著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Health and Technology Journal (HTechJ)

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

生まれてから5歳までの時期は、体や心の発達にとって重要な時期とされます。研究チームによると、インドネシアでは子どもの低栄養や発育不良が依然として大きな課題で、特に東部の東ヌサ・トゥンガラ州は国内でも栄養不良の割合が高い地域の一つです。

この研究の舞台は、同州南西スンバ県のウェーバゲ村です。著者らは、この村では炭水化物中心の食事が多く、たんぱく質を含む食品を十分にとりにくい状況があると述べています。

これまでの研究は都市部が中心で、身体活動とたんぱく質摂取を別々に調べることが多かったといいます。そこで研究チームは、資源の限られた農村で、2〜5歳児の身体活動とたんぱく質摂取が栄養状態とどう関係しているかを、同時に分析することを目指しました。

どのように調べたか

研究は横断研究という方法で行われました。横断研究とは、ある一時点で対象者のデータを集め、項目どうしの関係を調べる方法です。測定は2025年12月に、村の3か所の地域保健拠点で行われました。

対象は、これらの拠点に登録された2〜5歳児225人のうち99人とその母親です。身体の計測にもとづいて栄養状態を評価しました。身体活動は「軽い・中程度・激しい」、たんぱく質摂取は「不足・十分・過剰」に分類しています。

分析では、複数の要因の影響を同時に見積もる統計手法である重回帰分析を用い、身体活動とたんぱく質摂取が栄養状態とどう関係するかを検討しました。

主な結果

99人のうち52人(52.5%)が栄養状態「不良」と分類され、良好と分類された子は1割ほど(10.1%)でした。たんぱく質摂取では、49人(49.5%)が不足、43人(43.4%)が十分、7人(7.1%)が過剰でした。身体活動は、軽い活動が37人(37.4%)で最も多く、激しい活動が33人、中程度が29人とばらつきがありました。

重回帰分析の結果、身体活動とたんぱく質摂取はいずれも、栄養状態と統計的に有意な関係を示しました。ただし、その向きは一般的な予想とは逆でした。身体活動が多いほど、またたんぱく質の摂取量が多いほど、栄養状態が悪いという関連が報告されています。

著者らはこの結果について、二つの解釈を示しています。一つは、よく体を動かす子どもが、消費したエネルギーに見合う食事をとれずにエネルギー不足に陥っている可能性です。もう一つは、たんぱく質の過剰摂取が幼い子どもの体に負担をかけている可能性です。また、たんぱく質摂取が十分な子どもでも低栄養が多かったことから、たんぱく質だけでは食事全体の不足を補えないとも述べています。

この研究が示すこと

この研究は、低栄養の子どもが多い地域では、「よく動く」「たんぱく質を多くとる」ことが必ずしも良い栄養状態と結びつくわけではないことを報告しています。著者らは、活動量に見合ったエネルギー補給と、栄養素の釣り合いがとれた食事の大切さを強調しています。

一方で、著者ら自身も限界を挙げています。一時点の調査のため、因果関係は確定できません。栄養状態が悪いことが、逆に活動や食事に影響している可能性もあります。また、食事の評価は母親の記憶に頼っており、世帯収入や母親の教育、衛生環境、感染症といった要因も考慮されていません。この結果は、ある農村の幼児で見られた関連として受け止める必要があります。

原著論文の著者・所属:Rosalia Astria Tanggu Solo(Postgraduate Program in Public Health, STRADA Indonesia University, Indonesia)、Indasah Indasah、Rahmania Ambarika(Postgraduate Program in Public Health, STRADA Indonesia University, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Rosalia Astria Tanggu Solo, Indasah Indasah, Rahmania Ambarika Physical Activity and Dietary Protein Intake as Determinants of Nutritional Status in Undernourished Toddlers: A Cross-Sectional Study in Rural Indonesia. Health and Technology Journal (HTechJ) 2026-08-03. DOI: 10.53713/htechj.v4i4.603. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

原著の権利表示:2026 The Authors。本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。