ormos(Department of Food Chemistry (170b) University of Hohenheim, Institute of Food Chemistry Stuttgart Germany)、Jörg Rau(Chemisches und Veterinäruntersuchungsamt Stuttgart (CVUAS) Fellbach Germany)、Walter Vetter(Department of Food Chemistry (170b) University of Hohenheim, Institute of Food Chemistry Stuttgart Germany)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Rosalie Ormos, Jörg Rau, Walter Vetter. Seasonal Fluctuations of Plastochromanol‐8 and α‐Tocopherol Amounts in the Leaves of Cecropia Trees. Journal of the American Oil Chemists Society 2026-07-28. DOI: 10.1002/aocs.70136. 原著ライセンス:CC BY.