著者の所属・活動拠点の国は、ナイジェリアです。

掲載誌:World Journal of Advanced Research and Reviews

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的:身近な原料で手頃な朝食を

朝食は食事の質や集中力に関わるとされる一方、最も抜かれやすい食事でもあります。論文によると、市販の朝食用シリアルの多くは小麦、大麦、ソルガムを原料としていますが、ナイジェリア北部の多くの地域ではこれらの穀物は高価で、栽培も難しいといいます。

そこで著者は、現地で手に入る2つの原料に着目しました。1つは西アフリカの在来穀物アチャ(フォニオとも呼ばれます)です。グルテンを含まず、あまり活用されていない作物です。もう1つはバオバブの果肉で、論文ではビタミンC、ミネラル、水に溶ける食物繊維の供給源として紹介されています。研究の目的は、この2つを組み合わせ、低所得の消費者向けに栄養があり手頃な朝食用食品を作ることでした。これまでアチャは主食として、バオバブ果肉は主に飲み物の材料として研究されており、両者を組み合わせた朝食用食品はほとんど調べられていなかったと著者は述べています。

何を調べたか

研究では、アチャ100%の対照試料と、アチャとバオバブ果肉を70:30、60:40、50:50、40:60の割合で混ぜた試料、計5種類を作りました。バオバブ果肉は粉にしてふるいにかけ、洗浄したアチャと混ぜて製粉しています。

各試料について、まず粉の性質を測定しました。かさ密度(一定の体積に入る粉の重さ)、吸水力、水を加えたときの膨らみやすさ、加熱してとろみ(ゲル状)が出る温度です。次に、水分、灰分(燃やした後に残る無機質の量で、ミネラル全体の目安)、粗繊維、脂質、たんぱく質、炭水化物の含有量を分析しました。さらに、訓練を受けていない12人のパネリストが、色、味、食感、香り、風味、総合的な好ましさを9段階で評価しました。

主な結果

バオバブ果肉を加えると、成分構成がはっきり変わりました。灰分はアチャ100%の3.95%から、混合試料では5.54〜5.99%に増えました。一方、たんぱく質は6.29%から3.15〜4.27%に減り、バオバブ60%の試料ではおよそ半分になりました。脂質は2.07%から1.20〜1.40%に、水分は9.01%から7.07〜7.38%に下がりました。炭水化物は74.29%から77.63〜78.42%と数値上は高くなりましたが、粗繊維とともに試料間で統計的に意味のある差はなかったと報告されています。

粉の性質では、バオバブの割合が増えるにつれて吸水力が1グラムあたり1.21グラムから1.42グラムへ高まりました。膨らみやすさの指標は1.81から1.43に下がり、とろみが出る温度も60℃から58℃へわずかに下がりました。かさ密度には、配合割合との一貫した傾向は見られませんでした。

食味評価では、5種類すべての平均点が7.42〜8.17の範囲にありました。これは「やや好き」から「とても好き」に当たる評価です。統計解析の結果、どの評価項目でも試料間に有意な差はありませんでした。バオバブ60%の試料は、総合的な好ましさ(8.00)と食感(8.17)で最も高い点を得ています。

研究が示すこと

論文は、バオバブ果肉をアチャの60%まで置き換えても、受け入れられやすさを損なわずに、ミネラル(灰分)の多い朝食用食品を作れると結論づけています。特に50:50と40:60の配合は、灰分と吸水力が高く、食味評価も変わらない点で釣り合いがよいとしています。

一方で、バオバブの割合を増やすとたんぱく質が大きく減ります。著者はこれを主な栄養面の欠点として挙げ、豆類や牛乳などたんぱく質の多い食品と組み合わせるか、たんぱく質を補うことが望ましいとしています。この研究は、現地で手に入るアチャとバオバブ果肉が、輸入品や高価な穀物に頼らない朝食の原料になりうることを示しています。

原著論文の著者・所属:AGOMUO Jude Kelechi(Department of Food Science and Technology, Federal Polytechnic, Kaura Namoda, Zamfara State, Nigeria)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):AGOMUO Jude Kelechi. PRODUCTION AND EVALUATION OF A FUNCTIONAL BREAKFAST MEAL FROM ACHA (DIGITARIA EXILIS) AND BAOBAB (ADANSONIA DIGITATA) FRUIT PULP. World Journal of Advanced Research and Reviews 2026-10-01. DOI: 10.30574/wjarr.2026.32.1.2755. 原著ライセンス:CC BY.