この研究は、アフガニスタンの研究機関の研究論文です。
掲載誌:INTERDISIPLIN Journal of Qualitative and Quantitative Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
家禽の飼育では、成長を促し飼料の利用効率を高める目的で、長らく抗生物質が飼料添加物として使われてきました。しかし論文は、抗生物質に耐性をもつ病原菌が現れることや、鶏肉などの製品に薬剤が残ることへの懸念から、欧州委員会が成長促進目的での飼料への抗生物質使用を禁止したと説明しています。そのため、代わりとなる自然由来の素材、とくに薬用植物への関心が高まっているといいます。
著者らが注目したのはショウガ(Zingiber officinale)です。論文は、ショウガの根茎にジンゲロールやジンギベレンなどの生理活性成分が含まれ、これらが消化液の分泌を促し、消化酵素の働きを高め、消化管内のpHを調整し、腸内の有用な微生物を増やすと報告されてきたことを紹介しています。こうした背景のもと、この研究はショウガ粉末を飼料に加えることが日本ウズラの成長成績と屠体(と体)の特徴にどう影響するかを確かめることを目的として行われました。
何を、どのように調べたか
研究チームはアフガニスタンの養鶏(養ウズラ)場で試験を行いました。生後7日の日本ウズラ160羽を無作為に5つの飼料区に分け、各区を2反復、1反復あたり16羽として35日間飼育しています。1区は添加なしの対照飼料、残る4区は基礎飼料にショウガ粉末をそれぞれ0.2%、0.4%、0.6%、0.8%の割合で混ぜた飼料です。ショウガ粉末は地元の市場で購入し、基礎飼料に混合したと述べられています。飼料と水はいずれも自由に摂取できる状態で与えられました。
試験期間中は体重を定期的に測り、与えた飼料の量と食べ残しを毎日記録して、飼料摂取量と飼料要求率を算出しています。飼料要求率とは、体重を1増やすのに何倍の飼料が必要かを示す指標で、値が小さいほど飼料を効率よく肉に変えていることを意味します。試験終了時には各区から2羽(1反復あたり1羽)を無作為に選んで屠殺し、と体の特徴を調べました。データは一元配置分散分析にかけ、平均値の比較にはダンカンの多重範囲検定を用い、P<0.05を統計的な差があるとみなしたと記されています。
報告された主な結果
論文は、ショウガ粉末の添加が最終的な生体重には統計的に有意な影響を与えなかった(P>0.05)と報告しています。生体重の数値そのものは194.70gから201.00gの範囲で、最も高かったのは0.6%区(201.00g)、最も低かったのは0.8%区(194.70g)でしたが、これらの差は有意とは示されていません。
一方、体重増加量と飼料要求率には有意な差(P<0.05)が認められました。体重増加量は対照区が170.77gで最も高く、0.6%区(170.17g)がこれと統計的に同等とされ、最も低かったのは0.8%区の163.15gでした。飼料要求率は0.6%区が2.86で最も良好な値を示し、0.2%区(2.88)と0.4%区(2.89)もこれと統計的に同じ水準でした。対照区は2.97、0.8%区は3.14で、0.8%区は飼料摂取量が最も多かった(512.42g)にもかかわらず、それが効率よく体重に変わらなかったと著者らは述べています。
と体の特徴についても添加量によって異なる結果が報告されました。論文がdressed weight(と体重)として示した値は有意に影響を受け、0.8%区が127gで最も高く、対照区と0.4%区は117gでした。胸肉の割合は0.2%区が37.19%で最も高く、0.8%区が31.49%で最も低い値でした。もも肉の割合は0.4%区が23.93%で最も高くなっています。著者らは、すべての項目で最良となる単一の添加量はなく、0.8%ではと体重は増えたものの胸肉の割合が下がったのに対し、0.2〜0.6%という中程度の添加のほうがと体全体としてはより均衡のとれた反応を示したと整理しています。
著者らは結果の解釈にあたり注意点も挙げています。試験開始時の体重が各区の間で有意に異なっていた(対照区27.83gから0.2%区33.94gの範囲)ため、その後の成長の比較は慎重に行う必要があり、今後は開始時体重をそろえるか統計的に補正するほうが、ショウガ添加そのものの効果をより確かに評価できると述べています。
この研究から読み取れること
この研究が示したのは、ショウガ粉末を飼料に加えた効果は「多ければよい」という単純なものではなく、加える量によって向きが変わるという点です。著者らの結論では、体重増加量を高く保ちつつ飼料要求率が最も良かった0.6%が全体として最も好ましい水準であり、0.8%は摂取量が増えるのに増体も飼料効率も落ちる過剰な量だとされています。
抗生物質に代わる飼料添加物を探すという文脈に置くと、この報告は、植物由来の素材でも適切な添加量を見極めることが成果を左右することを具体的な数値で示した事例として読めます。同時に著者ら自身が開始時体重のばらつきという限界を明記しており、報告された数値はその条件のもとでの結果として受け取るのが適切です。
著者:Younos Kishtmand(Department of Animal Science, Agriculture Faculty, Daykundi University, Daykundi)、Abdul Manan Khadimian(Department of Animal Science, Agriculture Faculty, Alberoni University, Kapisa)、Mojeeb Ur Rahman Yusufzai(Department of Animal Science, Agriculture Faculty, Alberoni University, Kapisa, Afghanistan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Younos Kishtmand, Abdul Manan Khadimian, Mojeeb Ur Rahman Yusufzai. The Effects of Using Ginger in the Diet on Growth Performance and carcass traits of Japanese Quails. INTERDISIPLIN Journal of Qualitative and Quantitative Research 2026-09-05. DOI: 10.61166/interdisiplin.v3i5.166. 原著ライセンス:CC BY.