著者の所属・活動拠点の国は、バングラデシュです。
掲載誌:ORGANIZE Journal of Economics Management and Finance
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
作物保険の認知と関わる要因を調べる
研究チームは、干ばつの影響を受けるバングラデシュの農村で、農家が作物保険を知っているか、また、その認知にどのような要因が関わるかを調べました。作物保険は、農作物の被害による損失に備える仕組みです。今回の研究は、保険への加入そのものではなく、まず保険を知っているかに焦点を当てています。
調査地は、不規則な降雨や季節的な水不足に繰り返し見舞われるナオガオン県のサパハルとバダルガチです。研究チームは、選んだ2村でそれぞれ75人、計150人の農家に質問票を用いた対面調査を行いました。教育歴や所得、農業団体への加入、農業の技術・経営に関する助言を提供する普及サービスの利用などと、保険の認知との関係を統計的に分析しました。
認知していたのは約3人に1人
著者らによると、作物保険を知っていた農家は回答者の34.67%でした。複数の要因を同時に考慮した分析では、教育年数が長いこと、農業団体への加入、普及サービスの利用、農業上のリスク対策の実施、過去の作物被害の経験が、いずれも高い認知と統計的に有意な関連を示しました。
論文が報告した認知確率の差は、農業団体への加入で約14.7パーセントポイント、普及サービスの利用で約10.5パーセントポイントでした。作物被害の経験は約21.5パーセントポイントと、分析した要因の中で最も大きな値でした。一方、年齢、所有農地の広さ、年間所得、農業経験年数については、認知との統計的に有意な関連は認められませんでした。
保険を知るうえでの情報との接点
著者らは、農業団体での情報交換や普及サービスとのつながりが、作物保険を知るうえで重要だと解釈しています。今回の結果は、これらの利用が認知を高めるという因果関係や、実際の加入増加を示したものではありません。調査地域では、農業経験の長さや所得だけでなく、情報を得たり共有したりする機会が、保険の認知と結びついていたことを伝えています。
原著論文の著者・所属:Md. Shahinur Rahman(Rajshahi University)、Md. Abdur Rashid Sarker(OSD (Economics), BCS (General Education), Directorate of Secondary and Higher Education (DSHE), Ministry of Education in Bangladesh)、Zeenatul Islam(Department of Economics, University of Rajshahi, Rajshahi-6205, Bangladesh)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Md. Shahinur Rahman, Md. Abdur Rashid Sarker, Zeenatul Islam. Assessing The Factors for Farmers’ Awareness of Crop Insurance: Insights from Drought-Stressed Crop Farming Communities in Bangladesh. ORGANIZE Journal of Economics Management and Finance 2026-09-14. DOI: 10.58355/organize.v5i2.213. 原著ライセンス:CC BY.