日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。

掲載誌:International Journal of Gastronomy and Food Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

野菜をおいしく調理することは、野菜を食べる量を増やすための大切な方法の一つです。研究チームは、身近な調理法と新しい調理法の違いが、紫色のナス(Solanum melongena L.)の性質や味の感じ方、好まれやすさにどう影響するのかを明らかにしようとしました。

比べた調理法は、ゆでる、蒸す、油で揚げる、そして過熱水蒸気の4種類です。過熱水蒸気とは、水蒸気を100℃を超える温度までさらに加熱したもので、この研究では新しい調理法として取り上げられています。

調べた内容

著者らは、それぞれの調理法で加熱したナスについて、成分や色、柔らかさといった物理的・化学的な性質を調べました。成分としては、植物に含まれる成分の一群であるポリフェノールの総量や、糖など水に溶けている成分の量の目安となる総可溶性固形分などを取り上げています。

あわせて、味の評価について専門的な訓練を受けていない参加者にナスを食べてもらい、どのくらい好ましいか、どのような特徴(香ばしさ、油っぽさ、甘み、渋みなど)を感じたかを答えてもらいました。さらに、感じた特徴が好ましさをどの程度上げたり下げたりするかを調べる「ペナルティ分析」と呼ばれる手法で、その関係を検討しました。

主な結果

揚げたナスは、ゆでたもの、蒸したもの、過熱水蒸気で調理したものと比べて好ましさの評価が有意に高く、参加者の間での評価のばらつきも小さいという結果でした。

ポリフェノールの総量には調理法による有意な差は見られませんでした。それにもかかわらず、揚げたナスでは渋みを感じた参加者が少なかったことから、著者らは油が渋みの感じ方を変えた可能性があると考えています。揚げたナスでは、香ばしい、油っぽい、甘いという特徴が多く選ばれたことも報告されています。総可溶性固形分にも調理法による有意な差はありませんでしたが、揚げる間に水分が減ったことで水に溶けた糖が濃縮され、甘みを感じやすくなったと考えられるとしています。

ゆでる、蒸す、過熱水蒸気の3つの方法の間では、全体的な好ましさに有意な差はありませんでした。ただし過熱水蒸気で調理したナスは、より柔らかく仕上がり、果肉の明るさや皮の鮮やかな紫色がよりよく保たれていました。

ペナルティ分析からは、水を使う調理法において、甘みが好ましさを高め、渋みが好ましさを下げる方向に働いていたことが示されました。

研究が示すこと

著者らは、調理法がナスのおいしさに大きく影響し、その理由は成分の変化だけでなく、むしろ味の感じ方の変化によるところが大きいと結論づけています。揚げる調理は渋みを感じにくくし、好まれる風味を加えることでおいしさを高めていました。一方、過熱水蒸気による調理は、柔らかさと色の保持を両立できる有望な選択肢とされています。また、水を使う調理法でナスをより受け入れやすくするには、甘みを高め、渋みを抑えることが必要だと論文は述べています。

原著論文の著者・所属:Chinami Ishibashi(Department of Nutrition, Graduate School of Human Life and Ecology, Osaka Metropolitan University, 2-1-132 Morinomiya, Joto-ku, Osaka, 536-8525, Japan)、Sayuri Okamoto(Department of Nutrition, Graduate School of Human Life and Ecology, Osaka Metropolitan University, 2-1-132 Morinomiya, Joto-ku, Osaka, 536-8525, Japan)、Wakana Matsumura(Department of Nutrition, Graduate School of Human Life and Ecology, Osaka Metropolitan University, 2-1-132 Morinomiya, Joto-ku, Osaka, 536-8525, Japan)、Yuri Yoshida(Department of Nutrition, Graduate School of Human Life and Ecology, Osaka Metropolitan University, 2-1-132 Morinomiya, Joto-ku, Osaka, 536-8525, Japan)、Shigeo Takenaka(Department of Nutrition, Graduate School of Human Life and Ecology, Osaka Metropolitan University, 2-1-132 Morinomiya, Joto-ku, Osaka, 536-8525, Japan)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Chinami Ishibashi, Sayuri Okamoto, Wakana Matsumura, et al. Effects of domestic and superheated steam cooking methods on physicochemical and sensory characteristics of purple eggplant (Solanum melongena L.). International Journal of Gastronomy and Food Science 2026-08-06. DOI: 10.1016/j.ijgfs.2026.101616. 原著ライセンス:CC BY.