著者の所属・活動拠点の国は、コンゴ共和国です。

掲載誌:Journal of Agriculture and Crops

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

キャッサバはコンゴ共和国で主食とされ、地域の食生活で大きな役割を担っています。収穫後のキャッサバは、多くの伝統的な加工法でまず水に3〜5日ほど浸けて発酵させます。この工程は「水さらし(レッティング)」と呼ばれ、根を柔らかくし、キャッサバにもともと含まれるシアン化合物の元になる成分を減らすと説明されています。ただし水さらしは管理が難しく、仕上がりの成分や風味にばらつきが出ることがあります。

研究チームは、コンゴ共和国で伝統的に加工された水さらしキャッサバについて、酸性度などの化学的な性質を測定しました。あわせて、人の感覚で品質を確かめる官能評価も行い、色と発酵臭がどう受け止められるかを調べました。

何を調べたか

材料は苦味種のキャッサバを水さらしした塊根で、2025年に調べられました。植え付けから12、14、16か月のものは3日間、18か月と20か月のものは4日間、水に浸けられていました。加熱したキャッサバ15試料について、実験室でpH、滴定酸度(酸の量を、中和に必要なアルカリの量から求めた値)、水分、灰分を分析しました。灰分は試料を高温で焼いた後に残る量で、ミネラル分の目安になります。

官能評価では、10人の学部生が試料A(12か月)、B(14か月)、C(18か月)を評価しました。評価方法は、好ましさを1(非常に嫌い)から5(非常に好き)の5段階から選ぶ嗜好試験です。評価項目は色と発酵臭でした。著者らはまた、地元でキャッサバを加工する作り手25人への聞き取りの内容も報告しています。作り手によると、18か月以上のキャッサバは繊維が硬く、浸ける期間がより長く必要になるとのことです。

主な結果

論文によると、試料のpHは4.2〜5.4で、いずれも弱い酸性でした。著者らは、キャッサバの株齢や浸漬期間がpHを大きく変えることはなかったと述べています。滴定酸度は硫酸換算で1.33〜2.98 g/L、灰分は0.74〜2.73%でした。

官能評価では、色の平均点が2.2〜2.3、発酵臭の平均点が3.1〜3.3でした(5段階評価)。著者らは、色について試料間に有意な差はなかったと報告しています。発酵臭も点数の幅が狭いことから、各試料はよく似た特徴をもっていたと見ています。

この研究が示すこと

この研究は、コンゴ共和国で伝統的に作られる水さらしキャッサバについて、酸性度やミネラル分の目安と、色・発酵臭の受け止められ方をまとめて示しました。著者らはこの成果を予備的な情報と位置づけています。そのうえで、加工の最初の段階である水さらしが、製品の安全性と品質を確保するうえで重要だと強調しています。

原著論文の著者・所属:Irène ITOUA(Molecular and Sensory Food Engineering Laboratory (IMSA) and Agro-resource Valorization Laboratory (LVAR) , National Higher Polytechnic School (ENSP) , Marien Ngouabi University , P.O. Box 69 , Brazzaville , Republic of the Congo)、Franchelle Constance BAKENI MOUKANI、Laurette Brigelia NKELETELA、Bertin MIKOLO(Molecular and Sensory Food Engineering Laboratory (IMSA) and Agro-resource Valorization Laboratory (LVAR) , National Higher Polytechnic School (ENSP) , Marien Ngouabi University , P.O. Box 69 , Brazzaville , Republic of the Congo)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Irène ITOUA, Franchelle Constance BAKENI MOUKANI, Laurette Brigelia NKELETELA, et al. Physicochemical and Sensory Characterization of Retted Cassava (Manihot esculenta Crantz) Tubers Processing in Congo, Brazzaville. Journal of Agriculture and Crops 2026-10-27. DOI: 10.32861/jac.12.2.8.12. 原著ライセンス:CC BY.