著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。

掲載誌:Journal of School Health

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

思春期の食習慣は、その後の健康に長く広く影響すると考えられています。なかでも、砂糖入りの炭酸飲料やスポーツドリンクのような加糖飲料をよく飲むことは、これまでの研究で、好ましくない体重増加、2型糖尿病、心血管疾患のリスク、虫歯との関連が報告されてきました。論文によると、2023年には米国の高校生の15%が砂糖入り炭酸飲料を、11%がスポーツドリンクを毎日飲んでいました。

一方で、若者はつらい生活上の出来事への対処として、健康によくない行動をとることがあるという知見もあります。そこで研究チームは、家庭や学校での生活上のストレス要因と、炭酸飲料・スポーツドリンクの摂取とのあいだにどのような関連があるのかを、2023年の全国データを用いて記述することを目的としました。

何を調べたか

研究チームが用いたのは、米国疾病対策センター(CDC)が実施する全国青少年リスク行動調査(YRBS)の2023年版です。これは公立・私立の高校(9〜12年生)の生徒を全国的に代表するよう設計された、学校で行われる匿名の調査です。ある一時点の状況を調べる「横断調査」で、2023年には2万件余りの有効回答が集まりました。毎日の摂取に関する分析には、約1万2千人分のデータが使われています。

摂取の対象は、ダイエット版を除く炭酸飲料と、低カロリー版を除くスポーツドリンクです。両者を合わせて1日1回以上飲む場合を「毎日の摂取」、1日3回以上飲む場合を「多量の毎日摂取」として扱いました。調査で尋ねているのは飲む回数で、飲んだ量ではありません。

ストレス要因としては、家庭に関する2項目(住まいが不安定であること、基本的な生活の必要を満たそうと懸命に努める大人が家庭に「ときどき・まれに・まったく」いないこと)と、学校に関する4項目(学校でのいじめ、安全への不安による欠席、学校で不当に処分されたと感じたこと、学校で周囲との親しさを感じないこと)が取り上げられました。

比較には「有病率比」を用いています。これは、ストレス要因を経験した生徒の摂取割合が、経験していない生徒の何倍かを示す値です。学年、性別、人種・民族、体重についての自己認識の違いを考慮した調整も行われました。

主な結果

全体では、高校生の34.2%が炭酸飲料またはスポーツドリンクを1日1回以上、7.9%が1日3回以上飲んでいると報告されました。毎日飲む割合は、女子(27.4%)より男子(40.5%)で高い結果でした。

ストレス要因を経験した生徒では、経験していない生徒に比べて摂取の割合が高い傾向が見られました。著者らのまとめでは、住まいの不安定さ、生活の必要を満たそうとする大人の不在、いじめ、安全への不安による欠席、不当な処分を経験した生徒で、毎日飲む割合が20〜60%高くなっていました。たとえば住まいが不安定な生徒では58.2%が毎日飲んでおり、そうでない生徒の33.6%を上回りました(調整後の有病率比1.6)。

1日3回以上の多量摂取では、差がより大きく表れた項目もありました。住まいが不安定な生徒では25.4%が多量摂取にあたり、そうでない生徒の7.3%の約3倍でした(調整後の有病率比2.9)。いじめを経験した生徒(11.5%対6.9%)や、安全への不安で欠席した生徒(12.4%対7.2%)でも、多量摂取の割合は高くなっていました。

一方で、学校で周囲との親しさを感じないことは、毎日の摂取とも多量摂取とも統計的に意味のある関連を示しませんでした。

この研究が示すこと

研究チームによれば、これらのストレス要因と炭酸飲料・スポーツドリンク摂取との関連を米国の高校生で報告したのは、この研究が初めてとみられます。関連が生じる理由は明らかになっていません。著者らは、ストレスに伴う嫌な気持ちを和らげる手段として飲んでいる可能性や、生活環境による入手しやすさ・宣伝の影響を挙げています。さらに、加糖飲料の摂取が先にあり、それが学校での処分などにつながるという逆向きの可能性にも触れています。

この調査は一時点のデータであるため、因果関係や影響の向きは判断できません。また、飲んだ量ではなく回数を尋ねたものであり、対象も炭酸飲料とスポーツドリンクに限られています。

それでも、家庭や学校でストレスを抱える高校生ほど甘い飲み物をよく飲む傾向があるという結果は、飲み物の習慣を個人の選択だけでなく生活状況とあわせて捉える必要を示しています。著者らは、ストレス要因と健康行動の両方に目を向けた包括的な支援が、生徒の健康的な行動を後押しする可能性があると論じています。

原著論文の著者・所属:Ann M. Goding Sauer(Division of Nutrition Physical Activity and Obesity (DNPAO) National Center for Chronic Disease Prevention and Health Promotion (NCCDPHP), Centers for Disease Control and Prevention (CDC) Atlanta Georgia USA)、Ryan Saelee(Division of Adolescent and School Health NCCDPHP, CDC Atlanta Georgia USA)、Samantha L. Pierce(Division of Nutrition Physical Activity and Obesity (DNPAO) National Center for Chronic Disease Prevention and Health Promotion (NCCDPHP), Centers for Disease Control and Prevention (CDC) Atlanta Georgia USA)、Caitlin L. Merlo(Division of Adolescent and School Health NCCDPHP, CDC Atlanta Georgia USA)、Jessica R. Hunter(McKing Consulting Corporation, DNPAO NCCDPHP, CDC Atlanta Georgia USA)、Julie L. Self(Division of Nutrition Physical Activity and Obesity (DNPAO) National Center for Chronic Disease Prevention and Health Promotion (NCCDPHP), Centers for Disease Control and Prevention (CDC) Atlanta Georgia USA)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ann M. Goding Sauer, Ryan Saelee, Samantha L. Pierce, et al. Soda and Sports Drink Consumption and Life Stressors Among High School Students: Youth Risk Behavior Survey, 2023. Journal of School Health 2026-08-01. DOI: 10.1111/josh.70201. 原著ライセンス:CC BY.