著者の所属・活動拠点の国は、バングラデシュです。
掲載誌:Journal of Food Composition and Analysis
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ターメリック(ウコン)は、カレーなどに使われる身近な香辛料です。研究チームによると、ターメリックは汚染された土壌や灌漑用水から金属を吸収したり、収穫後の加工や混ぜ物(不正な混入)を通じて汚染されたりするため、重金属汚染を受けやすいとされています。
そこで研究チームは、バングラデシュのクルナで入手したターメリック粉末を対象に、重金属の濃度を測定しました。あわせて、摂取した場合の健康リスクを、がん以外の影響(非発がん性リスク)とがんの影響(発がん性リスク)に分けて評価しました。
何をどのように調べたか
調べた試料は、クルナの8か所で入手した粉末ターメリック20点です。内訳は、ブランド名のない製品が15点、ブランド製品が5点でした。測定した金属は、鉛(Pb)、クロム(Cr)、カドミウム(Cd)、マンガン(Mn)、銅(Cu)の5種類です。
分析には、試料中の元素を高温で発光させ、その光から元素の種類と量を調べる「誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES)」という方法が用いられました。著者らは、分析方法が正しく機能しているかも確認しています。既知の量の金属がどれだけ正確に測れるかを示す回収率は91〜97%で、分析性能は良好だったと報告しています。
さらに、測定値をもとに1日あたりの推定摂取量を計算し、健康影響の目安となる基準と比べました。また、多数のデータから共通して増減する傾向を取り出す「主成分分析(PCA)」を使い、金属どうしの関係も調べました。
主な結果
論文によると、ブランド名のないターメリックの40%で、鉛の濃度が安全基準を上回っていました。カドミウムについては、ブランド製品を含むすべての試料で、許容上限とされる0.2 mg/kgを超えていました。
一方、1日あたりの推定摂取量は、健康への悪影響が生じないとされる参照用量を下回っていました。がん以外の健康影響の目安となる指標(金属ごとの危険度を示す値と、それらを合計した値)も、懸念の目安となる1を下回っていました。
これに対し発がん性リスクの評価では、ブランド名のない試料の53.3%が、がんリスクの目安とされる値(1万人に1人の割合に相当する10のマイナス4乗)を超えていました。研究チームは、これを想定した条件のもとでの発がん性への懸念の可能性を示すものと位置づけています。
主成分分析では、鉛・クロム・銅がひとつのまとまりとして、カドミウムとマンガンが別のまとまりとして変動する傾向が見られました。著者らは、これらが異なる汚染経路を反映している可能性があると述べています。
この研究が示すこと
この研究は、クルナで入手したターメリック粉末について、カドミウムはブランド製品を含むすべての試料で許容上限を超え、鉛はブランド名のない製品の40%で安全基準を上回っていたことを報告しています。また、想定条件のもとでは、ブランド名のない試料の半数以上で発がん性リスクが目安を超えていました。研究チームは、こうした結果から、ブランド名のないターメリックについて監視と、より厳しい品質管理が必要だと示唆しています。
原著論文の著者・所属:Md. Faisal Ferdous(Khulna University of Engineering and Technology, Khulna City, BANGLADESH)、Iftekhar Nur Sunan(Khulna University of Engineering and Technology, Khulna City, BANGLADESH)、Md. Al Amin(Khulna University of Engineering and Technology, Khulna City, BANGLADESH)、Marium Yeasmin(Khulna University of Engineering and Technology, Khulna City, BANGLADESH)、Addin Fatema Orna(Khulna University of Engineering and Technology, Khulna City, BANGLADESH)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Md. Faisal Ferdous, Iftekhar Nur Sunan, Md. Al Amin, et al. Heavy metal contamination in branded and non-branded turmeric powder from Khulna, Bangladesh: Exposure assessment and potential carcinogenic risk. Journal of Food Composition and Analysis 2026-10-09. DOI: 10.1016/j.jfca.2026.109577. 原著ライセンス:CC BY.