著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Metabolites

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

食事からのたんぱく質摂取量が多い人ほど体脂肪の指標が低い傾向にあるという報告があります。一方で、おなか周りに脂肪がつく「腹部肥満」との関係については、まだ証拠が限られています。

この論文の研究チームは、農村部に暮らす成人を対象に、たんぱく質摂取量の違いと腹部肥満の有無との関連を調べました。研究の位置づけは、この特定の農村集団について実態を記述する資料を示すことだとされています。

調べた内容と方法

研究チームは、以前に実施された栄養疫学調査に参加した農村部の成人515人のデータを分析しました。ある一時点のデータで関連を見る「横断研究」と呼ばれる方法です。食事内容は、食品をどのくらいの頻度で食べるかを尋ねる質問票と、3日分の食事を思い出して記録する聞き取り調査を組み合わせて把握しました。あわせて体重、身長、腹囲、腰回りの周囲長も測定しています。

たんぱく質摂取量は「体重1kgあたり1日に何グラムとったか」という単位で表し、参加者を摂取量の少ない順に4つのグループに分けました。最も少ないグループは体重1kgあたり1日0.74g未満、最も多いグループは1.23g以上です。腹部肥満は、腹囲が男性で90cm以上、女性で85cm以上の場合と定義されました。

分析では、年齢や性別、摂取エネルギー量、生活習慣、食事の要因など、結果に影響しうるほかの要因を統計的に調整したうえで、たんぱく質摂取量と腹部肥満との関連を調べました。

主な結果

体重1kgあたりのたんぱく質摂取量が多いグループほど、体重、BMI、腹囲、腰回り、腹囲と腰回りの比が低い傾向が見られました。また、摂取量が多いグループほど、総エネルギーや主要な栄養素の摂取量、いくつかの食品群の摂取量は多くなっていました。

腹部肥満に当てはまった374人のたんぱく質摂取量は体重1kgあたり1日0.88gで、腹囲が基準未満の人たちの1.19gより低かったと報告されています。統計モデルでは、摂取量の多いグループほど腹部肥満である可能性が段階的に低く、ほかの要因を調整した後もこの関連は残りました。

しかし、たんぱく質摂取量を体重で割らない指標で分析し直すと、結果は変わりました。1日あたりの摂取量そのもの(g/日)、摂取エネルギーに占めるたんぱく質の割合、摂取量を連続的な値として扱う分析のいずれでも、関連は大きく弱まり、統計的に意味のある関連は見られなくなりました。

研究が示すこと

研究チームは、体重1kgあたりで見たときに現れた関連は、主に「数学的カップリング」によって説明されると結論づけています。これは、摂取量を体重で割るため、同じ量を食べていても体重の重い人ほど計算上の値が小さくなるという現象です。腹部肥満の人は体重も重い傾向があるため、食事の違いとは別に、見かけ上の関連が生じうるということです。

著者らは、今回の結果はあくまで関連を示すもので、たんぱく質が腹部肥満を防ぐといった因果関係として解釈すべきではないとしています。この研究は、栄養と体型の関係を調べる際に、摂取量をどの単位で表すかによって結論が大きく変わりうることを示した例といえます。

原著論文の著者・所属:Aerbusili Genjiafu(Department of Nutrition and Food Hygiene, School of Public Health, Xinjiang Medical University, Urumqi 830011, China)、Wenzhuo Yu(Department of Nutrition and Food Hygiene, School of Public Health, Xinjiang Medical University, Urumqi 830011, China)、Dina Muheyati(Department of Nutrition and Food Hygiene, School of Public Health, Xinjiang Medical University, Urumqi 830011, China)、Meixia Lv(Department of Nutrition and Food Hygiene, School of Public Health, Xinjiang Medical University, Urumqi 830011, China)、Muhairemu Jielili(Department of Nutrition and Food Hygiene, School of Public Health, Xinjiang Medical University, Urumqi 830011, China)、Mengfan Liu(Department of Nutrition and Food Hygiene, School of Public Health, Xinjiang Medical University, Urumqi 830011, China)、Jia Han(Department of Nutrition and Food Hygiene, School of Public Health, Xinjiang Medical University, Urumqi 830011, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Aerbusili Genjiafu, Wenzhuo Yu, Dina Muheyati, et al. Association Between Dietary Protein Intake and Abdominal Obesity in Rural Adults: A Cross-Sectional Study. Metabolites 2026-10-30. DOI: 10.3390/metabo16110836. 原著ライセンス:CC BY.