著者の所属・活動拠点の国は、ロシアです。
掲載誌:Siberian Herald of Agricultural Science
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
亜鉛の供給源を変えて比べる
研究チームは、ウズラの飼料に加える亜鉛の形態を変えると、成長や産卵、卵と肉の品質、経済性にどのような違いが出るかを調べました。亜鉛は鳥の成長や代謝に必要な微量元素で、研究では通常使われる硫酸亜鉛と、二つの有機物を用いた亜鉛添加物を比較しました。
日本ウズラのひなを各50羽の3群に分け、対照群には硫酸亜鉛、残る2群にはそれぞれ、亜鉛をアミノ酸の一種であるL-アスパラギン酸と結びつけた「OMEC-Zn」と、亜鉛にケルセチンとマルトデキストリンを組み合わせた添加物を与えました。飼料1kg当たりの亜鉛の配合量は、対照群が60.0mg、二つの試験群が各7.5mgで、形態だけでなく配合量も異なる比較でした。基本となる飼料は共通とし、体重や飼料摂取量、産卵数などを記録しました。
成長と産卵でみられた違い
著者らの報告では、60日齢の平均体重は、対照群に比べてアスパラギン酸との複合体を与えた群で2.8%、ケルセチンなどを含む添加物を与えた群で6.9%高くなりました。育成期間を通して、体重を1g増やすために必要だった飼料量は、それぞれ対照群より13.1%、10.4%少なくなりました。
産卵期間に得られた卵の総重量も、1羽当たりでそれぞれ対照群を3.1%、5.9%上回りました。ケルセチンなどを含む添加物の群では、1羽当たりの産卵数が約83個と最も多く、卵10個を生産するための飼料量は対照群より1.8%少なかったと報告されています。
一方、試験の終わりに卵をふ化させた際のふ化率は、対照群が69.4%、アスパラギン酸との複合体の群が66.7%、ケルセチンなどを含む添加物の群が50.0%でした。成長や産卵で良い成績を示した群が、繁殖に関する指標でも最も高い成績を示したわけではありませんでした。
生産成績と経済性は一致しない
研究チームは、飼料や添加物の費用と、生産した肉や卵の販売額を用いて経済性も試算しました。その結果、アスパラギン酸との複合体を与えた群の経済的な差し引き額は、対照群より育成期間で23.3%、産卵期間で2.4%高くなったと報告しています。ケルセチンなどを含む添加物は、生産成績では良好な結果を示したものの、添加物自体の価格が高く、経済面での優位にはつながりませんでした。
この研究が伝えるのは、ウズラ用飼料の亜鉛源を選ぶ際には、成長や産卵の成績だけでなく、繁殖成績や添加物の費用も含めて捉える必要があるということです。
原著論文の著者・所属:S. V. Egorov(Siberian Federal Scientific Centre of Agro-BioTechnologies of the Russian Academy of Sciences)、N. A. Nosenko(Siberian Federal Scientific Centre of Agro-BioTechnologies of the Russian Academy of Sciences)、S. N. Mager(Siberian Federal Scientific Centre of Agro-BioTechnologies of the Russian Academy of Sciences)、A. N. Shvydkov("Sibbiopharm" Ltd)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):S. V. Egorov, N. A. Nosenko, S. N. Mager, et al. The effect of different forms of zinc compounds in quail diets on their performance. Siberian Herald of Agricultural Science 2026-09-14. DOI: 10.26898/0370-8799-2026-8-9. 原著ライセンス:CC BY.