著者の所属・活動拠点の国は、イランです。
掲載誌:Journal of Food Quality and Hazards Control
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
パスタは世界中で食べられている主食で、食物繊維などを加えて栄養価を高める「強化」の対象として注目されています。一方で、繊維の多い素材を加えると、食感や調理時の性質、見た目、味が変わり、消費者に受け入れられにくくなる恐れがあります。
研究チームは、ショウガの加工で生じる副産物であるショウガ根の繊維に着目しました。著者らによると、ショウガにはジンゲロールやショウガオールといった成分が含まれ、抗菌作用などが知られています。そこで、この繊維をパスタに加えたとき、品質や保存性がどう変わるかを調べ、適切な配合量を探ることを目的としました。
何を調べたか
研究チームは、洗浄・乾燥・粉砕したショウガ根を、過酸化水素を含むアルカリ性の液で処理して繊維を取り出しました。パスタは小麦粉とセモリナ(パスタ用の粗挽き小麦粉)を原料とし、セモリナの一部をショウガ繊維に置き換えて、2.5%から10%までの4段階の配合で製造しました。比較のため、繊維を加えない対照のパスタも用意しました。製造はイランのパスタ工場の生産ラインで行われました。
これらのパスタを、製造直後と1か月後、3か月後、6か月後に分析しました。調べた項目は、水分、灰分(燃やした後に残るミネラル分の目安)、ゆで汁の酸度、ゆでた際に湯へ溶け出す固形分、カビ・酵母の数、色です。さらに、訓練を受けた8人の評価者が、色、味、食感、総合的な好ましさを5段階で評価しました。
主な結果
論文によると、ショウガ繊維の配合量が多いほど、パスタの水分は低くなり、10%配合で最も低い値でした。灰分、ゆで汁の酸度、ゆでた際に溶け出す固形分は、繊維の量が増えるほど、また保存期間が長くなるほど増える傾向が報告されています。たとえば溶け出す固形分は、対照ではおおむね5〜6%程度で安定していたのに対し、10%配合では6か月後に約10%に達しました。著者らは、繊維によってグルテンの網目構造が弱まったことが一因と考えています。
カビと酵母は、どのパスタでも保存期間が長くなるほど増えました。ただし、繊維の配合量が多いパスタでは増加が抑えられ、10%配合が全期間を通じて最も少ない値でした。著者らは、ショウガに含まれる成分が抗菌的に働いた可能性を挙げています。
色については、繊維を加えると明るさが下がり、黄色みが増しました。この変化は10%配合で特に目立ちました。官能評価では、2.5%と5%の配合のパスタは見た目、食感、味が対照とほぼ同様に評価されました。一方、より多く配合したパスタは、食感や色の変化から好ましさが低下し、保存期間の後半ではその傾向がより顕著でした。
研究が示すこと
著者らは、ショウガ根の繊維を加えることで、パスタのミネラル分などの栄養面が高まり、保存中のカビや酵母の増加も抑えられると結論づけています。ただし、配合量を増やすと、ゆで崩れや色、味、食感の面で品質が損なわれます。研究チームは、栄養面と食べやすさの釣り合いが取れる配合量として5%を挙げています。この研究は、食品加工の副産物を活用したパスタの開発において、加える量の見極めが重要であることを示しています。
原著論文の著者・所属:M. Daneshniya(Departmentof Food Science and Technology, Qa.C., Islamic Azad University, Qazvin, Iran)、M.H. Maleki(Department of Food Science and Technology, SR.C., Islamic Azad University, Tehran, Iran)、F. Abdolmaleki(Departmentof Food Science and Technology, Qa.C., Islamic Azad University, Qazvin, Iran)、Z. Latifi(Department of Food Science and Technology, Nur C., Islamic Azad University, Mazandaran, Iran)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):M. Daneshniya, M.H. Maleki, F. Abdolmaleki, et al. Evaluation of Physicochemical, Sensory, and Microbial Characteristics of Ginger Fiber-Fortified Pasta. Journal of Food Quality and Hazards Control 2026-07-28. DOI: 10.18502/jfqhc.13.2.22143. 原著ライセンス:CC BY.