著者の所属・活動拠点の国は、インドです。

掲載誌:The Bioscan.

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

思春期は体が急速に成長し、必要な栄養が大きく増える時期です。特に女子は、月経による鉄の損失も加わるため、低栄養や鉄欠乏性貧血に陥りやすいとされています。一方、インドなどでは加工食品の普及や運動不足を背景に、思春期の過体重や肥満も増えています。同じ集団の中で栄養不足と体重過多が同時にみられる状態は「栄養不良の二重負荷」と呼ばれます。

インドでは、栄養教育、鉄・葉酸サプリメントの配布、虫下し(寄生虫の駆除)、栄養相談、健康診断などを通じて思春期の栄養改善が図られています。研究チームは、西ベンガル州ノース24パルガナス県の一部地域に住む10〜19歳の女子を対象に、栄養状態を把握するとともに、こうした地域・学校での栄養支援をどの程度受けているか、そして二重負荷の実態はどうかを調べました。

調べた方法

研究は、ある一時点の状態を調べる横断研究として行われました。農村、都市近郊、都市部の地域から、10〜19歳の女子200人が参加しました。

参加者には事前に試験済みの質問票を用いて、家庭の状況、食習慣、栄養に関する知識、身体活動、そして地域や学校での栄養支援を受けた経験について尋ねました。あわせて身長と体重を測ってBMI(体格指数)を計算し、成長期の子どもの評価に適した年齢別のBMI基準に照らして、低栄養、標準、過体重、肥満に分類しました。栄養支援の利用状況や食習慣は、本人の申告に基づいています。

主な結果

参加者の平均年齢は約15歳、平均BMIは19.71でした。栄養状態をみると、21.0%が低栄養、14.0%が過体重、6.0%が肥満に分類され、標準は59.0%でした。つまり、およそ5人に1人が低栄養である一方、体重過多の女子も合わせて20.0%おり、同じ集団の中で栄養不足と体重過多が並存していることが示されました。著者らは、インド全国調査などの既存報告と比べ、この集団では過体重・肥満の割合が比較的高いと述べています。ただし、この数値を県全体の有病率とみなすべきではないとも注意しています。

栄養支援の利用については、鉄・葉酸サプリメントを受けたと答えた人が84.0%、虫下しが81.0%、栄養教育が77.0%と比較的高い割合でした。一方、健康・栄養の検診は69.0%、栄養相談は63.0%、運動に関する指導は52.0%にとどまりました。

食習慣では、朝食を規則的にとる人が73.0%、毎日野菜を食べる人が79.0%いた一方、毎日果物を食べる人は46.0%でした。また、43.0%が包装食品や加工食品を、32.0%が砂糖入り飲料を頻繁にとっていると答えました。

栄養に関する知識の得点は、低栄養の女子で最も低く、過体重の女子で最も高い結果でした。著者らはこの点について、知識があっても、味の好みや友人の影響、身近な食環境などによって、それが健康的な食行動に必ずしもつながらない可能性を指摘しています。

研究が示すこと

著者らは、この地域の思春期の女子が栄養不足と体重過多の両方の問題を抱えていることから、低栄養や貧血だけを対象とする取り組みでは不十分だと論じています。鉄・葉酸の補給や虫下しに加えて、栄養教育、食事の相談、定期的な身体測定、運動の促進、より健康的な食環境づくりを組み合わせた、両方の問題に同時に対応する取り組みが必要だというのが論文の結論です。

なお、この研究は一時点の調査であるため、栄養支援を受けたことと栄養状態との間に因果関係があるかどうかは示せません。支援を受けた割合が高いことも、それ自体が効果の証明ではないと著者らは述べています。支援の利用や食習慣は自己申告のため、記憶違いなどの影響を受ける可能性もあります。それでも本研究は、身近な地域の思春期の女子に、栄養の不足と過剰という二つの課題が同時に存在する様子を具体的な数字で示しています。

原著論文の著者・所属:Deblina Das,(Research Scholar , Department of Food and Nutrition , Swami Vivekananda University , Barrackpore , W.B. , India; SACT-I , Rishi Bankim Chandra College for Women , Naihati , West Bengal , India)、Supriya Nath(Dean , AEVPM Women's College , Aurangabad , Maharashtra , India; Department of Zoology , Government art's College Ooty , Bharathiar University , Coimbatore , Tamil Nadu , India)、Roja H.R(Department of Zoology, Government art's College Ooty, Bharathiar University, Coimbatore, Tamil Nadu, India)、Swati Nakhale(Assistant Professor and Head , KISS-Deemed. Education : School of CIST , Bhubaneswar , Odisha , India)、Shweta Parida

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Deblina Das,, Supriya Nath, Roja H.R, et al. Community Nutrition Interventions and the Double Burden of Malnutrition among Adolescent Girls: Evidence from a Cross-Sectional Study. The Bioscan. 2026-09-02. DOI: 10.63001/tbs.2026.v21.i03.s.i(3).pp1495-1507. 原著ライセンス:CC BY.