著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:European journal of medical research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
朝食の中身に注目した研究
食後に血糖値が大きく上がることは、2型糖尿病の人で心血管の病気や死亡のリスクの高さと関連することが知られています。そのため、食後の血糖の変動を抑えることは治療の重要な目標の一つです。著者らによると、朝食をとると、抜く場合に比べて一日の血糖や脂質の管理、インスリンの効きやすさが良くなるという報告があります。一方で、朝食の内容の違いが2型糖尿病の人の糖や脂質の代謝にどう影響するかを調べた研究は限られていました。
そこで研究チームは、炭水化物・たんぱく質・脂質の割合や食物繊維の量が異なる3種類の朝食を用意し、食後の血糖、インスリン、脂質がどう変わるかを調べました。
3種類の朝食を同じ人が順に食べる方法
研究には、35〜65歳の2型糖尿病の入院患者12人(男女各6人、平均年齢48.5歳)が参加しました。参加者の血糖管理の目安となるHbA1cは平均6.2%で、試験期間中、血糖を下げる薬の内容は変更しませんでした。
朝食はいずれもエネルギー量が約565キロカロリーで、主なエネルギー源は炭水化物です。朝食Aは卵とキャベツ入りの蒸しパン(包子)、朝食Bは卵、キュウリのサラダ、脱脂乳、小麦とトウモロコシの蒸しパン、朝食Cはオーツ麦・黒豆・小豆・キビの雑穀がゆと、ナズナと肉の包子という組み合わせでした。朝食Bは炭水化物とたんぱく質が最も多く脂質が最も少なく、朝食Cは炭水化物が最も少なく脂質が最も多いという違いがありました。食物繊維は朝食Cが6.0グラムと最も多く、Bが3.9グラム、Aが1.7グラムでした。
参加者はA、B、Cの順に朝食を食べ、それぞれの間には前の朝食の影響を残さないよう7日間の間隔を置きました。各回とも、空腹時と食後1時間・2時間に採血し、血糖、インスリン、脂質のほか、C-ペプチドを測りました。C-ペプチドはインスリンと一緒に膵臓のβ細胞から分泌される物質で、体が自分でどれだけインスリンを出しているかを反映します。なお、各朝食の前の空腹時の血糖・脂質などの値には、回ごとの統計的な差はありませんでした。
血糖の上がり幅とインスリン分泌の指標に朝食による差
どの朝食でも、血糖、インスリン、C-ペプチドは食後の時間経過とともに有意に変化しました。そのうえで朝食の種類による違いを分析すると、空腹時からの血糖の上昇幅、C-ペプチドの増加量、そして食後と空腹時のC-ペプチドの比に朝食による有意な差が認められました。一方、血糖値そのものやインスリン値には、朝食による有意な差は見られませんでした。
朝食同士を個別に比べると、血糖の上昇幅では朝食AとBの間に差がありました。C-ペプチドの比では、朝食AとB、朝食AとCの間にそれぞれ差が見られ、この指標では朝食の種類によって時間経過に伴う変化の仕方も異なっていました。著者らは、この比を膵臓のβ細胞に残るインスリン分泌の余力を評価する指標として位置づけています。
これに対し、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪などの脂質の指標については、朝食の種類、時間、両者の組み合わせのいずれでも統計的に有意な差は認められませんでした。
研究が示すこと
著者らは、2型糖尿病の人の食後の血糖代謝は朝食の構成によって影響を受けると結論づけています。そして、朝食の三大栄養素の割合を調整することや、血糖値を上げにくい(グリセミック指数の低い)食材を選ぶこと、食物繊維を増やすことが、食後の血糖代謝の改善に役立つ可能性があると述べています。
ただし著者ら自身は、参加者が12人と少ないことと、食後15分といった早い段階の採血を行っておらず、食べた直後のインスリン分泌を評価できていないことを限界として挙げています。この研究は、同じエネルギー量の朝食でも、栄養素の組み合わせや食物繊維の量の違いによって食後の血糖の上がり方やインスリン分泌の反応が変わりうることを、少人数の比較から示したものといえます。
原著論文の著者・所属:Lihua Li(Department of Clinical Nutrition, Lianshui People’s Hospital Affiliated to Kangda College of Nanjing Medical University, Huai’an, 223400, Jiangsu, China)、Yufei Shi(Key Laboratory of Environmental Medicine and Engineering of Ministry of Education, and Department of Nutrition and Food Hygiene, School of Public Health, Southeast University, Nanjing, 210009, China)、Rui Zhang(Department of Clinical Nutrition, Lianshui People’s Hospital Affiliated to Kangda College of Nanjing Medical University, Huai’an, 223400, Jiangsu, China)、Yanyan Tian(Key Laboratory of Environmental Medicine and Engineering of Ministry of Education, and Department of Nutrition and Food Hygiene, School of Public Health, Southeast University, Nanjing, 210009, China)、Qing Zhao(Department of Clinical Nutrition, Lianshui People’s Hospital Affiliated to Kangda College of Nanjing Medical University, Huai’an, 223400, Jiangsu, China)、Guiju Sun(Key Laboratory of Environmental Medicine and Engineering of Ministry of Education, and Department of Nutrition and Food Hygiene, School of Public Health, Southeast University, Nanjing, 210009, China)、Ligang Yang(Key Laboratory of Environmental Medicine and Engineering of Ministry of Education, and Department of Nutrition and Food Hygiene, School of Public Health, Southeast University, Nanjing, 210009, China)、Qiaosheng Hu(Department of Clinical Nutrition, Lianshui People’s Hospital Affiliated to Kangda College of Nanjing Medical University, Huai’an, 223400, Jiangsu, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Lihua Li, Yufei Shi, Rui Zhang, et al. Effects of different breakfasts dietary patterns on postprandial blood glucose and islet function metabolism in type 2 diabetic patients. European journal of medical research 2026-08-01. DOI: 10.1186/s40001-026-04969-7. 原著ライセンス:CC BY.